代替プロテイン

GOOD Meatが培養肉生産に無血清培地を使用する認可をシンガポール当局から取得

 

米イート・ジャストの培養肉部門GOOD Meatは18日、培養肉生産に無血清培地を使用する許可をシンガポール食品庁(SFA)から取得したことを発表した

無血清培地は、培養肉の生産プロセスから動物血清の除去を可能とし、培養肉の生産拡大と製造コストの削減に寄与するものとなる。

イート・ジャストの共同創業者兼CEOのジョシュ・テトリック氏は、「少し前まで、血清の除去は培養肉のスケールアップを制限する主要なものと考えられていました。当社チームがまさにこれを実現し、今週これを商用化するための承認を得たことをこの上なく誇りに思います。これは当社、培養肉業界、地球の健康にとって一歩前進です」とコメントしている。

出典:GOOD Meat

GOOD Meatは2020年12月に世界で初めて培養鶏肉製品をシンガポールのレストランで販売し、現在でも世界で唯一培養肉の販売許可を取得した企業となる。同社はその1年後、新しい培養鶏肉製品でも販売認可を取得した。今回、無血清培地の承認を得たことで、まもなく、より効率的で有利な生産プロセスへ移行するという。

GOOD Meatは現在、シンガポールに培養肉工場の建設を進めている。このパイロット工場は今年開設する予定で、生産能力は数万ポンド規模となる(1万ポンドは約4.5トン)。同社はABECと提携して、この工場に6000リットルのバイオリアクターを設置する予定であり、無血清培地を使用した生産プロセスで稼働するという。

出典:GOOD Meat

GOOD Meatの培養肉は会員レストラン1880をはじめ、人気ホーカー店(屋台)、高級レストランで限定販売されたほか、現在、Foodpandaのデリバリーで毎週木曜日に限定販売を実施している。

今月からは、高品質な精肉店で知られるHuber’s Butcheryに隣接したレストランで毎週、培養鶏肉を使用したメニューを注文できるようになった。予約注文開始から10分で枠が埋まるなど、培養肉の供給は現状ではまだ限定的だが、今回の無血清培地承認を受け、今年シンガポールで工場が稼働を開始すれば、供給量は徐々に増加していくと予想される。

GOOD MeatはABECと提携して25万リットルの大型バイオリアクターを製造しており、2024年後半にアメリカで操業予定の大規模工場に10基を導入することを計画している

同社はカタールにも培養肉工場の建設計画を発表しており、シンガポールから同国内外に向けて細胞農業のイノベーションを推進するうえで重要な役割を担っている。

 

参考記事

GOOD Meat Receives Approval to Commercialize Serum-Free Media

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:GOOD Meat

 

関連記事

  1. ビヨンドミートが新しいビヨンドバーガーを5月に全米小売で発売
  2. Daisy Labがシード資金を調達、今年半ばに精密発酵プロトタ…
  3. 精密発酵レポート好評販売中(2022年版)
  4. AQUA Cultured Foods、シカゴの高級レストランで…
  5. The Every Company、アニマルフリーな卵白タンパク…
  6. MycorenaとRevo Foodsが3Dプリント用マイコプロ…
  7. 安価な成長因子を開発するカナダのFuture Fieldsが約2…
  8. 微細藻類で代替タンパク質を開発するBrevelが約25億円を調達…

おすすめ記事

Umami Bioworks、ペットフード用途で細胞性シーフードのEU登録完了、日韓マリンコスメ市場進出へ【インタビュー】

出典:Umami Bioworks「技術にこだわるのではなく、消費者が求めている最終製品を生…

イスラエルのChickPがひよこ豆由来のビーガンマヨネーズを開発

イスラエルのChickPが、ひよこ豆を原料とした植物性マヨネーズを開発した。…

ニュージーランド企業Daisy Labが精密発酵ホエイのスケールアップ生産に成功

ニュージーランドの精密発酵企業Daisy Labは、10Lのバイオリアクターを使…

カナダ企業のピザ自販機PizzaFornoが北米3ヵ国に進出

北米初のピザ自販機を開発したカナダ企業PizzaFornoがピザ自販機の導入エリ…

SimpliiGoodのスピルリナ由来のビーガンスモークサーモン、6ヶ月以内に小売店に導入へ

2025年4月30日更新イスラエルの微細藻類スタートアップSimpliigoodは22日、ス…

アレフファームズがブラジル食肉大手BRFと培養肉の開発・ブラジル導入で提携

イスラエルのアレフファームズとブラジル大手の食肉メーカーBRFは、培養肉の開発と…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(09/15 15:53時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/16 02:15時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/16 05:56時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/15 21:54時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(09/16 13:52時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(09/16 01:11時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP