出典:Solar Foods
アメリカで来年前半にも、二酸化炭素を原料とした代替タンパク質を使ったプロテイン製品が一般消費者向けに登場する見込みだ。
フィンランドのソーラーフーズ(Solar Foods)は今月、「ソレイン(Solein)」を配合した製品を2026年第1四半期に発売する計画を明らかにした。
提携したのは、栄養スタートアップのFermentaと栄養サプリメント企業Pothosの2社。Fermentaはソレイン入りのアニマルフリーのプロテインバーを自社ブランド「Gutsy」として展開し、Pothosはソレイン配合のプロテイン粉末をリニューアルブランド「PRVL」として発売する。いずれも2026年初頭に数量限定で販売される予定だ。
ソレインは、水素細菌が二酸化炭素と水素を取り込んで増殖してできるタンパク質で、二酸化炭素を原料とすることから空気タンパク質とも呼ばれる。9種類の必須アミノ酸に加え、鉄分、ビタミンB12、食物繊維を含む。

出典:Solar Foods
同社は昨年9月にアメリカでGRAS自己認証を取得し、11月にはニューヨークのレストラン「Olmsted」でソレインを使った料理を限定提供した。1年を経て、アメリカでの展開が始動する形だ。
同社はアメリカに先行してシンガポールで複数の商用化に成功しており、アイスクリームや、月餅、チョコレート、中華料理など、幅広い食品への配合で市場投入を進めてきた。先月には、味の素との新たなコラボとして、ソレイン配合のコーヒー飲料を限定販売した。
この中で、Foovoが長期販売を確認できた例が、味の素とコラボしたアイスクリーム「Atlr.72 Flowering Ice Cream」だ(下記写真)。今年3月に発売され、現時点で来年1月まで販売継続が発表されている。

出典:Solar Foods
シンガポールでは嗜好品への採用が主流だった一方、アメリカではプロテインバーやプロテイン粉末など、健康・機能性・栄養面を意識したカテゴリーに軸を置いて展開する戦略のようだ。プレスリリースによると、アメリカ市場では健康・パフォーマンス栄養市場を重視しており、すでに複数の顧客と供給契約を締結しているという。
レストランでの提供は体験的要素が強い一方、粉末やプロテインバーは家庭で摂取できるため日常の習慣に組み込みやすい。数量限定であっても、消費者の反応を確認し、次の展開につなげる狙いがあるとみられる。また、味への期待が高まりやすい嗜好品よりも、栄養や健康面で訴求しやすいカテゴリで消費者受容を図ろうとしていると考えられる。
同社の最高事業・製品責任者であるTroels Nørgaard氏は、「健康・パフォーマンス栄養の需要は急速に拡大しており、ソレインは栄養・機能性・味に優れ、環境負荷を大幅に低減できます」と述べている。
先月には、昨年4月に稼働を開始したフィンランドの自社工場「Factory 01」が、設計上の年産160トンの本格稼働が可能になったことを発表した。2026年には230トンへの拡張を見据える。シンガポールでは供給が限定的な中、アメリカという巨大市場でどこまで存在感を築けるか、今後の展開が注目される。
※本記事は、プレスリリース①・②をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:Solar Foods




















































