ピザ自販機を開発するアメリカのBasil Streetが操業を停止したことが明らかになった。同社のホームページはすでに閉鎖されている。
Basil Streetは約3分で焼きたてのピザを提供する自販機を開発、昨年10月には食品・ドリンクの自動販売に特化するPrepangoと提携し、アメリカの国際空港への導入を進めていた。その後の展開として空港200箇所への設置が計画されていたが、現在は操業停止により会社の資産を売却している。
同社は2020年3月に1000万ドル(約12億円)を調達し、SeedInvestで2000万ドル(約24億円)を目標とするクラウドファンディングを実施していたが、SeedInvestのページはすでに削除されている。
食品業界の自動化・ロボットに詳しいOttOmateの報道によると、操業停止に至った要因は2つあるという。1つは、新型コロナの感染拡大により中国での部品製造が8ヵ月遅れたこと。2つ目は、クラウドファンディングの規制遵守の処理に予定より時間がかかり、1年間出資を受けられなかったことだという。
海外では焼き上がったピザを提供する自販機の競争が加熱している。非接触で省スペースかつスタッフ不在で24時間営業が成り立つ事業モデルは、コロナが感染拡大する最中、有力なビジネスモデルとして期待された。
アメリカを中心に海外ではPiestro、Basil Street、PizzaForno、API Techのピザ自販機のほか、レストラン内部の自動化率を向上させるPicnic、xRobotics、Pazzi、Hyper-Roboticsなど開発が進む。特に生産工程を自動化しやすく人気の高いピザ市場は、自動化によるビジネスモデルの有望な対象と考えられてきた。
Basil Streetが操業停止に至ったもう1つの要因として、新型コロナの感染が続く一方、アメリカでは外食に人が戻るなど、従来の日常生活に戻る動きも関係していると考えられる。
現に、アメリカの外食支出は2021年7月には過去最高レベルに達し、同年12月もパンデミック前の水準より高い割合となっている。米国農務省は、パンデミックにより2020年初頭の食料支出には大きな変化が見られたものの、2021年には支出パターンはパンデミック前に戻ったと結論付けている。
これらのことから、部品調達の遅れで市場の需要に供給が追い付かなかったこと、外食産業の回復による需要の低下、資金調達の遅れなどさまざまな要因によりBasil Streetは操業停止を決めたと思われる。
参考記事
UPDATED: Basil Street Pizza Selling Off its Assets
Basil Street Pizza Taking Final Bids For Assets to Pizza Robot Business
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アイキャッチ画像の出典:Basil Street