アグテック

ドローンによる「空飛ぶ」果実収穫ロボットを開発したTevel Aerobotics Technologies、日本進出も計画

 

イスラエルのスタートアップ企業Tevel Aerobotics Technologiesは、果物を収穫する「空飛ぶ」自律型ロボットを開発した。

果物を収穫するロボットは他にもあるが、同社のロボットは地面に設置するタイプではなく、ドローンを活用している点が異なる。

Tevel Aerobotics Technologiesの創業者Yaniv Maor氏は、「果物を収穫する人を見つけることが、農家の最大の関心事になっています」と述べ、収穫を行う人員不足により、世界で栽培される果物の10%が腐敗するまで放置されていることを指摘している。

世界人口の増加に伴い果物生産の増加が予想されるのに対し、農業従事者は2050年までに半減し、果物の収穫作業を行う人員は500万人不足すると予想されている

出典:Tevel Aerobotics Technologies

Tevel Aerobotics Technologiesは、こうした労働力不足を補うことを目指している。

「私たちは労働力の代替ではなく、労働力不足のソリューションを提供します。将来、収穫に従事する人は減り、ロボットの管理、データ分析、意思決定に従事する人が増えるでしょう」(Yaniv Maor氏)

2017年にTevel Aerobotics Technologiesを創業したMaor氏は、果物を収穫するロボットに必要なソフトウェア、人工知能、アルゴリズムを開発した。

公開された動画では、収穫箱に2~4台の有線ドローンが接続され、ドローンに設置された吸引アームが果物を収穫し、収集箱に入れる様子がうかがえる。

動画によると、収穫したい果物の重量はプログラムで指定できる。備え付けのカメラで色と大きさを評価し、収穫に適した熟した果物を選び出すこともできるという。また、収穫の進行状況、完了までの時間、収穫量やコストなど、必要な情報は農家に提供される。

出典:Tevel Aerobotics Technologies

Tevel Aerobotics Technologiesの飛行型収穫ロボットは現在、イスラエル、イタリア、カリフォルニアに導入されている。スペイン、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、アジアへの進出も進めているという。

中国、日本への進出も計画しており、昨年1月にはクボタが出資した。Tevel Aerobotics Technologiesの調達総額は3210万ドル(約46億円)となる。

現在の収穫スピードは人ほど速くはないようだが、人に優る点は、昼夜問わず稼働できることだろう。

同社は収穫可能な果物のリストに、アボカドとマンゴーも追加している。これらは収穫にカットが必要な果物のため、ロボットに教え込む技術は全く新しいものになるという。

 

参考記事

Flying Robots Pick Fruit 24/7, And Know Exactly When It’s Ripe

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Tevel Aerobotics Technologies

 

関連記事

  1. 米Força Foods、スイカの種由来の代替ミルクを発売|アイ…
  2. スペインのRemy Robotics、ロボットによるバーチャルレ…
  3. Simbe Roboticsが在庫管理ロボットTally3.0を…
  4. コンタクトレスなキオスク型スムージーロボットBlendid、株式…
  5. ZIKIがロボットキッチンのBowlton Kitchensを買…
  6. 多様な植物から葉タンパク質を抽出するThe Leaf Prote…
  7. 農家に植物の「内なる声」を伝えるInnerPlantが約6.2億…
  8. 「ニッポンの魚ビジネスEXPO 2025」2月18日開催|業界の…

おすすめ記事

「砂糖を再発明する」妥協なき代替砂糖の開発に挑戦するイスラエル企業Resugar

完全に天然由来でありながら、100%砂糖のような代替品を開発するイスラエル企業が…

オランダのモサミート、培養脂肪で英国初の承認申請を提出

オランダの培養肉企業Mosa Meat(モサミート)は5月15日、イギリス当局に…

培養サーモンの米Wildtype、レストラン・小売との提携を発表

細胞培養による培養サーモンを開発するアメリカのWildtype(ワイルドタイプ)…

Fooditiveが精密発酵による代替ハチミツ開発を発表

イメージ画像さまざまな植物由来成分を開発するオランダのスタートアップ企業Fo…

全卵タイプの植物性代替卵を開発するYo Egg、アメリカで小売進出を実現

植物性の全卵製品を開発するイスラエル企業Yo Eggが今年3月、アメリカで小売進…

米EdiMembre、ホールカット細胞性食品の開発に向け、可食中空糸式バイオリアクターを開発|約5,800万円のプレシード資金を調達

出典:EdiMembre細胞性食肉(培養肉)のスケールアップを目指して、アメリカで新たなスタート…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/15 16:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/15 02:33時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/15 06:14時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/15 22:07時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(10/15 14:06時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/16 01:25時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP