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【現地レポ】シンガポールの精肉スーパーHuber’s Butcheryが来月から培養肉を販売

2024年5月16日更新

 

シンガポールで培養肉が販売されてから2年。これまでに販売認可を取得した唯一の企業はアメリカのイート・ジャストだが、今月、新たな動きが発表された。

同社培養肉GOOD Meatがシンガポールの精肉店Huber’s Butcheryで販売されることとなった(予約が必要)。今月7日から10日まで、招待されたゲストは来年1月にレストランで提供される鶏肉料理を早期に入手できると発表された。

1月からHuber’s Butcheryで培養肉を購入できるほか、隣接するレストランHuber’s Bistroで、GOOD Meatの培養鶏肉料理を注文できるようになる(予約が必要で、在庫がある限り)。

Huber’s Butcheryは「陳列ケースとレストランメニューに地元で生産された新しい製品を追加できて嬉しく思います」とプレスリリースで述べている。

*上記の通り、Huber’s Butcheryの陳列コーナーでも販売する旨のプレスリリースを出していたが、実際は隣接レストランでの提供がメインだったと思われる(2024年5月追記)。

培養肉を販売、提供する世界初の精肉店Huber’s Butcheryとはどんな場所なのか?店を実際に訪れてみた。

培養肉を販売する世界初の精肉スーパーHuber’s Butchery

マーライオン公園からバスで郊外へ40分程行ったところにHuber’s Butcheryはある。オシャレエリアで知られるデンプシーヒルの入り口のすぐそばだ。

少し離れたところから撮影したのがこちら。

店頭には牛の看板が設置され、一目で精肉店だとわかった。

徒歩で来ている人は他にはおらず、郊外にも関わらず、車の往来が多い。

店の正面。ここは入口ではなく、出口。

2階が入口になっている。

2階からはいる不思議な構造だと思って進むと、肉コーナーが見えてきた。2階はソーセージなど加工肉を取り扱っているよう。

一定の間隔で壁にはディスプレイが設置されている。見ると、GOOD Meatの広告が流れている。

店員に培養肉があるか尋ねると、今はないけど1階だと教えてくれる。

1階の様子がこちら。2階よりも人が多い。

来月からここに培養肉が並ぶのかと想像してしまう。

列に並ぶと、順番に注文を聞いてくれる。培養肉について聞いてみたら、来月からだよとの回答。回答した店員は培養肉を食べたことはないと言っていた。

いろいろ聞きたかったけれど、仕事中なのでそれ以上は聞かず、店内を回ることに。

2階から入店して、1階へ行くにはエレベーターを使う。エレベーター横にフロア案内がある。

実はこのお店、現地の人には自明だが、精肉店というより、さまざまな食材を取り扱う高級スーパーというのが正しいと思う。

パスタやチーズ、調味料、油から野菜まで、必要なものは揃っていた。みりんなど日本の調味料も取り扱っている。

店内で見かけるのは西洋人が多く、富裕層エリアではないかと思う。

隣接レストラン「Hurber’s Bistro」で培養肉料理を提供

隣にHurber’s Bistroというレストランがある。ここで来月から、予約客限定で培養肉料理が提供されるようだ。

最初に培養肉を提供したシンガポールのレストラン「1880」は会員制レストランだが、Hurber’s Bistroは気軽に入れそうな感じで、もう少し敷居が低くなると思う。

Hurber’s Bistro。店内の様子が見える。

実はレストランのさらに奥には、買い物客・レストラン客限定の公園がある。子連れのファミリーがゆっくり食事を楽しめるように公園が併設されている。

シンガポール植物園に近く、郊外で視界を遮るものがないほど開けた場所なのに、車の往来が多いことから人気のあるスポットに見えた。一定の層が定期的に訪れる場所のようだった。

 

イート・ジャスト(GOOD Meat)のプレスリリース

GOOD Meat Partners with Huber’s, World’s First Butchery to Sell Cultivated Meat

https://www.goodmeat.co/butchery

 

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