2025年3月22日更新:当初の記事で培養肉が実際に提供された地域に”香港”が抜けておりましたので追記しました。
韓国・慶尚北道(キョンサンブクト)の義城(ウィソン)郡が、韓国における培養肉の新たなハブとして注目を集めている。
韓国農林畜産食品部の2025年度「フードテック研究支援センター構築」公募において、慶尚北道が2024年の「食品ロボット」に続き、「細胞培養食品」分野でも最終選定された。

慶尚北道は韓国東部に位置する 出典:ウィキペディア
この選定により、義城郡は3年間にわたり総額145億ウォン(約14億7,000万円)(うち52億5000万ウォン/約5億3,000万円は国費)を確保し、義城郡鉄坡里・バイオバレー産業団地(의성군 철파리 바이오밸리 일반산업단지)内に2663㎡の規模の培養肉研究センター(3階建て)を建設する。
同センターは2027年に完成が予定され、慶北テクノパークが運営を担当する。
これにより、義城郡が、韓国の食品産業におけるイノベーションを主導する拠点となることが期待される。

出典:義城郡
慶北日報の報道によると、同センターは、既存の細胞培養産業支援センターおよび細胞培養培地専用のGMP工場と連携し、韓国初の培養肉の研究開発および産業化のハブとして位置付けられる見通しとなる。さらに、年間100kgの培養肉を生産できるシステムの構築、試作品開発、品質管理、専門人材の育成など、多岐にわたる事業が推進される予定だ。
安全性評価や認可でも企業支援を行う。
慶北日報が報道したところによると、農林畜産食品部の関係者は「センター設立により、20社以上の企業の参加が見込まれ、生産誘発効果は約1500億ウォン、雇用創出は800人以上に達することが期待されます」と述べている。
今回の選定には、義城郡選出のパク・ヒョンス(박형수)国会議員が企画財政部や農林畜産食品部と協議を重ね、義城郡の必要性を主張したことが影響したようだ。

出典:パク・ヒョンス議員 議員インスタグラム
韓国メディアの報道によると、ヒョンス議員は「義城郡は韓国の細胞性食品産業の中心になるでしょう」と期待感を示している。
義城郡は昨年4月に「細胞培養食品規制特区(세포배양식품 규제자유특구)」に指定されており、研究・生産インフラの整備を進めてきた。今回の研究センター設立の確定により、同郡は韓国において細胞培養分野における研究開発・産業化を本格的に主導する土台を築くこととなる。
これまでにヒト向けの培養肉で認可がおりた地域はシンガポール、アメリカ、イスラエル、香港に限定され、実際にヒト向けで上市が実現したのはシンガポール、アメリカ、香港のみとなる。

培養肉の申請・承認状況 Foovo調査により作成(2025年3月22日時点)
韓国は昨年2月、培養肉の承認申請の受付を開始した。韓国の培養肉企業では、Cellmeat、Seawith、Space F、Simple Planet、TissenBioFarm、培養ペットフード企業ではEverything Butなどが確認されている。このうち、培養エビを開発するCellmeatは、昨年春の時点で韓国当局への申請完了が確認されている。
韓国の審査期間は270日間であることから、年内にCellmeatあるいは他社で最初の認可が報じられる可能性がある。今回、義城郡が細胞性食品の分野でもセンター設置の場として選ばれたことで、韓国のフードテック産業が一層活気づいていくことが予想される。
※培養肉の認可や販売状況の進捗はFoovoのインスタグラムでも状況を随時更新している。
参考記事
경북도,‘푸드테크 연구지원센터’공모 2년 연속 선정(慶尚北道プレスリリース)
의성군, ‘푸드테크 연구지원센터’ 유치로 식품산업 혁신 주도
South Korea to Open First Centre Dedicated to Cultivated Meat, With $10M in Public Investment
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アイキャッチ画像の出典:Cellmeat