精密発酵によりチーズを開発するChange Foodsはオーストラリア政府から100万ドル(約1億2000万円)の助成金を授与されたことを発表した。
これは、サトウキビを圧縮する際に発生するバガスという搾りかすをアップサイクルするための助成金であり、オーストラリア政府による原材料を確保するための「the Securing Raw Materials Program」の一環として授与された。
同プログラムは革新的で地元で調達された原材料に関する研究・開発に対し1企業あたり最大500万ドルを提供するものとなる。Change Foodsのプロジェクトは、バガスを、精密発酵で乳製品を生産するために必要となる原料に変換することを目的としている。
Change Foodsはオーストラリア・アメリカの2大陸に研究開発拠点を持つフードテック企業で、精密発酵技術によりアニマルフリーな乳タンパク質を開発、生産している。
同社はクイーンズランド工科大学との共同研究でサトウキビから発生する廃棄物を活用し、牛の代わりに微生物を使用して「本物の乳タンパク質」の生産、商用化を目指している。
サトウキビ廃棄物を発酵タンパク質の生産に活用
クイーンズランド州では、年間3000万トンのサトウキビが生産され、これにより副産物となるバガスが1000万トン発生している。遺伝子組換えした微生物を発酵させて目的のタンパク質を生産する精密発酵では、砂糖などの単純な炭水化物は微生物に栄養を与える重要な原料となる。
つまり、大量にあるバガスの活用は、精密発酵によるタンパク質の生産コスト削減につながるほか、廃棄物削減にも寄与するものとなる。
クイーンズランド州モンクリフ地区の議員であるAngie Bell氏は、「オーストラリア企業、世界クラスの研究機関、そして地域のコミュニティとの貴重なパートナーシップを優先的に強化し、オーストラリアという地域をイノベーションと変革の最前線に立たせたい」と述べ、オーストラリアで豊富にあるバガスを活用して、精密発酵によるタンパク質生産を強化する姿勢を示している。
今回の政府による助成金授与についてChange Foodsの創業者兼CEOのDavid Bucca氏は、「これはオーストラリア政府、クイーンズランド工科大学による官民パートナーシップのすばらしい機会だ。サステナビリティを幅広く推進する使命の一環として、地元で発生する廃棄物を、アニマルフリーな乳製品の生産を可能とする高価値なものにアップサイクルしていく」とコメントしている。
Change Foodsのリサーチ・オペレーション部長のTom Davies氏は「クイーンズランド工科大学との強力なパートナーシップと、サトウキビ廃棄物を入手可能で、世界をリードする微生物学者を多数有するクイーンズランド州が合成生物学と未来の食品生産へシフトするうえで有利な立場にあるとの認識から、助成金の獲得に成功した」と述べている。
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アイキャッチ画像の出典:Change Foods