フードテック

オイシックス・ラ・大地、サステナブル・シーフード発表会・試食会を開催

 

7日、オイシックス・ラ・大地と同社ファンドのFuture Food Fundが「サステナブル・シーフード最新動向発表会・試食会」を開催した。

発表会では、オイシックス・ラ・大地、Future Food Fundが連携している5社のシーフード領域におけるサステナブルな取り組みが紹介され、製品の試食が実施された。

登壇した5社を紹介する。

Impact Food

Impact Tuna 撮影:Foovo

カリフォルニアを拠点とするImpact Foodは、9つの原料のみを使用した植物マグロを開発している。

代替肉製品が先行するアメリカ市場では、代替肉は使用する原料や添加物が多いという消費者の懸念がある。Impact Foodはこうした消費者の懸念を払拭するため、クリーンラベルにこだわり、えんどう豆、海藻、ビーツジュースなど9つの原料のみを使用した代替マグロ「Impact Tuna」を開発した。

Impact Tuna」は今年3月からサンフランシスコベイエリアの日本食レストラン「Onigilly」で提供されている。

共同創業者兼CEOのKelly Pan氏によると、一部のレストランではポケボールの売上の10%を「Impact Tuna」が占めており、食べた人の反応は肯定的だという。Impact Foodは今後、マグロに続き、大トロ、サーモンの製品開発も行っていく予定だ。

写真は試食した植物マグロ「Impact Tuna」。本物よりもやや硬めの食感だが、味がしみこんでいて、ポケで食べる分には十分の出来栄え。魚の培養脂肪などを加えて、部位別にゆるさや脂身を加えることで本物に近づけられると思う。植物刺身を食べたのは初めてだったが、魚特有の臭みがないのは魅力だと感じた。

撮影:Foovo

撮影:Foovo

ディーツフードプランニング

左がディーツカツ、右がディーツ明太子 撮影:Foovo

会場には、こんにゃくとおからを原料としたプラントベース食品「Deats」も登場した。「Deats」は、肉や魚の“代替”ではなく、新しい第3の選択肢としてディーツフードプランニングが開発した次世代食品だ。

おからは豆腐や豆乳の生産過程で生じる食料残渣。おからを原料に使用することは、アップサイクルにもなる。

写真は「Deats」を使用した魚フライ「ディーツカツ」。魚らしいほくほくの歯ごたえに、同じく「Deats」を使用した「ディーツマヨ」が良いアクセントになっている。おにぎりの上に添えてあるのは「ディーツ明太子」だ。辛味もあり、少量だと言われてみないとわからないかもしれない。箸で広げて伸ばしてみると、粒粒感もあるように感じられた(小さくて判別できなかったが)。

ディーツマヨの上にディーツカツ 撮影:Foovo

ディーツ明太子 Foovo撮影

開発中のディーツうなぎ蒲焼きタイプ。試食はできなかった。 撮影:Foovo

関西電力・海幸ゆきのや

オイシックス・ラ・大地提供

エビの陸上養殖に取り組むのが、関西電力のスタートアップ海幸(かいこう)ゆきのや。屋内型閉鎖循環式エビ養殖「ISPS」を採用し、静岡県磐田市から次世代型水産養殖への挑戦を始めた。

世界的に養殖漁業へと生産がシフトしているが、現在主流の海面養殖は、餌や排出物による環境汚染が課題とされる。従来漁業の漁獲量は横ばいとなり、日本はエビの95%を輸入に依存している。

そうしたなか、海幸ゆきのやは計画的に安定供給できるバナメイエビの陸上養殖に取り組んでいる。陸上養殖によって輸送距離を縮められるため、フードマイレージを縮小できると考えている。掃除ロボットや微生物を使用して汚染物を除去し、海洋汚染を減らして「海を休めたい」思いもある。

関西電力・イノベーションラボ副部長の秋田亮氏は、「プレーヤーが少ないと全体の価格は下がらないので、参入プレーヤーを増やしたい。小規模であっても採算がとれる形態が大事だと思う」と述べ、自社の取り組みによって、他社が参入しやすくする「型」を作りたいと述べた。

FRDジャパン

右がFRDジャパンの養殖サーモン 左は海幸ゆきのやの養殖エビ Foovo撮影

千葉を拠点とするFRDジャパンも閉鎖型循環式陸上養殖でサーモン養殖に取り組んでいる。独自のろ過技術により、天然海水ではなく人工海水を閉鎖循環させて、水質を維持している。従来の陸上養殖では、最低1日30%前後の水替えが必要だったが、独自の脱窒装置を開発し、水替え不要の陸上養殖を可能にした。

現在は千葉で年間生産量30トンの実証実験プラントを運営している。今後は商用化に向けて年間生産量3000トンの商業プラントを建設する予定だ。

FRDジャパンの木更津プラント事業開発・マーケティング担当の宮川千裕氏は、「小規模生産で高級(価格で提供する)よりも、輸入サーモンを国産で置き換えるために大規模生産で同等価格を実現したい」と述べた。

北三陸ファクトリー

Foovo撮影

高品質な天然うに生産を目指し、世界で唯一の「うに牧場」に取り組むのが北三陸ファクトリー。北三陸ファクトリーは、国内外で問題となっている海藻がなくなる「磯焼け」により、実入りが悪くなった痩せうにを廃棄するのではなく、実入りの良い美味しいうにとして商品に変える取り組みを行っている。

うに再生養殖により、1個当たり廃棄費用5円がかかっていたところ、1個あたり500円の市場価値が生まれ、2ヵ月で100倍の価値を創出できるという。

出典:北三陸ファクトリー

北三陸ファクトリー取締役の眞下美紀子氏は、うにの再生養殖によって、環境保全、生産量が低下する冬場での需要対応に加え、雇用を創出できると考えている。同社はうに再生養殖を海外にも展開するため、今年4月、オーストラリアに現地法人を立ち上げた。

 

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アイキャッチ画像はImpact Tuna(Foovo撮影)

 

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