出典:Prefer
シンガポールのフードテック企業Preferは今月、新製品として可溶性の代替コーヒー粉末および代替カカオ粉末を発売するとともに、420万ドル(約6億1,000万円)を調達した。
さらに、グローバル展開に向けて、タイではタイ味の素社、オーストラリアではThe Coffee Fermとの商業提携を発表した。
シンガポールで広く代替コーヒーを展開してきたPreferにとって、海外展開に向けた初の国際的な商業提携であり、タイ、オーストラリア、ニュージーランド市場で持続可能な代替コーヒーおよび代替カカオの普及が期待される。
Prefer、グローバル展開に向けてタイ味の素と提携

Preferの代替カカオ粉末 出典:Prefer
2022年に設立されたPreferは、米や大豆などの食品副産物を原料に、独自の発酵・焙煎プロセスを用いて代替コーヒーや代替カカオを開発してきた。
同社の代替コーヒーは、シンガポールのGoogleオフィスのほか、レストラン、カフェ、ホテル向けに広く提供されており、Foovoの調査では70店舗以上に導入されている。今年1月には新たに代替チョコレートの試作品を発表し、先月にはインスタントコーヒー、RTD飲料、フレーバー濃縮物用途の可溶性の代替コーヒー粉末を発表した。

出典:Prefer
プレスリリースによると、タイでは味の素と協力し、同社が掲げるコーポレートスローガン「Eat Well, Live Well.」のもと、持続可能な新たなコーヒー飲料の開発を進めている。また、オーストラリアとニュージーランドでは、The Coffee Fermに対してPreferのフレーバーに関する知的財産をライセンス供与し、現地での製造と流通の拡大を図る。
さらに、主要市場において委託製造業者を活用し、パイロット生産体制の拡大を進めるとしている。新工場の建設ではなく既存の製造インフラを利用することで、初期投資を抑えつつ効率的にスケールアップを図るものと思われる。また、カカオ風味の研究開発を深化させ、アジアを重点地域としながらグローバルなパートナーシップを拡大していく方針だ。
Preferによると現在、年産500トン規模へのスケールアップを進めているという。
世界で進む代替品開発、日本でも拡大

可溶性代替コーヒー粉末 出典:Prefer
2024年以降、カカオ、コーヒーの歴史的な高騰を背景に、世界で代替品の開発が急速に進んでいる。シンガポールだけでも、おからを活用して代替チョコレートを開発するMycosortiaや、培養コーヒーに取り組むAnother Foodsといった企業が確認されている。
海外に目を向ければ、日本市場に昨年上陸した米Atomoをはじめ、カカオ・コーヒー両方に取り組む米Compound FoodsやVoyage Foods、スーパーへの早期導入を実現しているオランダのNorthern Wonder、新たに代替コーヒーに参入したArmored Freshなど、参入企業が増えている。
国内ではAtomoの代替コーヒー参入に加え、あじかん、不二製油、イオンといった大手メーカーが代替カカオ製品を積極的に導入しており、あじかんのゴボーチェは昨年11月の小売導入以降、2025年8月17日時点でもナチュラルローソンでの取り扱いが継続されていることをFoovoは確認している。
さらに、ソーイによるコーヒーかすをアップサイクルしたチョコレート風のバー「COLEHA(コレハ)」など、新素材開発も進む。こうした状況を踏まえると、Preferの「アジアに重点を置いた」グローバル戦略の一環として、同社の代替粉末が日本市場に導入される可能性も十分に考えられる。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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