韓国の培養肉スタートアップTissenBioFarmは先月、シリーズAラウンドで22億ウォン(約2億2300万円)を調達した。
人工臓器開発技術を基盤に培養肉開発を行うTissenBioFarm
TissenBioFarmはバイオ3Dプリンティング技術を使い、食感と霜降りを再現したホールカットな培養肉を作製している。
公式サイトには、「世界一流の人工臓器開発技術を使い、培養肉を開発する」と書かれている。同社は、CEOのWonil Han氏とDong-Woo Cho教授が浦項工科大学校で行ってきた人工臓器の研究開発を基盤技術としている。
TissenBioFarmは100グラムあたり約0.33ドルの食用バイオインクを3種開発した。これは大量生産が可能なもので、培養肉、植物肉いずれにも使用できるという。
Han氏は、「世界の培養肉業界では、細胞培養によってステーキのような厚みのある肉の作製は非常に難しいとされています。また、培養肉で肉の食感や霜降りを再現し、これを大量生産するには最先端技術が必要となります。私たちの技術は味、栄養、感覚、価格において競争力のある高品質な培養肉を提供します」とコメントしている。
今回のラウンドはEnvisioning Partnersが主導し、FuturePlay、Stonebridge Ventures、Mirae Holdingsが参加した。TissenBioFarmは今年春にも40万ドル(約5800万円)を調達している。
同社は調達した資金で研究施設を拡張し、実験室レベルを超えた生産システムを構築する。また、動物細胞の増殖・分化技術の開発に注力して生産コスト削減を図る。
本格化する韓国の培養肉開発
韓国政府は8月、国家計画に初めて代替タンパク質のガイドラインを盛り込むことを発表した。
これまでに培養肉の販売が認められたのはシンガポールだけだが、韓国の国家計画に培養肉の安全性評価や製造プロセスの管理制度が盛り込まれることから、韓国でも近い将来、培養肉の認可が下りる可能性がある。
韓国では培養肉企業による研究開発が加速している。
細胞培養による豚肉、鶏肉、牛肉を開発するSpace Fは今年5月、韓国政府から助成金を獲得した。5月に約10億円を調達したCellMEATは、細胞培養によるエビ、カニ、ロブスターの開発を進め、シンガポール市場への参入を目指している。藻類由来の独自の足場、培地を活用するSeaWithは培養ステーキ肉を開発している。
DaNAgreenは1月にシリーズAラウンドで約8億円を調達した。同社は食品成分のみを使った技術開発に努めており、2023年には1キログラムあたり3万ウォン(約3,000円)、2025年には1キログラムあたり1.7万ウォン(約1,700円)にまで生産コストを削減できるとの見通しを示している。
参考記事
South Korean Cultivated Meat Startup TissenBioFarm Raises $1.6 Million In Pre-Series A
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アイキャッチ画像の出典:TissenBioFarm