植物を「ミニ工場」として特定成分を作る分子農業が注目されている。
代替タンパク質の促進・普及を目指す海外の非営利シンクタンクGFI(Good Food Institute)は、微生物を活用する微生物発酵に続き、代替タンパク質の第4の柱として分子農業に注目している。
これまでに遺伝子組換え植物を使用して乳タンパク質を製品化した企業はまだ確認されていない。
2020年に設立されたニュージーランド企業Mirukuの共同創業者兼CEO(最高経営責任者)であるAmos Palfreyman氏は、「精密発酵で作られた乳製品は市販されていますが、植物で生成された乳タンパク質はまだありません。当社がその最初の企業になりたいと思っています」とFoovoに述べた。
曾祖父の時代から4代にわたる酪農家というバックグラウンドを持つPalfreyman氏は、「私の父は45年間、酪農業に携わっています。私も乳製品業界にいますが、植物の中に乳製品を作るという、少し違ったことをしています。乳製品の生産を再構築することを考えています」と語る。
分子農業はさまざまな植物を「ミニ工場」として使用する。Mirukuが使用するのはベニバナだ。
Mirukuの現在の取り組み、今後の展望についてPalfreyman氏に聞いた。
ベニバナ種子を使用して乳タンパク質・乳脂肪を生成
Mirukuはベニバナに牛の乳タンパク質の情報を与え、ベニバナの種子の中に本来生成されるタンパク質と脂肪ではなく、乳タンパク質と乳脂肪が生成されるようにした。
種子からタンパク質と脂肪を抽出するプロセスは、大豆の種子で現在業界で使用されているのと同様のプロセスを使用できるという。
「植物から種子を取り出し、工場へ運びます。工場で種子を粉砕すると、タンパク質、脂肪が放出されます。これがエマルジョンや水性クリームとなり、チーズ、ヨーグルトなど美味しい乳製品を作るためのタンパク質原料となります」
ベニバナを使用する分子農業企業にはイギリスのMoolec Scienceもあるが、同社がベニバナで開発する対象は乳タンパク質ではない。Palfreyman氏によると、ベニバナを使用して乳タンパク質を開発する企業はMirukuだけだという。
分子農業がクリアすべき2つの規制プロセス
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アイキャッチ画像の出典:Miruku