Foovo Deep

精密発酵で天然着色料を開発するPhytolonがギンコ・バイオワークスと提携

 

サステイナブルな食用色素を開発するイスラエル企業Phytolonが、バイオテクノロジーのユニコーン企業ギンコ・バイオワークスと食用色素の生産で提携したことを発表した

Phytolonはギンコの技術を活用し、黄色から紫色の色素スペクトルを有するベタレインの生産で協力する。2社の提携はPhytolonの色素開発技術を次のレベルに引き上げ、食品および化粧品業界でのビジネスチャンスを最大化することを狙いとしている。

海外メディアによると、Phytolonは2023年の市販化を計画している。

精密発酵で天然着色料を開発するPhytolon

出典:Phytolon

人工着色料は視覚的に魅力的で安価に製造できるが、健康上の懸念から、多くの着色料は食品への使用が禁止されている。持続可能で天然由来の製品を求める消費者意識の高まりに伴い、食品業界では、石油由来のものと同等レベルの鮮やかさを備えた代替着色料の開発が進んでいる。

Phytolonは、人工着色料と同等の鮮やかさを備えた食用色素をよりサステイナブルに生産するために、精密発酵を活用している。

精密発酵は、微生物に作りたいタンパク質の遺伝子を挿入し、目的のタンパク質を生産する手法をいう。約40年前のヒトインスリン全合成のブレイクスルーから始まった同技術は、現在では食品業界に急速に浸透し、アイスクリーム、牛乳油脂ハチミツチョコレートなどの生産プロセスにおける脱アニマル化、持続可能性を促進している。

Phytolonは、イスラエル、レホボトにあるワイツマン科学研究所のAsaph Aharoni教授特許技術(US10767201B2)を使い、幅広い食用色素を開発するために2018年に設立された。同社は精密発酵を活用して、酵母をベタレインの「作り手」とし、ビートレッドなどの主要原料を使わずにベタレインを生産している。

天然着色料ベタレインの課題

出典:Phytolon

Aharoni教授は公開特許のなかで、ベタレインの課題について次のように言及している。

ここから先は有料会員限定となります。

読まれたい方はこちらのページから会員登録をお願いします。

すでに登録されている方はこちらのページからログインしてください。

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Phytolon

  

関連記事

  1. 酵母由来の代替パーム油で2023年上市を目指す英Clean Fo…
  2. オーストラリアの培養羊肉企業Magic Valley、アニマルフ…
  3. 米The Live Green Co、精密発酵によるヒト母乳脂肪…
  4. Better Juiceの砂糖削減技術を使用したフルーツジュース…
  5. Fooditiveが精密発酵カゼインの工業生産の実現性を実証、欧…
  6. 酵母で油脂を開発するMelt&Marbleが約9600…
  7. カナダのBurcon NutraScienceはヒマワリの圧搾粕…
  8. ビール酵母をアップサイクルして代替タンパク質を開発するRevyv…

おすすめ記事

「代替タンパク質大国」を目指すイスラエルの今をクローズアップ-2022年2月-|市場動向・新規スタートアップ企業・研究者・政府の動き

イスラエルの代替タンパク質企業は100社以上に上り、うち40%がブレイクスルー技…

培養魚のブルーナル、粗利率75%を達成するための技術開発を発表

培養魚を開発する米ブルーナル(BlueNalu)は、大量生産に向けた運用コスト・…

「砂糖を再発明する」妥協なき代替砂糖の開発に挑戦するイスラエル企業Resugar

完全に天然由来でありながら、100%砂糖のような代替品を開発するイスラエル企業が…

米The Better Meat Co.がマイコプロテインに対しGRAS認証を取得、米国で4社目

マイコプロテインを開発する米The Better Meat Co.が今月12日、…

ピザ自販機のBasil Streetが操業停止

ピザ自販機を開発するアメリカのBasil Streetが操業を停止したことが明ら…

筑波大学の萩原大祐准教授、麹菌による代替肉の事業化に向けてクラウドファンディングを開始

麹菌を使った代替肉開発に取り組む筑波大学の萩原大祐准教授が100万円の調達を目指…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/21 14:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/20 23:44時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/21 03:26時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/20 20:01時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/21 12:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(11/20 23:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP