コーヒー

米Voyage Foods、豆不使用コーヒーをフードサービス・CPGブランド向けに販売開始

 

Voyage Foodsが今月16日、フードサービス・食品業界の商業パートナーに豆を使用しないコーヒーの販売を開始したことを発表した

同社の代替コーヒーは焙煎したひよこ豆、もみ殻、水を原料に作られており、カフェインは緑茶由来のものを使用。従来よりも40%以上安価な価格で提供される。

Voyage Foodsが豆不使用コーヒーのB2B販売を開始

出典:Voyage Foods

Voyage Foodsは、Adam Maxwell氏Kelsey Tenney氏により2021年に設立された。同社はコーヒーだけでなく、アレルゲンフリーなスプレッドカカオ不使用のチョコレートも開発している。

2022年6月に最初の製品ピーナッツフリースプレッドを発売。2023年10月には1,200店舗以上のウォルマートでハーゼルナッツ・ピーナッツフリースプレッドの取扱いが開始された。オンラインではウォルマートAmazonで販売されている。

Cargillとの契約締結の様子 出典:Cargill

カカオフリーチョコレートでは今年4月にスケールアップと上市に向けて、カーギルと世界的な独占販売契約を締結した。カーギルの代替チョコレートへの参入はこれが初となる。当時の発表によると、カカオ不使用チョコレートは欧州で販売され、他の地域でも提供されていくとあり、すでに市場に流通している可能性がある。

コモディティコーヒーをターゲットに

出典:Voyage Foods

豆不使用コーヒーはVoyage Foodsの4つ目の製品となる。

Voyage Foodsは、コモディティコーヒーに代わる環境に優しく倫理的に作られたコーヒーの提供を目指している。「可能な限り最大の影響を与えること」を目標としており、ターゲットは、コーヒー市場の20%を占めるスペシャルティコーヒーではなく、コーヒー愛好者の大多数が飲むコモディティコーヒーだとプレスリリースで述べている

今年、ロブスタ豆の価格は63%高騰し、過去最高値を記録した。異常気象、害虫、病気はコーヒーの収穫量や栽培地域に影響を及ぼし、今後もコーヒー価格の上昇が予想される。気候変動により、2050年にはアラビカ種の生産地が半減する可能性も指摘されている。新たな栽培地域の拡大は森林破壊を招き、環境問題を悪化させるため、コーヒー業界は厳しい状況に置かれている。

従来よりも安価な価格で提供されるVoyage Foodsの代替コーヒーは、高まるコーヒー需要とコーヒー価格の高騰に直面するコーヒー業者に安定した価格と高い利益率をもたらすとともに、環境に優しい選択肢にもなる。

同社コーヒーは粉末、液体、濃縮液、インスタントなどの形態で提供され、カフェイン入り、カフェインなしが用意されている。

日本ではまだ身近な選択肢とはなっていないが、Voyage Foodsのように豆不使用コーヒーの開発・上市は欧州、アメリカ、シンガポールを中心に進んでいる

 

参考記事

Voyage Foods Enters Beanless Coffee Category with Bean-Free Brew for Foodservice Operators and CPG Brands

Voyage Foods Launches Bean-Free Coffee for Food Service & CPG, Underpricing Traditional Coffee

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Voyage Foods

 

関連記事

  1. チリのフードテックNotCoが約89億円の資金調達に成功、米国進…
  2. 不二製油、カカオ不使用の代替チョコレートを発売 – カカオ価格高…
  3. 微生物とAIで新素材を発見するKingdom Supercult…
  4. 主食のイノベーションに挑む日本企業ベースフード、目指すのは「健康…
  5. シンガポールのPreferが代替チョコレートの試作品を発表、年内…
  6. 精密発酵で赤色着色料を開発するChromologicsが約18億…
  7. 【4/10】代替カカオ・ココアバター最新動向セミナー開催のお知ら…
  8. コーヒーかすを油脂に変換|英Revive Eco、廃棄物から持続…

おすすめ記事

フルーツジュースの砂糖を減らすイスラエルのBetter Juiceが約8.8億円を調達

天然ジュースの砂糖を減らす技術を開発するイスラエル企業Better Juiceが…

スピルリナ由来の代替肉、スナックバーを開発するインド企業Naka Foods

インドのフードテック企業Naka Foodsは、スピルリナ由来の栄養スナックバー…

バナナの追熟をAIで予測する米Strellaのソリューション

米スタートアップ企業Strellaは、リンゴなどを保管するCA貯蔵庫の熟成度をリ…

ビールの醸造で発生する廃棄大麦をアップサイクルするReGrainedとは

アメリカ、デラウェア州を拠点とするReGrainedは、ビールの醸造で発生する大…

ドイツのPlanet A Foodsが代替チョコレートをスーパーに初導入

持続可能な代替チョコレートを開発するドイツ企業Planet A Foods(旧称…

米Mozza Foods、大豆による植物分子農業で味・品質に妥協しない代替乳製品の開発へ【創業者インタビュー】

動物に依存しない乳タンパク質を開発する取り組みはすでに世界的に展開されている。…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(05/08 15:05時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(05/09 00:56時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(05/08 04:56時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(05/08 21:05時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(05/08 13:11時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(05/09 00:11時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP