出典:Kinish
島津製作所は10月20日、植物性アイスクリームの販売と、植物分子農業によるカゼイン開発に取り組む日本発のKinishに出資したと発表した。Kinishは同日、シリーズAラウンドのファーストクローズで4億9,000万円を調達したと発表。
島津製作所のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンドShimadzu Future Innovation Fund、大林組などが出資した。
Kinishは調達した資金で、コメ由来の植物性アイスクリームを日米で販売拡大するとともに、カゼイン含有量の向上に向けたイネの品種改良、植物工場で量産に向けた研究開発を進める。同社はアメリカでの事業拡大に向けて、ニューヨークにオフィスを開設している。
植物性アイスの販売拡大、コメでカゼイン発現に成功

出典:Kinish
Kinishは2023年に橋詰寛也氏が創業。米を活用した植物性アイスクリームの開発に加え、イネに乳タンパク質のカゼインを生成させ、乳製品の原料として活用する技術を開発している。
昨年8月にコメ由来の植物性アイスクリーム「The Rice Creamery」を都内で発売。現在販売している製品には通常の国産米を使用しており、研究開発中のカゼインを生産するイネは使用していない。
その後、国内約500店舗まで販路を拡大したほか、同年10月にはアメリカ・ワシントンDCの小売店やMetaのオフィスでも販売した。
Kinishが植物性アイスクリーム事業と並行して進めるのが、イネにカゼインを生成させる技術の開発だ。これは植物分子農業と呼ばれるもので、植物に遺伝子を導入し、植物を「ミニ工場」として特定成分を生成させる技術となる。ワクチンや抗体など医薬品の生産にも用いられてきた技術であり、近年、その開発対象は食用タンパク質にも広がりつつある。
Kinishはすでにコメにカゼインを発現させることに成功しており、含有量を高めるための改良を進める。

出典:Kinish
また、植物工場での実証実験では、草丈約20cmの小型イネを用い、3ヶ月で1㎡あたり2,079gの玄米を収穫した。露地栽培の平年収量は、年1作で1㎡あたり539gとなる。同社は、植物工場での多段式の垂直栽培も視野に入れる。
島津製作所、海外の細胞性食品企業を視察

出典:Bene Meat Technologies
島津製作所は、食品やライフサイエンス分野、環境分野で分析・計測技術を提供してきた。同社は、原料や製品、栽培環境の分析評価、品質管理手法の高度化、植物工場における計測技術の活用などでKinishと協業し、研究開発を支援する方針だ。
島津製作所は、細胞性食品の分野でも海外企業との接点を広げている。
チェコの細胞性食品企業Bene Meat Technologiesは10月5日、島津製作所の冨田眞巳常務執行役員ら日本の経営陣や欧州支社の代表団がプラハの研究施設を視察したと発表した。
Bene Meatは島津製作所の分析機器やクロマトグラフィー装置を研究所に導入しており、視察では細胞株や培地の開発から、品質管理、自動化、量産化、最終製品に至る取り組みを紹介した。
Bene Meatは、細胞性食品を原料に用いたペットフードを開発しており、2023年に欧州で細胞性食品を欧州飼料原料登録簿に登録した。今年5月には、イタリアのペットフードメーカーと共同で、細胞性食品を26%配合した犬用ウェットフード「Coolty Meat」を発表した。同社によると、この製品はすでに商用化されている。
島津製作所は大阪大学などと設立した「培養肉未来創造コンソーシアム」にも参画している。植物分子農業への出資と細胞性食品企業への視察はそれぞれ別の動きだが、分析・計測技術を軸に新しい食品生産への関与を広げている。
※本記事は、プレスリリース①・②をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクまたはページ番号を付与しています。
フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから
関連記事
アイキャッチ画像の出典:Kinish















































この記事へのコメントはありません。