代替プロテイン

香港グリーン・マンデーが約73億円の資金調達に成功、年内に広東に工場建設

出典:Green Monday

香港の植物由来食品スタートアップ企業グリーン・マンデー(Green Monday)は、新たに約73億円(7000万ドル)を資金調達したことを発表した。

今回のラウンドはTPGのThe Rise Fund、スワイヤー・パシフィック主導で、ほかにCPT Capital、ジェフェリーズ・グループ、信和集団のNG Family Trust、華人俳優のワン・リーホン(王力宏)、ルーム・トゥ・リード創始者のジョン・ウッドが参加した。既存投資家にはLKK Health Products GroupのHappiness Capital、ジェームズ・キャメロン、メアリー・マッカートニー、スーザン・ロックフェラーがいる。

今回の資金調達は、アジア植物由来業界では最大規模という。

グリーン・マンデーは2012年に設立された植物性代替肉を開発する香港のスタートアップ。

傘下のフードテクノロジー企業オムニフーズ(OmniFoods)が開発したオムニポーク(OmniPork)は植物由来100%の代替豚肉で、2020年5月に日本に上陸している。香港を拠点とするキャセイパシフィック航空は同社のオムニポークを使った機内食を提供している。同じく傘下のGreen Commonは植物由来食品の小売・レストランを展開している。

Greeen Commonのレストラン 出典:Green Monday

グリーン・マンデーは今回調達した資金を生産、流通、サプライチェーンの拡大、研究開発のほか、広東の工場建設に使うとしている。同社は、年内に広東に工場建設を予定だ。

今後6ヶ月で、現在の10の市場から、アジア、北米、欧州、中東、アフリカなど20の市場への拡大を目指し、中国本土とシンガポールにはGreen Commonの旗艦店をオープンする予定だという。

オムニポークは2019年にアリババECサイトで中国に上陸後、230g約430円と本物の豚肉より割高にもかかわらず、わずか2日で4000個(約1トン)販売されたそれ以降、同社はタコベルやホワイト・キャッスルのほか、地元のレストランと提携して市場を拡大させている。

上海では地元のワンタン専門店Gll Wonton(吉祥馄饨)が市の500か所でオムニポークを使ったワンタンを販売している。

上海のワンタン専門店がオムニポークを使ったワンタンを開始。すでに上海の500か所で展開している。出典:Greenqueen

グリーン・マンデーが狙うのは豚肉市場で、ターゲットエリアはアジアだ。中国の豚肉消費量は世界全体の47%を占めており、最大の豚肉消費国である。

といっても、中国市場を狙うのはグリーン・マンデーだけではない。

代替豚肉最大のマーケットであるアメリカ発のビヨンド・ミートは中国に工場を建設することを発表したばかり。中国スタートアップのスターフィールドも最近、約10億円(1000万ドル)の資金調達を獲得したことを発表、中国にレストランを20店舗展開している。

今後、中国の代替豚肉市場の競争が激化していくのは間違いない。

グリーン・マンデーは年内に中国本土Green Common1号店を上海にオープンするとしている。今後2年で上海、北京、広州、深圳などの都市に進出するという。

 

参考記事:

Plant-Based Pioneer Green Monday Raises US$70M In Record Breaking Round

OmniPork Parent, Green Monday Raises $70M to Expand Its Plant-Based Food Enterprise

亚洲“人造肉”融资之最:Green Monday融资7000万美元,年内将在广东设厂

Omnipork: Shanghai Wonton Chain Launches Plant-Based Dumplings At 500 Locations

世界初アジア発祥のプラントベースミート「オムニポーク (OmniPork®)」5月18日(月)日本初上陸!

 

 

関連記事

  1. 海藻由来の代替タンパク質を開発する米Trophic|大豆に代わる…
  2. 味の素、CO2由来の微生物タンパク質「ソレイン」使用の新製品をシ…
  3. スイスの食品大手ジボダン、ビューラー、ミグロが共同で培養肉の実証…
  4. GOOD Meat、シンガポールでアジア最大の培養肉工場を着工
  5. 世界の精密発酵タンパク質の認可状況まとめ【2024年11月】|F…
  6. 【現地レポ】シンガポールの精肉スーパーHuber’s Butch…
  7. 中国の植物肉企業Starfieldが約114億円を調達、湖北省に…
  8. イスラエルのEver After Foodsが「破壊的な」培養肉…

おすすめ記事

一正蒲鉾がインテグリカルチャー、マルハニチロと培養魚肉の共同研究開始を発表

一正蒲鉾は、培養肉のスタートアップ企業インテグリカルチャーとマルハニチロの3社で…

ゲノム編集で食・農業の変革を目指す米Pairwiseが新たな戦略を発表

ゲノム編集技術を活用して農産物を開発する米Pairwise(ペアワイズ)は先月、…

精密発酵プラットフォーマーのLiberation Labsが約26億円を調達、米国に60万リットル規模の施設建設へ

代替タンパク質を大量生産するための精密発酵プラットフォームを開発するLibera…

【世界初】米The Every Companyがアニマルフリーな卵白を発売

カリフォルニアを拠点とするThe EVERY Companyは23日、世界初のア…

Vowの培養ウズラ肉、シンガポールのレストランがメニューに導入、来月提供へ

オーストラリアの培養肉企業Vowが先月、シンガポールで培養肉の販売認可を取得した…

Mogale Meatがアフリカで初の培養鶏胸肉を発表

南アフリカの培養肉企業であるMogale Meatは、「南アフリカのみならず、ア…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(02/21 14:43時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(02/22 00:24時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(02/22 04:19時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(02/21 20:41時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(02/21 12:47時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(02/21 23:38時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP