オランダの培養肉企業Meatableは4月30日、培養肉の受託製造を専門とするTruMeatと戦略的パートナーシップを発表した。
二社は、Meatableの技術を活用したTruMeat運営の新工場をシンガポールに建設し、プロセスの最適化や培地開発でも協力する計画だ。
この提携は、Meatableが培養肉を商用規模かつ手頃な価格で供給するという目標への重要な一歩と位置づけられている。プレスリリースによると、建設予定の施設は、製品開発や市場投入を目指すパートナー企業向けに必要なコスト・生産量を実現する体制を整えるという。
AgFunderの報道によると、TruMeatの施設の着工は今年後半に予定されている。完成には数年かかると予想されるが、TruMeatのモジュール型アプローチはアジア市場における培養肉の供給強化策として期待される。
シンガポールではCDMO企業Esco Asterが先行して培養肉の受託製造事業を展開しており、Meatableは2022年10月に同社との協業を公表したものの、その後の進捗は明らかになっていない。
培養肉の大量生産に向け、TruMeatと提携

出典:Meatable
Meatableは、動物を犠牲にすることなく、従来の25倍のスピードで培養肉を生産できる技術を有する。2023年5月には独自のOpti-ox技術により、培養肉の生産期間を3週間から8日間へ短縮したと発表。翌2024年3月にはさらに4日間へと短縮したと報告した。
同社は2023年5月にシンガポールで初の試食会を実施、2024年4月にはEUで初となる培養肉の試食会をオランダで開催している。
2023年後半にはオランダにパイロット工場を開設したが、EUでは培養肉の販売はまだ認められておらず、最初の上市先として、培養肉の販売が最初に認められたシンガポールでの上市を目指してきた。
Meatableは2024年後半にシンガポールのレストランでの導入を目指してきたが、シンガポール当局への申請増加(下記画像)より、販売認可にかかるリードタイムが長期化している可能性が考えられる。

培養肉の申請・承認状況 Foovo調査により作成(2025年3月22日時点)
一方、TruMeatは、連続プロセスによるモジュール型の細胞培養プロセスを強みに、培養肉の商用化に向けた世界規模のサプライチェーン構築を目指す企業だが、詳細はまだ公開されていない。
MeatableのCEOを務めるJeff Tripician氏は、「私たちはTruMeatの専門知識を全面的に信頼しており、協力することで効率的にスケールできると確信しています」とコメントしている。
世界各地における培養肉工場の動向

出典:Cultivate at Scale
世界では培養肉の生産工場の整備が加速している。
オーストラリアのVowは2022年10月、シドニーに年産30トンの工場を開設した。Vowはシンガポール、香港の認可に続き、先月、オーストラリア・ニュージーランド当局から安全性評価を取得。大臣会合の最終承認をもって、今年前半には最終的な販売認可が下りる見込みだ。
イスラエルのBeliever Meatsは米ノースカロライナ州で年産12,000トンの培養肉工場を建設中で、2025年の稼働が予定されている。昨年6月には、UAEのAGWAと組み、中東展開を加速した。
スイスでは12月、ミグロ、ジボダン、ビューラーグループの合弁事業として「The Cultured Hub」が稼働を開始し、1,000Lの培養設備を備えた拠点として欧州勢の開発を後押ししている。さらに2025年1月には、オランダ政府支援のオープンアクセス施設が2箇所開設された。
イスラエルのアレフ・ファームズは昨年3月、BBGI、Fermbox Bioとの協力で、タイに年産1,000トン規模の新工場を建設する計画を発表した。
培養ウナギを開発するイスラエルのForsea Foodsは今年2月、2027年のシンガポール進出に向けて、京都にパイロット工場を建設する計画を発表した。
※本記事は、下記プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
Meatable and TruMeat Collaborate to Accelerate Cost-effective Cultivated Meat Production
関連記事
アイキャッチ画像の出典:Meatable