代替卵に新たなトレンドが生まれつつある。
アメリカのJUST Eggに代表されるような液状卵から、黄身と白身が分かれたタイプの代替卵に取り組む企業が増えている。
イスラエルのYO-Eggが新たにこのリストに加わった(公式サイトは作成中の模様)。
同社は、特許出願中の独自の成分を使用して、黄身と白身に分かれた100%植物性の代替卵を開発している。
YO-Eggは今後数ヵ月かけてイスラエルのレストラン、スーパー、カフェ、ホテルなどに導入した後は、イギリス進出を目指している。
卵黄と卵白に分かれた代替卵を開発するイスラエル企業YO-Egg
YO-Eggの卵は、本物の動物性卵のように黄身と白身に分かれている。
YO-Eggの卵白部分にはさまざまな成分が含まれ、動物性卵にあるすべての栄養成分を含むという。
黄身の部分は、分子プロセス技術により独自の成分を組み合わせて「卵黄」を形成している。白身、黄身を形成するいずれの技術も、現在特許を出願している。
YO-Eggの植物成分をベースとした代替卵は、コレステロールを含まず、サルモネラ菌など動物由来の食中毒が発生する恐れもない。
インスタグラムによると、目玉焼きだけでなく、フリッタータ(キッシュに似たオムレツ料理)も作ることができる。
急速な成長が見込まれる代替卵市場
植物性代替卵の市場は、代替ミルクと比べるとシェアはまだ小さいものの、アメリカのプラントベース市場においては2019年から2020年にかけて約2.7倍に成長している。
最新の報告によると、世界の卵市場は、2020年の2131億ドルから2021年には2273億ドルに成長すると予測される。2025年には2974億ドルに達すると見込まれる。
特に、アジアは世界最大の卵市場となっており、2020年には市場全体の64%をアジアが占めている。
温室効果ガスの排出量が最も多い畜産品は牛肉だが、卵も1kgあたりの温室効果ガス排出量が4.67kgと、無視できない影響をもたらしている。
国内では9割以上の養鶏場が、バタリーケージと言われる集約飼育方式を導入しており、鶏は一生満員電車に乗り続けるような状況に置かれている。
こうした集約飼育では、感染予防のために抗生物質が投与されるが、抗生物質が効かなくなる耐性菌の問題も指摘されている。
さらに、日本では2020/21年シーズンに鳥インフルエンザによる殺処分された数は711万羽と、1シーズンでの被害としては過去最多となっている。
こうした背景からも、今後、動物性卵から植物性卵への切り替えは加速していくと予想される。
YO-EggはYosefa Ben Cohen氏が2019年に設立したイスラエル企業。
同氏は2021年のAgriFood 女性経営者コンテスト(AgriFood Women’s Entrepreneurship Competition)のファイナリストに選出されている。
日本企業も植物卵に参入
代替卵への参入企業は増えており、最近では日本のネクストミーツが植物性卵「NEXT EGG 1.0」の商品化に成功した。
キューピーも業務用の代替卵を開発している。
海外では、代表格となるイート・ジャストのほか、シンガポールのFloat Foods、OsomeFood、インドのEvo Foods、イスラエルのEgg’n’upなどが登場している。
なかでも、YO-Eggの競合となるのが、シンガポールのFloat Foodsだ。同社も卵白と卵黄に分かれた植物性卵を開発しており、来年にシンガポールでの販売を目指している。
参考記事
Israeli Startup YO-Egg Creates Sunny-Side-Up Vegan Egg Sans Chickens
Israeli Startup YO-Egg Creates Hyper-Realistic Product Offering Same Nutrients as Poultry Eggs
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アイキャッチ画像の出典:YO-Egg