アップサイクル

「原料に眠る風味を引き出す」ーREDUCEDが約7.3億円を調達、副産物×米麹で風味素材の生産拡大へ

出典:REDUCED

代替肉など代替タンパク質の普及が進む中、2020年創業のデンマークのスタートアップREDUCEDは、植物性組織化タンパク質(TVP)が製品に残す後味がリピート購入を阻むと考えている

この“味の穴”を副産物を用いた発酵で埋めたいと考えるREDUCEDは今月、シリーズAの延長で400万ユーロ(約7億3,000万円)を調達し、シリーズAの調達総額が1,200万ユーロに達した

同社はデンマークの地元産業と連携し、キノコ、枝肉、野菜から、過剰な繁殖が懸念される外来イワガニを活用し、「天然でクリーンラベルの風味の豊かな」原料に変換している。これまでに150トン以上の食品廃棄物を削減してきた。

今回のラウンドは、Delphinus Venture Capitalが共同で主導し、Novo HoldingsECBF、デンマーク国営ファンドEIFOが参加した。REDUCEDは調達した資金で、生産能力の拡大、品質システムとサプライチェーンの強化、グローバルのパートナーシップの深化を図る。

REDUCEDは食品加工で生じるさまざまな副産物などアップサイクルする。

具体的には、見た目が悪く廃棄されるキノコ、鶏肉加工で生じる手羽先の残渣や枝肉、割れたレンズ豆やリンゴの芯、人参の根本などの廃棄野菜、さらにはデンマークで過剰に繁殖している外来イワガニを活用する。

これらを、米麹を用いた固体発酵と酵素加水分解を組み合わせた「Waste-to-Taste」プロセスで処理し、3日間でうま味やコク味、メイラード由来の風味感を付与する濃縮素材へと変換する。

出典:REDUCED

REDUCEDはプレスリリースで、既存の天然原料ソリューションの多くが酵母エキスや肉エキスなどに頼っている中、顧客が求める用途に必要な複雑さや深み、トップノートが不足しがちだと指摘する。これに対し、REDUCEDは深みと感覚的な複雑さを再現できるとしている。

同社は特許を出願しており(WO2025133183A1)、Aspergillus sojaeAspergillus oryzaeを用いた発酵と酵素分解を組み合わせ、グルタミン酸生成などを通じたうま味増強技術を有している。

公式サイトによると、従来製法と比較してエネルギー消費を10分の1、二酸化炭素排出を最大83%削減できるという

投資環境が冷え込む中、味とサステナビリティを同時に訴求できることや、地元で生じる副産物を活用したアップサイクル由来であることに加え、代替肉や料理に必要な複数の風味を開発する点が評価された可能性がある。

このアプローチは、日本のファーメンステーションの取り組みに通じるものがある。

ファーメンステーションはコーヒーかす、米ぬかなど約50種類の未利用バイオマスを酵素処理し、複数微生物を単独または複数組み合わせて培養し、新素材を創出している。精密発酵のように特定成分を合成するのでもなく、菌体そのものを食すバイオマス発酵でもなく、未利用原料に眠る成分を発酵で引き出し、香料などでは再現しづらい奥行きや立体感を付与している

REDUCEDもまた、副産物に潜在する風味を引き出し、工業スケールで供給する体制構築に踏み出した。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:REDUCED

 

関連記事

  1. 南アフリカの培養肉企業Mzansi Meatが来月、アフリカ発の…
  2. BlueNalu、培養マグロの米国先行上市を目指す|Nomad …
  3. 米パーフェクトデイ、インドで精密発酵タンパク質の認可を取得、イン…
  4. 味と価格の両立は「脂肪」から-米Mission Barnsが語る…
  5. 米ビール大手のモルソン・クアーズが植物性ミルク市場へ進出
  6. 植物性の全卵を開発するYo Eggが米国進出を実現、ビーガン落と…
  7. とうもろこしから作られる砂糖|植物繊維のアップサイクルで砂糖を開…
  8. 韓国の培養肉企業CellMEATが約4億7千万円を調達、培養肉の…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

オーストラリアのNourish Ingredients、植物肉用の精密発酵脂肪「Tastilux」を発表

精密発酵で脂肪を開発するオーストラリア企業Nourish Ingredients…

培養シーフードを開発するShiok Meatsが資金調達、シンガポールに生産工場建設へ

培養シーフードを開発するシンガポールのShiok Meatsが、Woowa Br…

とうもろこしから作られる砂糖|植物繊維のアップサイクルで砂糖を開発する英The Supplant Company(サプラント)

代替品でもなく、人工的に合成されたものでもなく、自然由来で健康に優しい砂糖が登場…

ゲノム編集で野菜・果物に新しい命を吹き込む米Pairwiseが約94億円を調達

Pairwiseは収量も栄養もあるのに、匂いなどの理由で人気のない食品を、ゲノム…

ドイツのNosh.bio、麹由来のハイブリッド肉をレストランで限定提供、欧州大手食肉加工会社と提携

出典:Nosh.bioドイツのマイコプロテイン企業Nosh.bioは先月、菌糸体と牛肉をブレンド…

果物の廃棄物を活用して精密発酵脂肪を開発するZayt Bioscience

精密発酵で持続可能な脂肪を開発する企業が増えている。精密発酵により食品、脂肪、他…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP