韓国の培養肉企業SpaceFは、既存の培養豚肉プロトタイプをさらにアップグレードした培養豚肉と、ミートボールやパティとして使用される新しい培養牛肉プロトタイプ、そしてSpaceF初となる培養鶏のささみとナゲットを発表した。
新しく改良された培養豚肉は、「白いソーセージ」と言われるドイツの伝統的なヴァイスヴルストとして作られた。
今回のアップグレードでは、当初より少ない足場材料で、筋肉組織がより発達されており、繊維質が従来の豚肉に非常に似ているという。
世宗大学・ソウル国立大学と連携して開発した培養豚肉
SpaceFは2021年5月、世宗大学とソウル国立大学と連携し韓国初の培養豚肉プロトタイプを発表した。
SpaceFは、ウシ胎児の血液からとれる血清・ウシ胎児血清(FBS)を使用しない培養肉の開発に精力的に取り組んでいる。FBSは安定性や安全面、倫理面など様々な課題のある培地成分のため、多くのスタートアップが代替品を探し求めているものだ。
SpaceFの最高経営責任者(CEO)であるキム・ビョンフン氏は声明で「今回のプロトタイプと既存の培養肉を比較すると、大量生産の技術と無血清培養技術を使用することで価格を下げるための基盤技術を構築した。私たちは、食品市場における消費者の多様なニーズに積極的に対応していく」と表明している。
更なる商業化と低価格実現に向けたパートナーシップ
SpaceFは2021年、Daesang Corporationと連携を発表し、韓国の培養肉企業を世界に通用するプレーヤーにすることを目標としたパートナーシップを結んだ。現在、2025年までに規制当局の承認を取り製品の商品化をするという目標に向けて進んでいる。
そして従来の肉と同等の価格での提供という面では、Daesang に加え、培養肉の無血清培地を開発しているXcell Therapeuticsとの連携でさらに促進されることが期待されている。
また、SpaceFは2021年8月にシリーズAで630万ドル(約7.7億円)を調達しており、今回のプロトタイプをもとにさらなる生産規模の拡大を図る。
成長する韓国の代替タンパク質業界
近年、韓国初の代替タンパク質企業が多数、革新的な動きを起こしている。
植物性チーズを開発するYangyooは米国市場へ参入を予定しており、CellMEATはFBSを使用しない培養独島エビのプロトタイプを発表している。
またヴィーガン牛肉のメーカーであるZikooinはアジア最大の植物ベースの製造工場を建設する計画を発表している。
近年韓国のヴィーガン人口は増加しており、特にコロナウイルス感染拡大時に露呈した肉産業の健康上の危険と持続不可能な特性を受けて更なる加速を見せている。
韓国菜食主義連合(KVU)が発表した統計によると、韓国国内では約50万人もの+ヴィーガンがおり、10年以内に3倍に増えたという。また植物中心の食事をするフレキシタリアンが特に増加すると予想しており、1000万人(韓国人口の20%)に達する可能性があると推定している。
参考記事
Space F Claims Korea’s First Cultivated Chicken And Beef Prototypes Alongside New Pork 2.0
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アイキャッチ画像の出典:Space F