イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は19日、イスラエルのフードテック企業が牛を使用しないミルクの生産で認可を取得する予定であると発表した。The Times of Israelが報じた。
ネタニヤフ首相は近日中に認可を取得する企業名には言及しなかったが、ヘブライ語ニュースメディアのTech12は、イスラエルのRemilkが認可を取得する企業であると報じている。
Tech12の報道によると、精密発酵によるタンパク質は新しいタイプの食品になるため、イスラエルの規制機関からの承認も必要になる。現在、イスラエル保健省の食品管理部門による長期にわたる規制プロセスにあるという。
イスラエルで精密発酵タンパク質の承認迫る
Remilkは昨年6月、アメリカ食品医薬品局(FDA)の要求事項に準拠してGRAS自己認証を取得し、アメリカでタンパク質の販売ができるようになった。今年2月にはFDAから「異議なし」のレター(No questions letter)を受け取るとともに、シンガポール食品庁(SFA)から販売認可を取得した。
今年1月には食品大手General MillsがRemilkの乳タンパク質を使用したクリームチーズ「Bold Cultr」の販売を開始したが、2月末に「Bold Cultr」ブランドは終了している。
2019年に設立されたRemilkは、微生物を生産工場として活用し、特定成分を生成する精密発酵技術により、アニマルフリーな乳タンパク質を開発している。
精密発酵により生成される乳タンパク質は牛由来のものと同一で、乳糖、コレステロール、ホルモン剤や抗生物質を含まない。少ない資源でタンパク質を生産できる精密発酵は、近年注目の食品技術とされ、代表的な企業にはアメリカのパーフェクトデイがあげられる。
新たな認可と新たな局面を迎えるイスラエル
ネタニヤフ首相による発表は、イスラエル、レホボトにある培養肉企業Steakholder Foodsの訪問時になされた。
訪問の中で同首相は、3Dプリントされた構造化された培養肉を試食し、「イスラエルは代替タンパク質分野のグローバルリーダーであり、これを引き続きリードしていきます。まもなく、世界を変える新たな認可と新たな局面を迎えるでしょう」と述べた。
今年始め、イスラエル・イノベーション庁は精密発酵の研究施設を建設するために、最大5,000万新シェケル(約18億円)の予算を投じることを発表した。
イスラエルは植物由来、細胞培養、微生物発酵、昆虫由来の代替タンパク質4カテゴリのうち、微生物発酵を「市場成長の可能性が最も高く、複数の企業が研究開発施設の共有により最大の能力を発揮できる」分野だと位置づけている。
Remilkがイスラエルで認可を取得すれば、同社がイスラエルで認可を取得した最初の企業となる。
参考記事
In first, Israeli startup to get permit to produce cow-free milk
לראשונה בישראל: חלב מתורבת יגיע למקררים
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アイキャッチ画像の出典:Remilk