代替プロテイン

ネスレが精密発酵によるミルク「Cowabunga」の試験販売を開始

 

ネスレは今月、精密発酵企業パーフェクトデイの乳タンパク質を使用したミルク製品「Cowabunga」の試験販売を開始した

Cowabunga」は、サンフランシスコベイエリアのSafeway6店舗で販売されている

ネスレが精密発酵で作成された乳タンパク質を使用した製品を発売するのはこれが初となる。

ネスレが精密発酵によるミルク「Cowabunga」の試験販売を開始

出典:Nestlé

二社の提携は今年9月に発表された。ネスレはパーフェクトデイと提携し、アメリカで同社初となる精密発酵由来製品の試験発売を今年後半に計画していた。

今回発売された「Cowabunga」は、オリジナルとチョコレートの2つのフレーバーとなる。

パーフェクトデイとの提携を発表した際、ネスレは食品業界では「まだ歴史が非常に浅い」精密発酵を、同社事業の「今後の成長の機会」と言及していた

精密発酵のプロセスはビールの醸造に似ている。異なるのは、微生物はアルコールの代わりに、乳タンパク質を作るよう「プログラム」されていることだ。指令を与えられた微生物が「ミニ工場」となり、牛に頼らずに生産施設で牛由来と同等の乳タンパク質を生成する。

ネスレは「Cowabunga」の公式サイトで、精密発酵による乳タンパク質は、従来の牛乳と比較して、温室効果ガス排出量を最大80%、水使用量を最大94%削減すると、精密発酵の持続可能性に言及している

シンガポールにも精密発酵由来の代替ミルクが上陸

出典:パーフェクトデイ/Very Dairy

Cowabunga」はパーフェクトデイの乳タンパク質(ホエイタンパク質)を使用した5つ目の代替ミルク製品となる。

これまでにbetterland foodsTomorrow FarmsStrive Nutritionの3社がパーフェクトデイの乳タンパク質を使用したミルク製品を発売している。「Cowabunga」を含めた4製品はアメリカで販売されているが、今月にはアジア初となるアニマルフリーミルク「Very Dairy」がシンガポール市内の複数のスーパーで販売開始されている

パーフェクトデイの乳タンパク質を使用した製品はアイスクリーム、プロテイン粉末、ケーキミックス、クリームチーズ、チョコレートなど多岐にわたる

ネスレのほかにも大手食品企業と提携を拡大しているほか、先月にはインドで認可を取得した。インド工場の買収により生産能力は増強され、今後は乳タンパク質以外の他の原料開発もほのめかしている。

 

参考記事

Perfect Day Linkedin

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Nestlé/パーフェクトデイ

 

関連記事

  1. 微生物発酵でサステイナブルな着色料を開発するデンマーク企業Chr…
  2. えんどう豆由来の代替ミルクを開発するSproudが約6.8億円を…
  3. 二酸化炭素から代替タンパク質を開発するJooulesが約1.5億…
  4. 精密発酵のImagindairy、シードラウンドの資金調達を約3…
  5. ダノンが精密発酵企業Imagindairyに出資、細胞農業企業で…
  6. Back of the Yards Algae Sciences…
  7. 韓国の培養肉企業SeaWith、2030年までに培養ステーキ肉を…
  8. 細胞シート工学で培養肉を開発するEvolved Meatsが約2…

おすすめ記事

細胞由来のウナギ、マグロ、タイを開発するUmami Meatsが約2.7億円を調達

写真はイメージ画像ウナギ、マグロなどの培養シーフードを開発するシンガポー…

中国企業HaoFoodのピーナッツを原料とする代替肉が上海レストランで販売開始

上海を拠点とする代替鶏肉スタートアップHaoFoodが上海のレストランと代替肉の…

牛を使わずに乳タンパク質を開発するイスラエルのRemilkが約139億円を調達

精密発酵によりアニマルフリーな乳製品を開発するイスラエル企業Remilkがシリー…

ドイツのInnocent Meatが約4.8億円を調達、食肉生産者の培養肉生産を可能にするB2Bソリューション

ドイツの培養肉企業Innocent Meatが先月、300万ユーロ(約4億800…

イスラエル大手食品会社Tnuva、代替タンパク質特化のR&Dセンター設立へ

イスラエル大手食品会社Tnuva(ツヌバ)は代替タンパク質分野の取り組みを強化す…

中国初の菌糸体タンパク質スタートアップ70/30、今年後半に全国販売へ

世界的にバイオマス発酵、精密発酵による代替タンパク質の開発が進む中、中国でも最初…

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・予約注文開始のお知らせ

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(11/21 14:06時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(11/20 23:44時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(11/21 03:26時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(11/20 20:01時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(11/21 12:17時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(11/20 23:02時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP