出典:Terra Oleo
パーム油やココアバターの供給不安と環境負荷を背景に、微生物発酵で代替油脂を生産する動きが加速している。
先月、イギリスのClean Food Groupが100万リットルの発酵施設を確保し、エストニアのÄIOは最初の1トンの生産成功を発表した。 NoPalm Ingredientsもオランダでデモ工場の建設計画を発表した。
そうした中、シンガポールでも代替油脂に取り組む新たな企業が登場した。
精密発酵によりパーム油やココアバターの持続可能な代替品を開発するシンガポールのTerra Oleoは先月、シードラウンドで310万ドル(約4億5,000万円)の資金調達に成功した。
これは同社初の資金調達となり、Better Bite Ventures、Elev8.VC、ADB Ventures、The Radical Fundが出資した。
Shen Ming Lee氏、Boon Uranukul博士、Min Hao Wong博士が創業したTerra Oleoは、酵母を活用した精密発酵技術により、農業で生じる廃棄物を代替パーム油や代替ココアバターなどの脂肪成分に変換する。
パーム油、カカオは森林伐採の要因となる消費財ランキングでともに上位に位置する。2025年1月にはカカオ豆価格が過去最高を記録。パーム油は気候の不安定さから供給が逼迫し価格が上昇、2024年の世界輸出量は前年比5.83%減少した。
同社は、パーソナルケア、化粧品、医薬品、食品向けの用途を想定しており、代替ココアバターは室温では固体で、融点は約35度だという。
同社プラットフォームは、パーム油およびココアバター向けにカスタマイズされた脂質プロファイルの提供が可能で、自社技術をフルスケールした場合、パーム油・カカオのサプライチェーンから年間最大9億トンのCO₂を削減できるとしている。
Terra Oleoは現在、油脂化学、食品、パーソナルケア、化粧品分野における複数企業と製品試験の契約を締結している。
発酵油脂でみられる化粧品先行の新潮流

左からMin Hao Wong博士、Shen Ming Lee氏、Boon Uranukul博士 出典:Terra Oleo
微生物発酵により代替油脂開発に取り組む企業の多くで、食品よりも化粧品や消費財からの先行上市を進める動きが増えている。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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