代替プロテイン

米Finless Foods、細胞性マグロの商用化に向け投資ラウンド開始|2027年のFDA審査完了を見込む

出典:Finless Foods

数年にわたり表立った動きが確認できていなかった米Finless Foodsが、細胞性マグロ(培養マグロ)の商用化に向けて動き出した。

同社は5月1日、投資プラットフォームRepublicで投資ラウンドを開始した。

同社は細胞性マグロ「Finless Tuna」について、アメリカ食品医薬品局(FDA)による市販前協議のプロセスを進めており、2027年の審査完了を見込んでいることをリンクトインで発表した。

FDAのプロセス完了後は、まずは太平洋クロマグロ市場を対象に、高級寿司店での展開を目指す。

今回のラウンドでは調達目標を124万ドル(約1億9,400万円)としており、本記事執筆時点で9,250ドル(約144万円)が集まっている。なお、投資可能エリアに日本は含まれていない。

美容・健康・機能性分野も視野に

出典:Finless Foods

Finless Foodsは刺身向けの細胞性マグロから市場投入を目指しているが、長期的にはマグロ由来のコラーゲンやタンパク質で、美容・健康・機能性分野も視野にいれている。

同社は細胞性マグロに加え、マグロ由来のコラーゲン、タンパク質、筋肉細胞、脂肪細胞も生産できるとしている。

Republicのページでは、コラーゲンやタンパク質、機能性食品分野に3,580億ドル(約56兆円)規模の拡張機会があると説明しており、寿司向け製品だけでなく、機能性食品やサプリメント市場への展開も視野に入れていることがうかがえる。

加えて、食品分野ではマグロ以外に、サーモンなど他のシーフードにも技術を横展開しうることをリンクトインで言及している。

2017年創業、植物性マグロにも参入

出典:Finless Foods

Finless Foodsは2017年創業のアメリカのスタートアップで、寿司や刺身で人気が高く、消費量も多いマグロに焦点を当てた。

2021年には、細胞性マグロに加え、植物性マグロへ参入した

2022年にはシリーズBラウンドで3400万ドルを調達した。このラウンドには、日本の水産企業ダイニチも参加している。一方、細胞性食品市場では2021年のピーク以降、資金調達環境は年々厳しくなり、Finless Foodsでも人員削減の可能性が報じられていた

この数年、同社の動向は確認できない状況が続いていた。Foovoも昨年、Finless Foodsにインタビューを申し込んだが、回答は得られていなかった。今回の投資ラウンドは、同社にとって数年ぶりの対外発表となる。

Cultivate at Scaleとパイロット生産・製造で提携

出典:Finless Foods

Finless Foodsは、オランダのCultivate at Scaleと複数年契約を締結し、パイロット生産および製造に取り組むとしている。

Cultivate at Scaleは、オランダのモサミートからスピンアウトした企業で、バイオリアクターを用いてスタートアップの生産支援に取り組んでいる。先月には細胞性シーフードのドイツ企業BLUUが、Cultivate at Scaleと共同で1,000リットル培養に成功したと発表している。

Finless Foodsはアメリカでの展開を進める一方で、韓国のHanwha Solutions、日本のダイニチとの関係を通じ、日本を含むアジア市場への展開も視野にいれている。

サーモンからウナギ、タコまで開発進む細胞性シーフード

出典:BlueNalu

細胞性シーフード分野では、昨年5月に米Wildtypeが細胞性サーモンについてFDAから「質問なし」のレターを受領し、販売できる状態になった。現在では、アメリカの3つのレストランで提供を継続している(2026年4月30日アクセス)。

マグロでは、米BlueNaluが昨年末に約17億円を調達し、アメリカの高級寿司店や高級レストランをターゲットに上市を目指している。

日本では、Umios(旧称マルハニチロ)がシンガポールのUMAMI Bioworksと細胞性クロマグロの共同開発を進め、試験販売を目指している

ドイツのBLUUは先月、食品に先行してパーソナルケアから参入する計画を発表した。ポルトガルでは、Cell4Foodがタコの細胞を用いたハイブリッド製品の開発を進めている。

国内では北里大学と大阪大学の研究チームが、培養したウナギの筋線維が電気刺激に対して収縮したことを報告している。

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Finless Foods

 

関連記事

  1. オランダ企業The Protein Brewery、マイコプロテ…
  2. 韓国が培養肉特区を創設、商用化の鍵となる細胞供給で特例を設ける
  3. 代替脂肪としてのオレオゲルの食品応用における課題と認可の事例|F…
  4. Sophie’s BioNutrientsがクロレラ…
  5. 精密発酵でアニマルフリーなチーズを開発する独Formoが約55億…
  6. スペインNovameatが3Dプリンター製培養肉の試作品を発表
  7. 培養肉企業アレフ・ファームズが約116億円を調達、2022年に最…
  8. 果物の廃棄物を活用して精密発酵脂肪を開発するZayt Biosc…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

培養肉企業メンフィス・ミーツが社名をUPSIDE Foodsに変更、年内に培養鶏肉の販売を目指す

世界で最初に培養肉バーガーを発表し、話題を呼んだオランダ企業モサミートとあわせて…

Alt Farmは3Dプリンターで作った植物代替和牛で2023年の上市を計画

香港科技大学からうまれたAlt Farmは3Dプリンター技術の活用を進める会社で…

大豆発酵副産物を植物性練乳にアップサイクル|韓国のSOYFT BIOMEが資金調達

出典:SOYFT BIOME大豆の発酵副産物を活用して植物性練乳などを展開する韓国のフードテック…

植物性の代替肉ブランド「ACCRO」を展開する仏Nxtfoodが約85億円を調達|競合ひしめく仏市場でどう戦うか

出典:Nxtfood植物由来の代替肉を開発するフランスのNxtfoodは今月、シリーズBラウンド…

Ÿnsectのミールワームタンパク質、アメリカでペットフード製品への使用認可を取得

昆虫タンパク質のリーディングカンパニーであるフランス企業Ÿnsectが、ミールワ…

ドイツ企業Nosh.Bioがマイコプロテインを工業生産する自社施設を発表

ドイツのマイコプロテイン企業Nosh.bioは今月、ドイツ・ドレスデン近郊にある…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP