イギリスの培養ペットフード企業Meatly(旧称Good Dog Food)は、今月7日より培養鶏肉を使用したペットフード製品を発売すると発表した。
培養ペットフードが販売されるのはこれが世界初。
Meatlyは、植物由来ドッグフードの企業THE PACKと協力し、培養鶏肉(Meatly Chicken)と植物成分をブレンドした「Chick Bites」を開発。製品は、イギリスの大手ペット用品小売業者であるPets at Homeのロンドン・Brentfordの店舗で限定販売される。
Tech.euの報道によると、「Chick Bites」の販売価格は3.49ポンド(約650円)(50g)で、約750個が販売される予定だ。
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出典:Meatly / Pets a Home
Meatlyは昨年7月、イギリスでペットフード向けの培養肉の販売認可を取得しており、欧州において承認プロセスを経て認可を取得した最初の培養ペットフード企業である。今回、世界で最初に培養ペットフードを発売した企業にもなった。
さらに、Meatlyに出資しているPets at Homeは、イギリスで450以上の店舗を有する大手ペットフード小売業者であり、今回の販売により世界初の培養肉を使ったペットフードを提供する小売業者となった。
Meatlyの培養鶏肉は、鶏卵1個から採取した1つの細胞をもとに製造されており、これにより、ペットが一生食べる分の肉を作ることが可能だ。製造過程では、ウシ胎児血清(FBS)や動物血清などの動物由来成分は一切使用していない。
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出典:Meatly / Pets a Home
2024年の時点で、世界のペットフード市場は約1,267億ドル規模に達し、2025年には約1,329億ドルに達すると予測される。ある推計では、2025年に約2,086億ドルに拡大するとの予測もある。この市場の成長の背景には、ペットの数の増加や「ペットの家族化」による高品質フードへの需要の高まり、さらには南アフリカなど新興国市場の成長が影響している。
一方、アメリカではペットフードが畜産による環境負荷の25~30%を占めるという報告があり、急成長するペットフード市場において、環境負荷を軽減した持続可能なペットフードが求められている。
Meatlyによると、今後3-5年で生産を拡大し、Meatly Chickenをより広く提供するために追加の資金調達を実施する計画だ。また、THE PACKとPets at Homeとのさらなる協力も予定している。イギリス以外の欧州市場や、アメリカ市場への進出も視野にいれている。
培養ペットフードは当初、ニッチ市場と思われたが、環境志向や健康志向の高まり、「ペットの家族化」の進展により、この分野への関心と支持は広がっていくと予測される。
細胞培養によるペットフード開発では、韓国のEverything But、米BioCraft、チェコのBene Meat、シンガポールのUMAMI Bioworksなどの企業が確認されている。
参考記事(プレスリリース)
Meatly launches world’s first cultivated pet food!
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アイキャッチ画像の出典:Meatly