代替プロテイン

細胞性食品を開発するフランスのPARIMA、シンガポールで細胞性鶏肉の認可を取得|欧州企業として世界初の認可

 

フランスの細胞性食品企業PARIMAは今月23日、シンガポールで細胞性鶏肉(培養鶏肉)の販売認可を取得したことを発表した

シンガポールのみならず、世界的にみても、ヒトを対象とした細胞性食品において欧州企業が販売認可を取得するのはこれが初

シンガポールでは、2020年12月に世界で初めて米イート・ジャストが細胞性鶏肉の販売認可を取得し、2024年4月にはオーストラリアのVowが認可取得を発表した。PARIMAの承認はシンガポールにおけるヒト向けの細胞性食品では3社目の事例となった。

PARIMAは、細胞性フォアグラを開発するフランスのGourmeyが細胞性鶏肉のVital Meatを買収して今月設立された。今回の承認は、Vital Meatが買収される前に開発した技術と資料に基づくものであり、同社が2023年12月にシンガポール食品庁(SFA)への提出を発表してから、約1年10ヵ月後の承認となった。

出典:Vital Meat(PARIMA)

欧州企業として初の承認であるとともに、申請数増加により審査の遅延が懸念されていたシンガポール市場において、ヒト向け細胞性食品では約1年半ぶりの認可事例となった。

なお、ペットフードまで含めると、米Friends & Family Pet Foodが今年7月にシンガポールで培養ペットフードの販売認可を取得している。

PARIMAのほかにも、シンガポールではこれまでに、モサミートアレフ・ファームズMeatableなどさまざまな細胞性食品企業がシンガポールで申請を完了している。

細胞性食品の認可状況(2025年10月29日時点) Foovo調査により作成

PARIMAはアヒルの2種類の動物種を開発することで、高級市場マスマーケットの双方を視野にいれている。同社は今月、フォアグラやパテなどの製品に原料として使用することを目的に、オーストラリア・ニュージーランド食品基準局FSANZ)にアヒル(Anas platyrhynchos domesticus)の細胞性食品の申請を完了したことを発表した。

EU、スイス、イギリス、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールを含む8地域で承認申請を実施しており、そのうちの1つ、シンガポールをクリアしたこととなる。

Foovoのヒアリング調査では今年8月の時点で、シンガポールの小売店Huber’s ButcheryでGOOD Meat(イート・ジャストの培養肉部門)の細胞性鶏肉を3%含んだ製品の販売が継続されている。公式サイトでも販売継続とされている

Vowも現在、シンガポールの19箇所で提供を継続(2025年10月29日時点)しており、オーストラリア・シドニーでは近日中に家庭向けの細胞性ウズラのスモークスプレッドを限定販売することを予告している

▼細胞性食品の認可・申請状況まとめ(Foovo調査/2025年10月29日時点)

細胞性食品の認可状況(2025年10月29日時点) Foovo調査により作成

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:PARIMA

 

関連記事

  1. ユニリーバ、代替肉ブランドThe Vegetarian Butc…
  2. ゲイツ氏、ベゾス氏が支援するNature’s Fyn…
  3. アブダビ投資庁がThe EVERY CompanyとVivici…
  4. 【世界初】Shiok Meatsが試食会で培養カニ肉料理を発表
  5. イスラエルのWilk、研究室でヒトラクトフェリンの生産に成功
  6. DM三井製糖、2026年から植物性マグロの提供を計画|海外新興も…
  7. 植物性の全卵を開発するYo Eggが米国進出を実現、ビーガン落と…
  8. 3D Bio-Tissuesが植物性足場を使用しない培養ステーキ…

おすすめ記事

Onego Bio、精密発酵卵白タンパク質で米国GRAS認証を取得、米国で2社目|先行企業EVERYとの特許係争も

出典:Onego Bioフィンランドのフードテック企業Onego Bioは今月22日、精密発酵で…

Calystaの単細胞タンパク質FeedKind、水産養殖への使用で米国GRASステータスを取得

動物飼料や食品向けの微生物タンパク質を開発・製造する米Calystaは、同社の主…

トマトで代替マグロを開発するスペイン企業Mimic Seafoodとは

スペインのフードテック企業Mimic Seafoodはユニークな原料を使って代替…

Meweryが微細藻類を活用した最初の培養肉プロトタイプを発表

チェコの培養肉企業Meweryは、培養豚肉細胞と微細藻類をブレンドした培養肉のプ…

グリラス、国産食用コオロギを使用したプロテインバー等をコンビニで販売開始

日本の徳島大学発ベンチャー企業であるグリラスが、国産の食用コオロギを使用した自社…

ソーラーフーズ、微生物タンパク質を使用したアイスクリームをシンガポールで発売

フィンランド企業ソーラーフーズは今月、二酸化炭素と微生物を活用して開発した代替タ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/29 16:11時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/29 02:43時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/29 06:18時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/28 22:10時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(10/29 14:11時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/29 01:29時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP