Foovo Deep

精密発酵で乳タンパク質を開発するBon Vivantが約24億円を調達、2025年の米国進出を目指す

画像はイメージ

精密発酵で乳タンパク質を開発するフランス企業Bon Vivantが今月、シードラウンドで1,500万ユーロ(約23億7,000万円)を調達した。欧州のベンチャーキャピタルSofinnova PartnersSparkfoodCaptechが主導したラウンドは、応募超過でクローズとなった。

Bon Vivantは調達した資金でフランス・リヨンの研究施設設置を進め、パートナー企業の要望に応えるためサンプルを大量生産する。また、承認申請の手続きを加速させ、アメリカで早ければ2025年の商用化を目指すとしている

Bon Vivantが約24億円を調達、2025年の米国進出を目指す

共同創業者のHelene Briand氏(左)とStéphane Mac Millan氏(右) 出典:Bon Vivant

2021年に設立されたBon Vivantは、B2B戦略で乳業・食品企業向けに、遺伝子組換え酵母を使用して牛由来と同等の乳タンパク質を開発している。

Green queenの報道によると、Bon Vivantは乳タンパク質を構成するホエイの1種・β-ラクトグロブリンと、乳タンパク質の8割を占めるカゼインを開発している。まず、β-ラクトグロブリンでアメリカでの認可取得を目指すようだ。

リヨンの研究施設には40リットルのバイオリアクターが設置され、パートナー企業に向けたサンプル生産を行う。商用規模にはまだ遠いが、この施設でサンプルを製造し、試験、商品開発を進めていく考えだ。

従来の乳製品を補完する精密発酵

出典:Bon Vivant

Bon Vivantは設立当初からB2B戦略を打ち出してきた。

Tech Crunchの報道によると、Bon Vivantは自社が開発する精密発酵乳タンパク質について、従来の乳製品を置き換えるものではなく、補完するものだと強調している。

Bon Vivantはこれまでにダノンやフランス発のヨーグルトブランドYoplaitと協議してきた。現在のパートナー企業は明らかにされていないが、代替乳製品や従来の乳業メーカーとの関係には「協力的」なものを感じると共同創業者のStéphane Mac Millan氏述べている

環境負荷を低減した方法でアニマルフリーな乳タンパク質を製造するBon Vivantと、原料から乳製品を作るノウハウ・インフラ・販路を持つ食品メーカーが協力することで、気候変動という地球規模の課題に対処するうえで「最大の影響」を与えることができるとMac Millan氏考えている

大手企業の精密発酵への参入状況

出典:パーフェクトデイ

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像はイメージ

 

関連記事

  1. 【2024年度版】精密発酵レポート販売開始のお知らせ
  2. 菌糸体由来肉のMeati Foodsが全米で販売開始、Sprou…
  3. 米Atlantic Fish Co、世界初の培養ブラックシーバス…
  4. 日本ハム、動物血清の代わりに食品成分で培養肉を作製
  5. とうもろこしから作られる砂糖|植物繊維のアップサイクルで砂糖を開…
  6. 農林水産省が培養肉、CO2タンパク質生産、泡盛粕のアップサイクル…
  7. Esco Aster、2025年までにシンガポールに新たな培養肉…
  8. 精密発酵スタートアップ9社が精密発酵組合を設立

おすすめ記事

培養肉の進展と課題-タフツ大学デイビッド・カプラン教授が都内で講演【セミナーレポ】

国際細胞農業カンファレンス(第13回培養食料研究会)が10日、都内で開催された。…

ビヨンドミートが代替ミルクにも参入か?ビヨンドミルクの商標を出願

アメリカの代表的な代替肉企業ビヨンドミートが、代替ミルクへの参入を進めている可能…

米The Every Company、精密発酵で作られた史上初の液状卵EVERY Eggを発表

精密発酵で卵白タンパク質を開発する米The Every Companyが、鶏に依…

農家に植物の「内なる声」を伝えるInnerPlantが約6.2億円を調達、植物のSOSを事前にキャッチ

自らSOSを発する「センサー植物」を開発するInnerPlantがプレシード、シ…

幅広い植物肉製品を開発するHungry Planetが約27億円を調達

植物性の代替肉を開発するHungry PlanetがシリーズAラウンドで2500…

微生物、空気、電気を使ってタンパク質を開発するSolar Foodsが約13億円を調達

微生物、空気、電気を使ってタンパク質を開発するソーラーフーズ(Solar Foo…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(02/21 14:43時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(02/22 00:24時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(02/22 04:19時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(02/21 20:41時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(02/21 12:47時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(02/21 23:38時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP