代替プロテイン

じゃがいもを原料に代替チーズソースを開発したLoca Foodとは

 

現在、プラントベースの代替チーズの原料は、カシュー、アーモンド、ココナッツ、大豆などがあるが、じゃがいもを原料に使う企業は多くない。

そんな中、Loca Foodはじゃがいもを使って植物性のチーズソースを開発している。

主原料は、じゃがいも、人参、ひまわり油で、すべてGMO(遺伝子組換え)でない原料を使用している。

チーズのような風味を出すために栄養酵母も使っている。

出典:Loca Food

Loca Foodは、サンフランシスコのオラクル・スタジアム、サンフランシスコ大学、アメリカの半導体メーカーNVIDIAなどで2019年からパイロット販売を実施していた。

2020年にはレストラン、小売、野球場で発売予定だった。しかし、多くの企業同様、コロナウイルスの影響を受け、計画を中断せざるを得なかった。

現在はホームページでのみ販売しているが、まもなくサンフランシスコの食料品宅配会社Good EggsやシカゴのPop-Up Grocerでも取扱いが開始される。

ホームページでは1本あたり約350mLの2本入りを25ドルで販売している。味はマイルドとスパイシーの2種類。

出典:Loca Food

Loca Foodはアメリカ南部で育った創業者Lauren Joyner(ローレン・ジョイナー)氏のこだわりから生まれた。

多くの人がプラントベースへ移行するように、ローレンの友人や家族もプラントベースへ移行した。

その中で、ローレンはプラントベースへシフトした人の中に動物由来のチーズソースだけは手放せない人が多いことに気づく。

地元で探しても、動物性チーズに代わる代替品は非常に限られていた。あったとしても、高価で、アレルゲンとなるナッツを原料にしているものばかり。

そうした現状を知ったローレンは、植物原料を使ったチーズを作ることを決意する。

創業者のLauren Joyner氏 出典:Loca Food

Loca Foodのチーズは、原料にアーモンド、大豆、乳製品、グルテンといったアレルギー物質を含まないため、アレルギーを持つ人にとっては有望な選択肢となる。

米国国立衛生研究所(NIH)によると、世界人口の65%は乳糖不耐症とされる。

ヴィーガンチーズの市場規模は今後も増加が見込まれ、2019年には12億ドルだったヴィーガンチーズ市場は2027年には44億ドルに達すると予想されている。

出典:Loca Food

アレルゲンにならない代替チーズを作る企業にはLoca Food以外にも、カリフラワーを使うGrounded Food、レギューム(マメ科植物)を使うNoquoなどがある。

アレルゲンに限定しなければ、微生物を発酵させて牛乳に含まれるものと同じ乳タンパク質を開発するパーフェクトデイChange FoodsLegendairy Foodsなどがある。

このほか、Loca Foodのようにじゃがいもを原料にチーズを作る企業もいる。

GOOD PLANeTはココナッツオイルとじゃがいものデンプンを使ってモッツァレッラチーズを開発している。HeartBestは、じゃがいもとタピオカのデンプンと使ってシュレッドタイプのチーズを作っている。

Loca Foodはサンフランシスコを拠点とするスタートアップ企業で、これまでにシードラウンドで資金調達を実施している(調達額は非公開)。

ラウンドはSiddhi Capitalが主導し、Clear Current CapitalRose Culinaryやエンジェル投資家が参加した。

 

参考記事

Loca Food Makes Vegan Queso Cheese from Potatoes

 

関連記事

 

アイキャッチ画像の出典:Loca Food

 

関連記事

  1. 米Mozza Foods、大豆による植物分子農業で味・品質に妥協…
  2. 米The Better Meat Co.がマイコプロテイン由来の…
  3. 古細菌の力で二酸化炭素をタンパク質に変換|オーストリア企業Ark…
  4. Ants Innovate、ハイブリッド培養豚脂肪「Cell E…
  5. デンマーク議会、炭素税・植物性食品・森林拡大を推進する協定に合意…
  6. 精密発酵でアニマルフリーなチーズを作るNutropyが約2.8億…
  7. オランダのビーガンシーフードスタートアップMonkeys by …
  8. スイスの培養肉企業Mirai Foodsがシードで約2億3千万円…

おすすめ記事

ピザ自販機のBasil Streetが操業停止

ピザ自販機を開発するアメリカのBasil Streetが操業を停止したことが明ら…

菌糸体ステーキ肉の開発に挑むスペイン企業Libre Foods

日本では大豆ミート、ソイミートという言葉が浸透しているが、海外では代替肉の原料=…

培養肉の進展と課題-タフツ大学デイビッド・カプラン教授が都内で講演【セミナーレポ】

国際細胞農業カンファレンス(第13回培養食料研究会)が10日、都内で開催された。…

東大竹内研、脂肪を含む5.5cm×4cm×1.5cmの培養肉作製に成功|さらに中空糸使用のトップダウン戦略でスケールアップに挑戦【セミナーレポ】

培養ステーキ肉を開発する東京大学竹内昌治研究室は今年8月、5.5cm×4cm×1…

Nature’s Fyndが菌類由来のヨーグルトを開発、来月から米スーパーで販売

微生物を使用したバイオマス発酵で代替タンパク質Fyを開発する米Nature’s …

代替肉の米インポッシブルフーズが約560億円を調達、調達総額は2000億円を超過

代替肉企業インポッシブルフーズ(Impossible Foods)が最新のラウン…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(02/21 14:43時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(02/22 00:24時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(02/22 04:19時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(02/21 20:41時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(02/21 12:47時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(02/21 23:38時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP