スイスの代替肉企業Plantedは今月17日、ドイツ南部のメミンゲンに新たな生産施設を開設したと発表した。
以前は醸造所だったメミンゲン工場では中期的に1日あたり20トン(年間約7,300トン)を生産できる見込みで、既存のスイス・ケンプタルの生産施設と合わせると、生産能力は2倍になるという。
新施設の設置は、Plantedが昨年発売した植物性ステーキ「Planted.steak」の需要増に応えるためだ。
「Planted.steak」は大豆タンパク質、菜種油、豆粉、米粉、「微生物培養物の特別ブレンド」など天然素材のみで作られており、同社によると、「Planted.steak」は最近、ドイツのREWE、Kaufland、イギリスのテスコ、フランスのCarrefour、オランダのAlbert Heijn、スイスのMigrosといった大手小売に導入された。
ドイツの新工場ではドイツ、イギリスおよび欧州市場向けの製造を担う。Plantedの共同創業者Lukas Böni氏は、「Plantedの輸出比率は75%で、ドイツが最大の輸出先」であることから、新工場の設置場所としてドイツを選んだのは「当然の選択だった」と述べている。
2019年設立のPlantedは、植物性ステーキ「Planted.steak」のほかにも、ケバブ、鶏肉、バーガーなど幅広い代替食を展開。Foovoが昨年、オランダを現地訪問した時も、現地スーパーの店頭にはPlantedの製品が多く陳列されていた(下記写真/当時はまだ「Planted.steak」は未導入だった)。

Foovo(佐藤)撮影 2024年10月、オランダ・ハーレムのAlbert Heijnにて
同社はここ数年で着実に欧州市場での存在感を高め、欧州全域に進出している。
筆者が実際に試食したケバブ製品「planted.kebab」(下記写真)は植物由来とは思えない仕上がりであり、数年で欧州全域に展開したことを納得させる完成度だった。

Foovo(佐藤)撮影 2024年10月
Foovoの調査では、昨年4月の発売時には「Planted.steak」の導入はドイツ・オーストリア・スイスの計31箇所に過ぎなかったが、現在は計2268箇所(2025年6月23日時点)に急拡大している。その中でも、ドイツ市場は母国スイスを凌駕する勢いで伸びており、新工場をPlanted本社からアクセスのよいドイツ南部に設置したことは理にかなっている。

出典:Planted 2025年6月23日時点の「Planted.steak」の導入状況

出典:Planted 2025年6月23日時点の「Planted.steak」の導入状況
Böni氏も、「本社のあるケンプタルに近いという地理的条件も、当社の革新的な発酵技術に不可欠な技術移転の観点から大きな利点となっています」と述べている。
プレスリリースによると、メミンゲン工場では生産の拡大、ステーキ製品群、その背後にある先端技術のさらなる開発に焦点をあてている。Plantedは「ステーキ製品群の新たな商品を多数開発中」で、今年、市場に投入する計画だとしている。
欧州市場ではすでに複数の企業が代替ステーキ肉を展開している。そのうちの1社であるJuicy Marblesは最近、Revo Foodsと提携し、マイコプロテインを使用した代替魚「Kinda Cod」を発売した。日本ハムは今年初頭に東京・大阪で開催した販促説明会でRedefine Meatの代替ステーキ肉を紹介し、4月下旬から輸入販売を始めると発表した。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Planted