シンガポールの培養シーフード企業UMAMI Bioworksは、培養魚を使用した猫用おやつ製品の販売に向けて米Friends & Family Pet Foodとの提携を発表した。
UMAMIはヒト向け、ペット向けに培養シーフードの製造プラットフォームを開発している。ペットフード分野では昨年CULT Food Scienceと提携し、培養キャットフードブランドMarina Catを発表した(発売はまだ)。ペットフード分野では、Friends & Family Pet Foodとの提携はUMAMIにとって2社目となる。
二社は2025年第1四半期の販売を目指している。
培養ペットフード業界のベテランが立ち上げたスタートアップ
Friends & Family Pet Foodはカリフォルニア州に今年設立されたスタートアップ企業。同社は培養タンパク質や他の持続可能なタンパク質をペットフードとして商品化することで、現在の動物タンパク質から環境と動物に優しいタンパク質への移行を目指している。
設立間もないスタートアップだが、CEO(最高経営責任者)のJoshua Errett氏の経歴を見る限り、培養ペットフードに関してかなりの知見とネットワークを有していることは想像に難くない。
Errett氏は初期から知られる培養ペットフード企業Because Animals(現在のBioCraft Pet Nutrition)を創業後、ペットフードブランドのNoochies!を立ち上げた。同ブランドは昨年、CULT Food Scienceの子会社Further Foodsに買収された。Errett氏は昨年12月までCULT Food Scienceの副社長を務めており、今年3月にFriends & Family Pet FoodのCEOに就任している。
Errett氏はGreen queenのインタビューに対し、「当社チームは各自がペットフード業界に10年以上携わっており、製造、流通、小売のネットワークが確立しています。私たちは、犬用・猫用のおやつ、サプリメント、バランスの取れた完全食(の発売)を計画しています」と述べている。
2025年前半の上市を目指す
Green queenの報道によると、二社が開発する猫用おやつ製品は、発売時には培養魚を最大で10%含有するが、長期的には培養魚の配合量を25-30%に高めることを目指している。製品には培養魚のほか植物成分、微細藻類も使用している。
現在、アメリカ・シンガポールの規制当局と協議を続けており、年末までに最初の認証を取得したいと考えているようだ。2025年第1四半期に猫用おやつ製品の発売を目指している。
Friends & Family Pet Foodの最初のパートナー企業はUMAMIとなったが、同社のミッションを考えると、精密発酵でペットフードを開発するBond Pet Foods、ペットフード用にヘムを使用したいPaleoなど、さまざまな企業との提携を目指していると考えられる。
英国で認可、米国で協議が進行
先月には培養ペットフードに関する大きなニュースが2つあった。
イギリスのMeatlyは先月、イギリスで培養ペットフードの販売認可を取得し、欧州で初めて培養ペットフードの販売認可を取得した企業となった。
CULT Food Scienceの子会社Further Foodsも先月、培養鶏肉を含むドッグフード製品の承認に必要な給餌試験の設計をまもなく完了することを発表した。給餌試験設計プロトコルをFDAに提出すると、提出後45日以内にFDAから回答が得られる。FDAの許可が得られた後、今年第4四半期に26週間にわたる給餌試験を開始する予定だという。
培養ドッグフードはNoochies!ブランドとして発売される予定。Noochies!の代替ペットフードはアメリカ・カナダの一部小売・オンラインで販売されているが、同ブランドは新たに培養ペットフードへの参入も目指していることとなる。
参考記事
Friends & Family Pet Food Co. to Debut Cultivated Fish Treats for Cats with Umami Bioworks
UMAMI Bioworks announces partnership with Friends & Family Pet Food Co
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アイキャッチ画像の出典:Friends & Family Pet Food