新しい食

精密発酵で赤色着色料を開発するChromologicsが約18億円を調達

 

精密発酵により天然の赤色着色料を開発するデンマーク企業Chromologicsは、シードラウンドで710万ユーロ(約10億円)を追加調達し、総額1260万ユーロ(約18億円)を調達したことを発表した

Chromologicsは調達した資金で、赤色着色料「Natu.Red」の商用化を加速させる。

今回のラウンドには、食品・飲料向け原料のリーディングカンパニーであるドイツ企業Doehlerの投資部門Doehler VenturesThia Venturesが新たに参加した。

Doehler Venturesは、「この種の持続可能な天然原料には競走上の優位性があり、Doehlerグループの完全なネットワークと知見を提供する準備ができています」と述べ、精密発酵による着色料の開発と商用化でChromologicsを支援する姿勢を示している。

Gerit Tolborg氏(左)とAnders Ødum氏(右) 出典:Chromologics

Chromologicsは、Gerit Tolborg氏Anders Ødum氏によって2017年に設立された。大学のスピンオフとして始まった同社は、現在は研究施設・パイロット生産施設を有している。

Chromologicsは精密発酵を使用した独自のプロセスで、食品・飲料メーカーに向けて環境に優しく、コスト競争力のある安定した着色料を開発している。同社の最初の製品となる「Natu.Red」は、pHと温度の影響を受けない安定なもので、水溶性かつ無味のビーガンな着色料となる。

Chromologicsはプレスリリースの中で「Natu.Redの最初の数百キロのスケールアップと生産の成功、そして当局による承認の見通しから、商用開発を加速する必要があります」と述べ、「Natu.Red」の数百キロの生産に成功していることに言及している。

Chromologicsは今後、承認申請の手続きを進め、商用生産ラインを確立し、開発する着色料を拡大していくとしている。

出典:Chromologics

精密発酵による天然着色料を開発する企業としては、アメリカとアルゼンチンに拠点を構えるMichromaも今年、シードラウンドで約8億4000万円を調達した。Michroma のラウンドでも、General Millsが支援するSupply Change Capital、韓国のCJ第一製糖など食品メーカーが出資した。

食品メーカーや原料サプライヤーによる精密発酵企業への出資は、特定成分を効率的に生産する精密発酵技術に対する注目度の高さを表している。精密発酵により乳タンパク質、卵白タンパク質、着色料、脂肪を開発するスタートアップは増加しており、アメリカ、シンガポールで上市が進んでいる。

 

参考記事

Chromologics raises additional funding, bringing the series seed to a total of EUR 12.6 M, and welcomes two new investors Doehler Ventures and Thia Ventures

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Chromologics

 

関連記事

  1. FDAがSensientのチョウマメ由来の青色着色料を承認
  2. フィンランドの研究チームが細胞培養によるコーヒー生産に成功
  3. 豆を使わずに細胞培養コーヒーを開発するフランス企業STEM
  4. 植物から短鎖状の食物繊維を取り出す米One Bioが約42億円を…
  5. スイスの研究チームが研究室で細胞培養によるチョコレートを開発
  6. 代替ハチミツの米MeliBioが約6.7億円を調達、今春より生産…
  7. 砂糖削減に取り組むBetter Juice、ドイツにパイロット施…
  8. 米Voyage Foods、豆不使用コーヒーをフードサービス・C…

おすすめ記事

ベルギー企業Bolder Foodsが菌糸体由来のチーズ試作品を発表

菌糸体から代替チーズを開発するベルギー企業Bolder Foodsは今月、ジボダ…

【2023年度版】精密発酵レポート販売開始のお知らせ

2024年5月12日更新(特典の変更について追記しました)。 2024年9月2日更新(…

アレフ・ファームズ、イギリスで培養肉の申請書類を提出

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズは今月、イギリスで培養ステーキ肉を販売す…

イスラエルのMarineXcell、独自の核初期化技術で細胞培養によるエビ、ロブスター、カニ開発に挑む【創業者インタビュー】

左からYosef Buganim教授、Leonardo Berezowsky氏、Gadi Lipin…

ビヨンドミートが欧州での小売展開を拡大

ビヨンドミートが欧州全土での小売展開の拡大を発表した。同社はこの春、欧州…

Steakholder Foodsが台湾進出に向け、台湾の工業技術研究院と提携

独自の3Dプリンターで植物由来や細胞由来の代替肉・代替魚を開発するイスラエル企業…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(09/17 15:53時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(09/18 02:17時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(09/18 05:56時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(09/17 21:55時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,980円(09/18 13:52時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(09/18 01:12時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP