精密発酵で母乳タンパク質を開発するHelainaがシリーズAラウンドで2000万ドル(約22億円)を調達した。
ラウンドはSpark Capital、Siam Capitalが主導、Primary Venture Partners、Plum Alley Investmentsのほか、トム・ウィリアムズ氏、ハンナ・ブロンフマン氏、女優のガブリエル・ユニオン氏など著名人も参加した。これは昨年8月のシードラウンドに続くもので、同社の調達総額は2460万ドル(約27億円)となった。
ニューヨークを拠点とするHelainaは微生物を活用する精密発酵技術により、母乳と同等レベルの免疫力を持つタンパク質の複製に取り組んでいる。
精密発酵は、アメリカのパーフェクトデイ、以前はクララフーズで知られるThe Every Companyなどが活用している。前者はアイスクリーム、クリームチーズ、後者は今秋に卵白タンパク質粉末の市販化を実現した。
同技術は微生物に目的タンパク質の遺伝子を挿入し、微生物を生産工場としてタンパク質を生産する手法として、近年特に注目される技術となる。
代替母乳に取り組む企業はBiomilq、Turtle Tree、BioMilkと数少なく、その多くは細胞培養により代替母乳を開発している。精密発酵を取り入れているのはTurtle Tree、Helainaとなるが、Helainaは精密発酵に特化している点で他社との違いが際立つ。
創業者のLaura Katz氏は「代替肉、代替乳製品の分野では多くのイノベーションを見てきましたが、乳児用調製粉乳の分野は何十年も停滞していました。チームの一員として、乳幼児の栄養について、親御さんにより多くの選択肢を提供する新しいソリューションをもたらたせることを誇りに思います」とコメントしている。
Helainaの最初の製品は、生理活性タンパク質を含む乳児用調製粉乳となる。これは新生児に対する免疫効果が証明された最初の「ヒト化」調製粉乳となるという。乳児用調製粉乳の発売後、同社は精密発酵タンパク質を使用して「さまざまな消費者用製品」を開発していくとしている。
ラウンドを主導したSiam Capital創業者のSita Chantramonklasri氏は「Helainaについて私が注目したのは、開始以来、ほとんど変化していない乳児用調製粉乳市場に直接影響を及ぼすだけでなく、乳幼児の栄養と母乳に関する時代遅れの話を根本的に変えるという会社の使命と能力でした」とコメントしている。
乳児用調製乳市場は2019年の500億ドルから、2027年には1090億ドル規模と、2倍になると予想される。「発酵」という食品科学技術を使うHelainaは、細胞培養という食品では新しい技術を使う他社と比較して、最初に「ヒトタンパク質」の代替手段の市販化を実現する企業となりうる。
同社は調達した資金で、「製造・商用化のプロセスを開始し、市場開拓戦略を実行する」。
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アイキャッチ画像の出典:Helaina