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植物性の代替肉ブランド「ACCRO」を展開する仏Nxtfoodが約85億円を調達|競合ひしめく仏市場でどう戦うか

出典:Nxtfood

植物由来の代替肉を開発するフランスのNxtfoodは今月、シリーズBラウンドで4,900万ユーロ(約85億円)を調達した

Nxtfoodはエンドウ豆と小麦をベースとした代替肉ブランド「ACCRO」をフランスで展開。20種類以上の製品が小売店やレストランなどフランス全土に導入されている。

今回の資金調達は2021年1月に続くもので、クランチベースによれば、同社の調達総額は5,900万ユーロ(約102億円)となった。

Nxtfoodは調達した資金で、1年~1年半以内の黒字化と2025年の売上倍増を目指す。具体的には、フランス、ヴィトリー=アン=アルトワにある生産拠点を12,000㎡(現在の3倍)に拡張するほか、欧州ではB2B・共同製造を軸に事業展開を推進し、湿式押出技術の研究開発を強化する計画だ。

出典:Nxtfood

2019年に設立されたNxtfoodは、100%プラントベースの牛肉、鶏肉、豚肉、魚の代替食品を開発している。原料のエンドウ豆、小麦はいずれもフランス産を使用

IntermarchéMonoprixCarrefourAuchanなどのフランスの主要スーパーマーケットや、3 BrasseursHankなどのレストランなど、フランス全土で展開され、導入している外食サービスは1万箇所以上に及ぶ。

出典:Nxtfood 販売状況(2025年9月30日時点)

プレスリリースによれば、フランスでは引き続き「ACCRO」ブランドとして販売を継続し、欧州ではB2Bおよび共同製造に注力し、販売を拡大していく方針だという。

国産・海外・小売PBが交錯するフランスの代替肉市場

出典:Nxtfood

フランスでは、ACCROのほか、HappyVore(ミートボール、ハムなど)やLa Vie(ベーコン、ハムなど)といった国産代替肉ブランドがCarrefourなど主要スーパーに導入されている。

海外勢では、イスラエルのRedefine Meatが昨年4月、Monoprixに導入され、フランスで初めて小売展開を実現した。さらに、ネスレが展開するGarden GourmetやスペインのHeura製品もフランス国内のCarrefourなどのスーパーに導入されている。米ビヨンドミートは2020年からフランスの小売進出を果たしており、スイスのPlantedもすでに小売で棚を獲得している

加えて、フランス小売大手のCarrefourは、フランスで最初に自社ブランドを立ち上げ、「Carrefour Sensation Végétal(旧CARREFOUR VEGGIE)」として代替肉から代替ミルクまで幅広いラインナップを揃えている

このように競合がひしめく市場で、しかも投資環境が厳しい中で、Nxtfoodが大型資金調達に成功できたのは、主要スーパーマーケットでの一定のポジションとリピート層の存在が背景にあると思われる。実際に、プレスリリースによれば、2024年の売上は3倍に拡大しており、今後は欧州市場におけるB2B・共同製造パートナーの拡大と黒字化達成が注目される。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

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アイキャッチ画像の出典:Nxtfood

 

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