Foovo Deep

Vivici、精密発酵ホエイでGRAS認証を取得—規制強化が迫る中の進展|GRAS認証・自己認証の現状を図解

 

オランダの精密発酵企業Viviciが、アメリカ食品医薬品局(FDA)から精密発酵ホエイに関する「質問なし」のレターを受領した。Green queenが第一報を報じた。

これは、FDAがViviciの精密発酵ホエイの安全性を認め、ViviciがGRAS認証を取得したことを意味する。

同社は先月、シリーズAラウンドで3,250万ユーロ(約52億円)を調達し、今月にはアメリカでB2B企業向けに精密発酵ホエイ「Vivitein BLG」の提供を開始した

GRAS認証の取得はこれに続く重要な進展となる。

特に、今月10日にロバート・ケネディ・ジュニア厚生長官がGRAS自己認証の廃止を検討するようFDAに指示した中、ViviciがGRAS認証を取得したことは、今後の規制強化の可能性を考慮すると、大きな意味を持つ。

Viviciは昨年2月、欧州企業では初めてGRAS自己認証を取得しており、今回のGRAS認証はそれから約1年後の成果となった。

Viviciは、オランダの大手化学メーカーdsm-firmenichとニュージーランドの乳業大手フォンテラが2022年末に設立したオランダ企業。精密発酵によるホエイVivitein BLG」に続き、ラクトフェリンVivitein LF」も開発している。

出典:Vivici

プレスリリースによると、「Vivitein BLG」の用途として、ウォーターベースのプロテインドリンク、筋肉増強効果に優れているというプロテイン粉末、動物由来成分を使用したバーのような食感を持つビーガンプロテインバーを想定している。

FDAに提出されたGRAS通知によると、同社の精密発酵ホエイは、高タンパクな食品・飲料の原料として幅広い用途での使用が想定されている。

具体的には、代替食品、高タンパク粉末飲料、高タンパク飲料、栄養バー、乳製品・代替ミルク、ヨーグルト・代替ヨーグルト、チーズ・代替チーズ、冷凍乳製品、菓子類、ベーカリーミックス、そして肉・魚・卵の代替品において、最大50%までの使用が想定されている。

Green queenによると、同社はEU、イギリス、カナダ、シンガポールでの承認を目指しており、その一部地域では申請書を提出しているという。

精密発酵企業のGRAS認証と自己認証-企業の現状を図解

ケネディ長官の指示が波紋を呼ぶ中、アメリカ市場への参入を目指す精密発酵企業を、GRAS認証・自己認証に分けて企業毎に現在の状況を整理すると次のようになる。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Vivici

 

関連記事

  1. 細胞培養で母乳を開発するTurtleTreeがラクトフェリン粉末…
  2. 香港培養肉スタートアップのAvant Meatsが培養魚の切り身…
  3. 乳製品生産の再考|牛に頼らず細胞培養でミルクを開発するドイツ企業…
  4. エストニアで進むマイコプロテイン開発|ホールカット代替肉を開発す…
  5. プラントベース×精密発酵を手掛けるAll G Foodsにオース…
  6. ビヨンドミート、菌糸体由来ステーキ肉の発売計画を発表
  7. Aqua Cultured Foodsが微生物発酵による代替イカ…
  8. 「チキンのテスラ」で知られる植物肉の米SIMULATEが約55億…

おすすめ記事

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foodsが日本で登録商標を取得

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foods(旧称MeaTech)は…

イート・ジャストがシンガポールにアジア初の生産拠点を建設、培養肉の協業も

植物性代替卵のイート・ジャストがアジア進出拡大に乗り出した。投資機関Pr…

【創業者インタビュー】精密発酵でヒト母乳タンパク質を開発するPFx Biotech|健康と栄養に役立つ高価値タンパク質の創出

2022年に設立されたポルトガル企業PFx Biotechは、精密発酵によりラク…

微細藻類で代替タンパク質を開発するBrevelが約25億円を調達|色も風味もニュートラルなタンパク質

イスラエルのバイオマス発酵スタートアップのBrevelは今月、シードラウンドで1…

Index Biosystemsが開発したバイオ由来の微細バーコード「BioTags」、包装に依存しないトレーサビリティソリューション

カナダ企業Index Biosystemsは、バイオベースのトレーサビリティ技術…

培養サーモンの米Wildtype、レストラン・小売との提携を発表

細胞培養による培養サーモンを開発するアメリカのWildtype(ワイルドタイプ)…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

リアルセミナー@東京のお知らせ【2025/6/18】

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/25 15:11時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/26 01:05時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,940円(05/26 05:02時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(05/25 21:11時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(05/25 13:16時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(05/26 00:18時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP