アグテック

英Tropic、約166億円を調達|非変色バナナ・賞味期限延長バナナで需要が供給上回る中、生産拡大へ

出典:Tropic

イギリスの植物バイオテクノロジー企業Tropicは今月12日、シリーズCラウンドで1億500万ドル(約166億円)を調達したと発表した。ラウンドは応募超過となり、ForbionBioeconomy FundCortevaの投資プラットフォームCorteva Catalystが共同主導した。

資金は、世界規模での生産拡大、バナナとコメのパイプライン加速に加え、気候変動に強い作物の展開にあてられる。

同社は、ゲノム編集技術を活用し、バナナ、コーヒー、米など主要な熱帯作物の改良に取り組む植物バイオテクノロジー企業。バナナの病害に耐性を持つバナナ賞味期限を延長したバナナ変色しないバナナを開発しており、昨年投入した非変色バナナと賞味期限延長バナナは、すでに需要が供給を上回っているという。

CEO(最高経営責任者)のGilad Gershon氏プレスリリースで次のように述べ、今回の大型調達で、Tropicが技術を実証する段階を越え、生産拡大へ移行する段階にあることに言及した。

「2025年は、当社の技術が遠い将来ではなく『今』実際に機能していることを証明した年でした。すでに2種類のバナナ品種が市場に投入され、需要が供給を上回っている状況において、今回の投資により、世界的な生産拡大と新たな作物への展開をこれまで以上のスピードで進めることが可能になります」

同社は2025年、75年以上ぶりとなる新たな商業用バナナ品種を市場投入した。非変色バナナはTIMEの「Best Inventions of 2025」の一つにも選ばれ、もう一つの品種は青い状態の保持期間を12日間延ばし、輸送中の廃棄を最大50%減らせるとしている。

出典:Tropic

同社はFusarium Tropical Race 4TR4)という世界的に拡大する病害に耐性のあるバナナも開発しており、昨年には母樹園の設立に向けて苗木の出荷を開始した。この病害耐性バナナでは2027年からの商用展開を目指している。

Tropicは2016年設立のイギリス企業で、ゲノム編集を活用してバナナ、コメ、コーヒーなど熱帯作物の改良に取り組んできた。今後は、バナナの深刻な病害であるTR4黒シガトカ病への耐性品種、さらにコメやコーヒー領域での展開が注目される。

耐病性バナナの開発では他にも動きがある。

オランダ企業KeyGeneが主導する研究チームが開発したTR4と黒シガトカ病に耐性を持つバナナ「Yelloway One」は、今年初めにフィリピンでの圃場(ほじょう)試験用に出荷され、インドネシア向けの出荷も予定されている

2月には、耐病性品種の育種を加速するためのバナナの遺伝的多様性を網羅したパンゲノムの完成発表されており、広範な遺伝子探索から、より的を絞った育種へと研究を進めることが可能になったとしている。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Tropic

 

関連記事

  1. Leaft Foods、葉由来のルビスコタンパク質を使用したドリ…
  2. カナダのTerra Bioindustries、ビール粕由来のタ…
  3. 米InnerPlantが自らSOSを出す植物 InnerToma…
  4. インドネシア企業Mycotech Labが開発した動物を犠牲にし…
  5. Marsapet、Calystaの単細胞タンパク質「FeedKi…
  6. 個人から企業まで|貼るだけで果物の鮮度を保持するシールを開発した…
  7. シンガポールが「30 by 30」目標を変更──2035年までに…
  8. マイクロ流体チップによる農業用栄養分析デバイスを開発したNord…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

ドイツ政府、精密発酵・細胞性食品の商用化を後押し|2027年にイノベーションハブ設立、2028年の世界市場投入を目標に

出典:Formoドイツ政府は今月、バイオテクノロジーを通じて危機に強い農業・食料システムを構築す…

マイコプロテイン企業Mycorenaが正式な倒産申請を発表、新たなオーナーで事業の継続へ

欧州の代表的なマイコプロテイン企業Mycorenaが正式に倒産申請をしたことが発…

大手乳業メーカーLeprino FoodsとオランダのFooditive、精密発酵カゼインの製造販売で世界的な独占契約を締結

精密発酵カゼインを開発するオランダ企業Fooditiveは今月、世界最大のモッツ…

米PFerrinX26、日本で精密発酵ラクトフェリンの戦略的産業パートナーを模索──2027年に米国で初上市へ【創業者インタビュー】

左からBrian Ruszczyk氏、Leah Bessa博士、Richard Grieves氏(F…

オーストラリアのCauldron Fermが約9.3億円を調達、「より小さく、よりスマートな」アジア最大の精密発酵施設ネットワーク構築へ

オーストラリアに新たに設立された精密発酵スタートアップのCauldron Fer…

廃棄カリフラワー由来の植物アイスクリーム|EatKindaがニュージーランドを一時撤退してアメリカ市場参入を目指す理由

ニュージーランド発のスタートアップEatKindaは、見た目が悪かったり、サイズ…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート・予約注文開始

最新記事

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP