着色料

植物性着色料を開発中のイスラエルフードテックPhytolonが約5億円の資金調達に成功

植物由来(プラントベース)の着色料を開発するイスラエルのフードテックスタートアップのPhytolonは約4億円(410万ドル)の資金調達に成功した。

同社がこれまでに調達した資金は約5億円(530万ドル)にのぼる。

今回の資金調達ラウンドには、Millennium Food-Tech、EIT Food、Consensus Business Group、The Trendlines Group、Yossi Ackerman(エルビット・システムズの元CEO)、政府系スタートアップ支援機関のIsrael Innovation Authorityが参加した。

2018年にイスラエルに設立されたPhytolonは微生物発酵技術を利用した天然着色料を開発している。

Phytolonの詳細な技術は公開されていないが、同社の技術を用いることで天然着色料を原価で高品質に作り出すことができるうえ、黄色、オレンジ、ピンク、紫と幅広い色をカバーできる。同社の着色料は、サスティナブルで、GMOフリーだ。

 

フードテックで高まる「発酵」ブーム

現在、フードテック業界において、「発酵」はホットなテーマだ。

たとえば、Perfect Dayは酵母の発酵を活用して動物性プロテインを含まない乳製品プロテインを開発している。MushlabとEmergy Foodsは、きのこを発酵させて代替肉を開発している。

着色料に「発酵」を利用するのはPhytolonだけではない。Michromaはきのこの根を発酵させることで染料を開発している。

 

成長を続ける天然着色料市場

多くの着色料が食品に使われている

食用色素市場は、2025年までに29億7,000万米ドル規模、2027年までに55億米ドルまで拡大することが予測されている。

食用色素は合成着色料と天然着色料の2つのカテゴリーに分類される。

タール色素を使うと鮮やかな色を実現できるため、多くの食品にはタール色素が使われている。

タール色素とは石油から作られている色素で、身近なものではかき氷シロップに使う青1号、赤2号がある。日本ではADI(1日摂取許容量)が決められているが、アメリカやヨーロッパでは使用禁止や規制されているものが多い。

食品から健康に望ましくない合成着色料を取り除いて欲しい声は強く、規制も厳しい。こうした消費者の不安を反映し、天然着色料市場は伸び続けている。

Phytolonが狙うのはまさにここだ。

同社は最近、複数の食品企業の生産ラインでPoc(実証実験)を実施した。市場に製品を出すために、実験で得られた知見を活用していくと語っている。

 

参考記事:

Phytolon Sees Green with $4.1M in Funding its for Natural Food Coloring

Israeli startup Phytolon sees green$$ for plant-based food color solution

食品着色料の世界市場

世界の食用色素市場:市場規模、シェア、動向分析 – 製品(合成、天然)、用途(食品、炭酸飲料・ノンアルコール飲料)、地域別 2018年~2025年

関連記事

  1. イリノイ州が精密発酵の推進に向けて、iFAB Tech Hubに…
  2. 菌類由来の熱安定性に優れたビーガン着色料を開発するMichrom…
  3. 精密発酵で着色料を開発するMichromaが約8.4億円を調達
  4. 微生物発酵でサステイナブルな着色料を開発するデンマーク企業Chr…
  5. FDAがSensientのチョウマメ由来の青色着色料を承認
  6. 精密発酵で赤色着色料を開発するChromologicsが約18億…
  7. 精密発酵で天然着色料を開発するPhytolonがギンコ・バイオワ…
  8. 微生物発酵で赤色着色料を開発するChromologicsが約8億…

おすすめ記事

ユニリーバのBen & Jerry’s、アニマルフリー製品の主原料をオーツ麦へ切り替え

食品・日用品大手のユニリーバは今月、人気の乳製品ブランドであるBen &…

ドイツのInnocent Meatが約4.8億円を調達、食肉生産者の培養肉生産を可能にするB2Bソリューション

ドイツの培養肉企業Innocent Meatが先月、300万ユーロ(約4億800…

米SCiFi Foodsが培養牛肉の最初の商用生産を完了、来年培養ハイブリッド牛肉の上市へ

培養牛肉を開発するアメリカのSCiFi Foodsは先月、同社初の商用工場の建設…

ゲイツ氏、ベゾス氏が支援するNature’s Fynd、発酵タンパク質を使った新商品を発表

微生物発酵で代替タンパク質を開発する米Nature’s Fyndが、最初の商品を…

ブロックチェーンを活用して透明性の高いサーモン養殖に取り組むKvarøy Arctic

国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の養殖魚生産量は1990年から2018年…

Oobli、精密発酵による甘味タンパク質を使用した初製品の予約販売を開始

精密発酵により甘味タンパク質を開発するOobli(旧称Joywell Foods…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/21 14:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/20 23:44時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/21 03:26時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/21 20:01時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/21 12:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(11/20 23:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP