出典:Prime Roots
菌糸体由来の代替肉を開発する米Prime Rootsは、7年におよぶ研究開発の成果として、菌糸体由来のデリミート7品を刷新。プレスリリースによると、第三者によるブラインドテストでは、肉を食べる人の大多数が「従来のデリミートよりもPrime Rootsの製品を好む」と回答した。
6月末にニューヨークで開催されたSummer Fancy Food Showで披露されたこの製品群は、従来と同様に店頭でのスライス提供を前提とした設計となる。
同社はすでに2022年11月から店舗でスライスできる菌糸体由来のデリミート製品を一部店舗で展開してきたが、今回さらに改良した全7品を発表した。
今回のラインナップには、スモークターキー、クラックドペッパーターキー、スモークハム、ブラックフォレストハム、サラミ、加熱で反り返るカッピング・ピザペパロニ、そしてベーコンが含まれる。
製品は、国際がん研究機関(IARC)が発がん性物質(グループ2A)に分類する亜硝酸塩を含まないクリーンラベルな代替肉となり、コレステロールも一切含まない。環境負荷も従来の肉生産と比較して、二酸化炭素を91%、水使用量を92%削減できるとされ、健康とサステナビリティの両面でメリットのある製品となる。
これらの製品は、市販の業務用スライサーにも対応しており、デリ向け、レストラン向けとなる。プレスリリースの発表時点でPrime Rootsの製品はアメリカ30州以上におけるデリ、食料品店、レストランの数百店舗で取り扱われており、一部小売ではデリ売上が20%増加したとの報告もあるという。
これについて共同創業者のKimberlie Le氏は「シェアを獲得するだけでなく、カテゴリーを成長させているのです」と述べている。
3年で7店舗→300店舗以上に拡大

出典:Prime Roots
Prime Rootsは、今年4月にはカナダ市場にも進出した。プレスリリースによると、カナダでは人口の35%がフレキシタリアン、ヴィーガン、ベジタリアンと推計され、プラントベース需要が高いことから、ピザ店やサンドイッチ店、レストランなど幅広い導入が期待される。
Le氏は「カナダで創業された企業として、以前から多くの飲食事業者や消費者の皆さまからご要望をいただいていた Prime Roots を、ついに母国でご紹介できることを大変嬉しく思います」と述べている。
Prime Rootsによると、米国のデリミート市場は約3,000億ドル規模とも言われる。店舗でスライスという伝統的な購買体験を維持しつつ、栄養価と環境負荷の改善を同時に実現した同社製品は、2022年8月の7箇所から約3年で、アメリカで300箇所以上へと拡大を遂げた(2025年7月31日時点)。

出典:Prime Roots(公式ロケーター上で確認できる300超の取扱拠点 2025年7月31日時点)
この急速な拡大は、健康やクリーンラベルへの関心の高まりとともに、Prime Rootsの製品が消費者の支持を着実に得ていることを示している。今後、北米でのさらなる展開に加え、グローバル市場への広がりにも注目が集まる。
Prime Rootsは、菌糸体としてAspergillus Oryzae(麹)を使用している。一方、日本国内でも2024年に創業した麹ラボが、同じく麹を用いたマイコプロテインの開発に取り組んでおり、先月には都内で初となる一般向けの試食会を開催した。
海外で菌糸体由来の代替肉が広がる中、日本でもマイコプロテイン製品の上市に対する期待が高まりつつある。
※本記事は、プレスリリース(①・②)をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Prime Roots