出典:味の素(画像とロゴでFoovo作成)
味の素は4月16日、細胞性食品(培養肉)の製造において、従来の血清成分を使用せず、植物由来のヒノキチオールで高い細胞増殖を維持する新技術を発表した。
血清成分に含まれ、高価で製造が難しいトランスフェリンを、植物由来成分ヒノキチオールで代替することに成功した。試作品による検証を実施済みで、数年以内の市場投入を目指すとしている。
培地コストの要因となるトランスフェリンを代替

出典:味の素
ISCCMの要旨によると、細胞性食品は無血清培地の供給量とコスト、特にトランスフェリン、インスリン、成長因子が高コストであるため、手頃な価格で提供するにはいたっていない。
味の素は、トランスフェリンなどの有効性を維持したまま、他の物質に置き換える研究を進めてきた。焦点を当てたのが、高価でかつ市場規模の大きいトランスフェリンだ。トランスフェリンは細胞培養において、細胞への鉄イオンの輸送に関与している。
同社は、鉄イオンを細胞内に届ける働きを持ち、日本の既存食品添加物リストにも収載されている天然由来成分ヒノキチオールに着目した。
味の素は、不死化ウシ衛星細胞株を用いた細胞増殖評価系を構築し、無血清培養培地にヒノキチオールを添加して評価した。その結果、ヒノキチオールがトランスフェリンの代替として機能することを確認した。
プレスリリースによると、高分子であるトランスフェリンは製造毎に品質のばらつきが生じやすい一方で、ヒノキチオールは低分子で化学的に安定しており、人体への安全性も確認されている。

出典:味の素
細胞性食品のバリューチェーンは、細胞、培地、培養プロセス、加工、製造販売と多岐にわたる。味の素はまず、バイオ医薬品や再生医療用培地事業で培った技術・知見を活用し、培地と培養プロセスでの事業参入を目指す考えだ。
培地コストは細胞性食品の製造コストを押し上げる要因となっており、味の素の植物由来培地成分は、細胞性食品の商用化を後押しする可能性がある。
培地、構造化、制度整備へ広がる国内の細胞性食品

インテグリカルチャーのアヒルの細胞性食品 Foovo(佐藤あゆみ)撮影
国内では、細胞性食品の研究開発は細胞、培地、培養プロセスから、構造化、制度整備へと広がっている。
東京大学の竹内昌治教授らは2025年、中空糸を用いて厚みのある細胞性鶏肉の内部まで栄養を届ける手法を発表した。北里大学などの研究グループは、ニホンウナギの風味や食感に関わる脂をつくる細胞株の樹立に成功している。
企業側でも、インテグリカルチャーは一正蒲鉾、マルハニチロと細胞性すり身の共同研究を進めており、地域の特色を生かした細胞性食品の創出に向けて新潟の津南醸造とも提携している。また、住友理工との提携を通じ、年内にシンガポール当局への承認申請を目指している。
細胞性鶏肉を開発するダイバースファームは、早期の事業化に向けて、シンガポールやオーストラリアなどへの製造技術のB2B展開を計画している。
オルガノイドファームは、国内最大級となる200リットル規模で牛筋肉細胞の培養実証を実施した。
フードテック官民協議会は3月に細胞性食品の表現ガイドラインを公表し、消費者庁では、細胞培養により製造される食品のガイドライン作成に向けた議論が進んでいる。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから
関連記事
アイキャッチ画像の出典:味の素(画像とロゴでFoovo作成)





















































この記事へのコメントはありません。