代替プロテイン

アレフ・ファームズの細胞性牛肉、ブラインド試食で従来牛肉と同等の受容率

出典:Aleph Farms

イスラエルのアレフ・ファームズ(Aleph Farms)は、同社の細胞性牛肉ステーキ「Aleph Cuts(アレフ・カット)」が、ブラインド試食(どちらが細胞性食品か示されない状態での試食)で従来の牛肉と同等の受容性を示したと発表した

New Sense Researchが2026年2月に実施した第三者機関による官能調査では、21〜55歳の牛肉を食べるレストラン利用者60人が、ラベルやブランド情報のない状態でアレフ・カットと従来の牛肉を試食した。味付けやソースも使わず、プレーンな状態で評価した結果、アレフ・カットの受容率は96%で、従来肉の98%との差は統計的に有意ではなかった。

レストランでの注文意向も、アレフ・カットは50%で、従来肉が51%と同水準の結果が得られた。同社は細胞性牛肉が「技術」ではなく「製品」として評価されるとし、「商品と価格が適切であれば受け入れられる」との見方を示した。

出典:Aleph Farms

アレフ・ファームズは、アンガス牛由来の細胞を培養し、大豆と小麦から作られた植物性タンパク質マトリクスを用いてハイブリッド型の細胞性牛肉「アレフ・カット」を開発している。製造に抗生物質は使用しておらず、使用する細胞の遺伝子操作や不死化も行っていない

アレフ・ファームズは、2024年1月にイスラエルで販売認可を得たが、まだ販売は確認されていない。同社はアジアと欧州でも生産体制の整備・申請を進めている。

アジアでは2026年1月、シンガポールのCell AgriTechと提携した。Cell AgriTechとの提携により、アレフ・ファームズはシンガポール現地に工場を建設せずに、パイロット生産やスケールアップ、規制対応済みの施設の使用が可能になる

この動きは、自社で大型工場を抱えるのではなく、各地域のパートナーを活用して設備投資を抑えるアレフ・ファームズの「アセットライト」戦略の一部といえる。

同社はタイでも2024年2月、BBGIFermbox Bioと組み、細胞農業向けとしては同国初となる工場を建設すると発表した

同年12月には、タイ・ユニオン(Thai Union)と連携してタイで細胞性食品の申請を提出した。安全性資料はタイ当局が指定する評価機関BIOTECに提出されており、東南アジアでの販売に向けた規制プロセスが始まっている

欧州では2023年にスイスで申請を提出しており、昨年9月には、ミグロ、ジボダン、ビューラーグループによるThe Cultured Hubと基本合意書(MOU)を締結。承認後の欧州展開に向け、スイス・ケンプタールに同社初の欧州生産拠点を設ける方針を示した

アレフ・ファームズは各地域のパートナー企業との連携を通じ、分散型の供給モデルの構築を進めてきた。「味」で受容性に違いが見られなかった今回の結果は、同製品が味の面で市場投入できるレベルに到達したことを示しており、今後の焦点は、各地での規制対応と生産体制の整備といえそうだ。

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Aleph Farms

 

関連記事

  1. プラスチック使用削減のために食用スプーンを開発したIncrEDI…
  2. エリンギ由来のジャーキーを作るハワイ発のMoku Foods
  3. 二酸化炭素からタンパク質を作る英ディープ・ブランチ、アイスランド…
  4. アレフ・ファームズがスイス当局に培養肉の申請を提出、欧州で初
  5. 【現地レポ】フィンランド企業EniferのマイコプロテインPEK…
  6. Mycorena、マイコプロテイン由来のバター試作品を発表
  7. ソーラーフーズがフィンランドのNasdaq First Nort…
  8. DAIZが海外進出を本格化、タイの植物肉企業へミラクルミートの提…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

農業副産物をアップサイクルして代替卵原料を開発|英The Bland Companyが約4億円を調達

出典:The Bland Company豊富な農業副産物をアップサイクルし、「くせのない風味をも…

「競争よりも共創」代替肉で環境問題に挑むネクストミーツが目指すものとは

メディアの注目を集め続けるフードテック企業がある。「地球を終わらせない」という理…

フードテックの国際イベント「Future Food-Tech San Francisco 2026」が3月19-20日に開催|代替タンパク質、発酵のスケールアップ、AI、GLP-1などをテーマに900人超が集結

出典:Future Food-Tech San Franciscoフードテックの国際イベント「F…

細胞培養で母乳を開発するTurtleTreeがラクトフェリン粉末を最初の商品とすることを発表

シンガポールを拠点とするTurtleTreeが、最初に商用化される商品がヒトラク…

「原料に眠る風味を引き出す」ーREDUCEDが約7.3億円を調達、副産物×米麹で風味素材の生産拡大へ

出典:REDUCED代替肉など代替タンパク質の普及が進む中、2020年創業のデンマークのスタート…

代替エビを開発するNew Wave Foodsが約18億円を調達、3月末までに飲食店で提供予定

植物ベースの代替魚開発に取り組むNew Wave Foodsが、シリーズAラウン…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP