代替プロテイン

発芽オーツ麦でカゼインを開発|イスラエル発の植物分子農業スタートアップPlantopiaが約14.7億円を調達

出典:Plantopia

植物分子農業で乳タンパク質を開発するPlantopia(旧称Pigmentum)が900万ドル(約14億7,000万円)を調達したラウンドはアメリカの乳製品大手Schreiber Foodsが主導し、Plantopiaの調達総額は1600万ドル(約26億円)超となった。

イスラエルを拠点とするPlantopiaは2018年創業。

同社は旧社名Pigmentumの時代、ロメインレタスを用いてカゼインを生産していた。その後、4種類のカゼインについて、より高い発現量と低コストでのバイオマス生産が見込めることから、主な生産植物を発芽オーツ麦へ変更した

植物分子農業は、特定の遺伝子配列を植物に導入し、植物に目的物質を作らせる手法をいう。植物が「生産工場」となるイメージだ。

Plantopiaは現在、発芽オーツ麦を「生産工場」とした植物分子農業で、牛乳に含まれるタンパク質の約8割を占めるカゼインを開発している

出典:Plantopia

公式サイトによれば、同社はαs1、αs2、β、κの4種類のカゼインの発現に成功している。開発中のカゼインは牛乳由来カゼインと分子構造が同等で、ミセル化と凝固機能も実証済みだという。1kgあたり15-20ドルでの提供を見込んでいる。

動物に依存しないカゼイン生産では、精密発酵や細胞培養の技術も知られるが、Plantopiaはこれらの技術について、コストが高く、スケールアップに多額の設備投資が必要で、インフラや精通した人員の不足も実用化を阻む要因になっていると指摘している

Globes報道によると、Plantopiaはイスラエルのキブツ・スドット・ヤム(農業などの経済活動を行う共同体)に工場の建設を進めており、年内に自社技術を導入する予定だ。

AgFunder報道によると、Plantopiaは、オーツ麦にカゼインを生産させる方法として、形質を次世代に継承する遺伝子組換え方式と、一時的に発現させる一過性発現方式を開発している。

後者は、導入した遺伝物質が植物のゲノムに安定的に組み込まれず、一過性の発現となるため、規制上のハードルが比較的低いという。最終製品にアグロバクテリウムや組換えDNAが残存しなければ、国や地域によっては非遺伝子組換えとして扱われる可能性があるという。

植物分子農業でカゼインを開発する取り組みは広がりつつある。

植物分子農業によるカゼインの食品利用で認可を取得した企業は確認できていないが、日本のKinishイネ、イスラエルのFinally FoodsジャガイモAspyre FoodsウキクサMozza Foods大豆を用いたカゼイン生産に取り組んでいる。

 

※本記事は、海外メディアの記事をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Plantopia

 

関連記事

  1. 英国、食品イノベーション9分野で精密発酵・細胞性食品を短期の対応…
  2. 【2024年度版】精密発酵レポート販売開始のお知らせ
  3. 韓国・慶尚北道、韓国初の培養肉研究センターの設立へ—2027年完…
  4. 英Multus Biotechnologyが約12億円を調達、増…
  5. パーフェクトデイが約390億円を調達、今秋にアニマルフリーなクリ…
  6. インテグリカルチャー、住友理工と戦略的提携|2026年にシンガポ…
  7. 味の素がイスラエルの培養肉企業スーパーミートに出資、培養肉の商用…
  8. Remilkがカナダで精密発酵乳タンパク質の認可を取得

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

Nature’s Fyndがカナダで微生物由来タンパク質Fyの認可を取得

極限環境微生物を使用して代替タンパク質Fyを開発する米Nature’s Fynd…

精密発酵ホエイ・カゼイン開発の最前線|精密発酵による乳タンパク質開発の今をクローズアップ【Foovo独自調査】

2025年6月:後半のスライドを修正・差し替えました。ネスレに続き、ユニリーバも精密発酵乳タ…

GRAS自己認証に終止符か|米国FDA、通知義務化の規制案をアジェンダに追加

ロバート・ケネディ・ジュニア米保健福祉長官(出典:米保健福祉省)ロバート・ケネディ・ジュニア米保…

Mirai Foodsが厚さ1.5cm以上の培養テンダーロインステーキ肉の作製を発表

スイスの培養肉企業Mirai Foodsは今月、厚さ1.5cm以上の培養テンダー…

Planetaryのマイコプロテイン製品、ALDI SUISSEがスイス242店舗で販売開始──欧州マイコプロテイン市場の今

出典:Planetaryスイスのディスカウント系大手スーパー、ALDI SUISSEは先月、同国…

精密発酵でカゼインを開発するタイのMuu、来年の商用生産を目指す

精密発酵によるタンパク質開発が世界的に進んでいる。精密発酵は、微生物に目的成分の…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート・予約注文開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP