アップサイクル

独MicroHarvest、ドイツ政府から約10億円の助成金を獲得|単細胞タンパク質の大型工場を計画

出典:MicroHarvest

食品や農業の副産物を活用するドイツのバイオマス発酵スタートアップMicroHarvestは今月、ドイツ、ザクセン=アンハルト州ロイナの化学工業団地において、単細胞タンパク(SCP)の工業規模生産に向けた工場計画を進めると発表した

年産1万5,000トンの生産能力を想定し、約2年後の生産開始を予定。約25人の雇用創出を見込む。

MicroHarvestはまた、連邦政府のエネルギー・資源効率化のための資金プログラムから最大約546万ユーロ(約10億円)の助成金を獲得した。

今回の助成は、SCP製造における乾燥工程の省エネ化がテーマに含まれており、量産時のエネルギー効率に焦点を当てたものとみられる。

乾燥工程の省エネ化がテーマ

出典:MicroHarvest

公的データベースには、MicroHarvestのプロジェクトとして「SCP製造に向けたエネルギー効率の高いスプレードライ(噴霧乾燥)」が掲げられている。

一般に食品産業では乾燥工程はエネルギー消費の大きい工程とされる。噴霧乾燥の効率化は、原価にも影響を与えうるため、生産コストの低減につながる可能性がある。

工場の立地は化学工業団地ロイナ(Leuna)。産業向けインフラが整った拠点であり、MicroHarvestは原料供給源へのアクセス性などを理由に、約40の候補地からロイナを選定したという。ロイナでは主に糖蜜を中心とした副産物の利用を計画する。

24時間でタンパク質を生成

MicroHarvestは、農業副産物などを原料とし、バイオマス発酵により24時間で微生物タンパク質を生産する。

同社は2022年にシリーズAラウンドで850万ユーロを調達。商業化に向け、2023年11月にはポルトガルに日産25kgのパイロット工場を開設した。

2024年4月にはアニマルフリーなペットフード会社VEGDOGとの提携を通じ、微生物タンパク質を用いた初の犬用おやつを発売。2025年11月には、THE PACKがイギリスでMicroHarvestの微生物タンパク質を使用した犬用おやつ「Gut Bites」を発売。翌月にはVEGDOGが猫用おやつを発売した。

同社によると、計画する年産15,000トンの能力については、すでに多国籍企業などとの協議を進めており、需要の見通しは立っているという。今回の拠点決定は、VEGDOGTHE PACKとの製品展開など、直近の商用展開を踏まえた動きだという。

出典:MicroHarvest

MicroHarvestはイギリス・ドイツでペットフード向けに商用化を進めているが、単細胞タンパク質に取り組む企業はほかにも確認されている。

フィンランドのソーラーフーズは、CO₂と水素を利用するガス発酵で「ソレイン(Solein)」を展開。シンガポールでアイスクリームなどを展開してきた。

Calystaはメタンなどを炭素源とした単細胞タンパク質「FeedKind」を開発し、欧州のペットフード会社の製品に採用された。

Aerbio(旧Deep Branch)は2024年9月、オランダでパイロット施設の稼働を開始。ニュージーランドのJooulesも、CO₂と水素を利用するガス発酵でタンパク質を開発しており、2024年に資金調達を実施した。

今回のMicroHarvestの動きは、農業・食品副産物を活用する単細胞タンパク質の量産化に向けた前進といえる。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:MicroHarvest

 

関連記事

  1. 米ビヨンドミート、初の菌糸体ステーキ「Beyond Steak …
  2. AIで副産物を高付加価値化|スペインのMOA Foodtechが…
  3. 代替油脂のパイオニアCUBIQ Foodsが約7.8億円を調達、…
  4. 子どもが培養肉を知るための絵本のクラファンがスタート
  5. アレフファームズがブラジル食肉大手BRFと培養肉の開発・ブラジル…
  6. トマトで代替マグロを開発するスペイン企業Mimic Seafoo…
  7. 二酸化炭素からタンパク質を作るDeepBranchが約2億900…
  8. 米BIOMILQ、創業者の元夫との知財紛争で破産申請

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

食料品店の救世主!食品廃棄を減らして売上を伸ばすShelf Engineが約44億円を調達

食料品店が直面する食品廃棄・在庫切れ問題を、AIを活用して解決するShelf E…

The Every Company、世界初の精密発酵タンパク質を使ったアルコール飲料を発売

精密発酵により卵白タンパク質を製造販売する米The Every Companyは…

仏Gourmey、培養肉の生産コストを1kgあたり約1200円と第三者機関が評価

2025年6月9日:更新培養フォアグラを開発するフランス企業Gourmeyは先月、コンサルテ…

世界初!イート・ジャストが培養肉料理のデリバリーをシンガポールで開始

培養肉を使った世界初の食品デリバリーが始まる。代替卵・培養肉をてがける米…

チョコレートメーカーのFazer、代替チョコで初の本格生産を実施|限定品を実食レビュー

Foovo(佐藤あゆみ)撮影カカオ豆の価格変動・供給不安が続く中、フィンランドのチョコレートメー…

AIを活用するチリ企業The Live Green Coが植物性アイスクリームを発売

代替タンパク質に使われる原料は、大豆、えんどう豆、ひよこ豆から、菌糸体など菌類を…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovoセミナー開催のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP