代替プロテイン

スウェーデンHookedが約6200万円を調達、2021年春にスウェーデンで市販化予定

 

このニュースのポイント

 

●スウェーデンHookedが新たに約6200万円を調達

2021年春にスウェーデン市場に投入予定

2021年後半には海外展開へ

●ツナ(マグロ)「Toona」とサーモン「Salmoon」の2製品を開発

 

 

↓音声ラジオはこちら↓(ワンクリック・登録なしで聴ける)

 

スウェーデンで植物ベースの代替魚を開発するHooked Foodsが、500万クローナ(約6200万円)を調達した。

Hookedは2019年にストックホルムに設立された水産物に特化したフードテックスタートアップ。

「Toona」「Salmoon」の2製品を開発中で、2021年春をめどにスウェーデンのレストランでToonaを販売する予定を明らかにした。

さらに、2021年後半に海外展開する計画も公表された。

出典:Hooked

今回の資金調達ラウンドには、オスロを拠点に海洋の持続可能なソリューションに取り組むアクセラレーターKatapult Ocean、ベルリンを拠点とするインキュベーターProVeg、アーリーステージのスタートアップを支援する北欧ベンチャーキャピタルWave Ventures、スウェーデンの投資会社PlusCapが出資した。

インキュベーターとは、起業間もないスタートアップ企業が持つアイディアを成熟させ、ビジネスとなりうる状態になるよう支援する組織を言う。インキュベーターが関与するスタートアップはごく初期の段階であることが多い。

アクセラレーターはすでに形になっているビジネスアイディアを商品として世に出すプロセスの加速を支援する。アクセラレーターが関与するスタートアップは、初期ではあるものの、ある程度形ができあがっている段階であることが多い。

参考:『スタートアップ投資ガイドブック』

2021年春にスウェーデンで市販化

出典:Hooked

Hookedは10月にもKatapult Oceanより約1800万円の出資を受けていた。

Hookedは今回の資金を、2021年春に予定しているスウェーデンの主要レストランに向けた代替ツナ「Toona」の販売に充てるとしている。

Toonaは大豆由来のプロテインを使い、本物に似た匂いを再現するために、DHAやEPAが豊富な藻油(algae oil)も使っている。口当たりは湿式押出成形(wet extrusion)という手法で再現している。最終製品の形状はスプレッドタイプで細長く刻まれている。

Hookedのもう1つの商品サケ「Salmoon」は、植物由来食品のフードテック企業を支援するインキュベーターProVegで開発に取り組んでおり、今年初頭に開発の最終段階であることを明らかにしていた。

Hookedはまずスウェーデン市場に参入してから、水産物消費の多い欧州市場のメジャープレーヤーになることを目指している

代替魚は植物性タンパク質全体の1%

代替肉市場と比べると、代替魚のシェアはまだ小さく、植物性タンパク質全体のわずか1%に過ぎないが、これは関心の薄さではない。

Changing Tastesのレポートによると、アメリカ人の5人に1人は、肉の代わりに魚を食べたいと考えているという。

GFIのレポートでは代替魚市場には「空白」があるされ、これは、新規プレーヤーが入り込む余地が十分あることを示している。

マイクロプラスチックによって汚染された魚が人間にもたらす影響が懸念される中、クリーンで栄養のある、安全な代替魚がこれまで以上に求められている。

欧州では水産食品の中でサケとツナの消費量は特に多く、過剰漁獲により、2048年までに魚はいなくなるともいわれている

過剰漁獲と海洋生態系への影響をなくすのがHookedの願いだ。

代替魚に取り組む主なプレーヤー

代替魚に取り組むプレーヤーは代替肉に比べて少ないものの、増えてきている。

Hookedが欧州市場へ参入するにあたり、最大のライバルとなるのが米国発のGood Catch Foodsだろう。

同社は植物性代替魚の代表的プレーヤーで、8月に約4000㎡の新しい生産施設を建設している。今月にはスペインとオランダのスーパーで販売を開始した。11月には自社のDtoCサイトを開設している。

ネスレは8月に植物性ツナをスイスに導入することを発表している。

Hookedと同じ欧州発のプレーヤーにはオーストリアの学生が立ち上げたLegendary Vishがある。3Dプリンタでサケを開発する同社は、味、匂い、見た目もそっくりに再現した代替サケを、2022年までに欧州でリリースするのを目指している。

Hooked創業者のTom JohanssanとEmil Wasteson 出典:Hooked

地元のレストランで、本物の魚のようにおいしくて栄養のある代替魚を、当たり前の選択として食べられるようになれば、誰もが、海洋生態系を守るアクションを起こせるようになる。

その「当たり前」をHookedは実現しようとしている。

 

参考記事

Hooked Foods Raises US$600K To Fuel Plant-Based Tuna Launch Across Sweden

Hooked Foods Secures $600K for Plant-Based Tuna

 

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:Hooked

 

関連記事

  1. 精密発酵プラットフォームの提供を目指すFermify、カゼインサ…
  2. 米New Culture、精密発酵カゼイン使用量を50%以上削減…
  3. 米イート・ジャスト、年内または2022年に30億ドルのIPOを目…
  4. 培養魚のWanda Fishがタフツ大学と独占的ライセンス契約を…
  5. フィンランドの研究チームが細胞培養によるコーヒー生産に成功
  6. デンマークのTempty Foodsがマイコプロテインをレストラ…
  7. イスラエルのWanda Fish、初となる培養マグロの試作品を発…
  8. 「発酵」で免疫力のある代替母乳の開発に挑むアメリカ企業Helai…

おすすめ記事

精密発酵で脂肪を開発するNourish Ingredientsが約39億円を調達

精密発酵で脂肪を開発するオーストラリア企業Nourish Ingredients…

培養肉はどんな産業を生み出すのか?|SKSJ2020参加レポート

培養肉が社会・環境にもたらすインパクトは大きい。動物を殺さずに肉を作れる…

米Liberation Labs、アメリカで精密発酵工場の建設を開始

米Liberation Labsは先月、アメリカ、インディアナ州リッチモンドで専…

アレフ・ファームズがスイス当局に培養肉の申請を提出、欧州で初

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズ(Aleph Farms)は欧州連合(E…

全卵タイプの植物性代替卵を開発するYo Egg、アメリカで小売進出を実現

植物性の全卵製品を開発するイスラエル企業Yo Eggが今年3月、アメリカで小売進…

精密発酵でラクトフェリンを開発する米De Novo Foodlabs、商用化に向けて約2.2億円を調達

ノースカロライナ州に拠点を置く精密発酵企業De Novo Foodlabs(旧称…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵ミニレポート発売のお知らせ

最新記事

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(10/29 16:11時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(10/29 02:43時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(10/29 06:18時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(10/29 22:10時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(10/29 14:11時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(10/30 01:29時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP