フードテック

イスラエルのPhytolonが約37億円を調達、精密発酵由来の天然着色料の商用化へ|米国の合成着色料見直しが追い風に

出典:Phytolon

精密発酵で着色料を開発するイスラエルのPhytolonは先月26日、シリーズBラウンドで2360万ドル(約37億6,000万円)を調達したと発表した。同社は調達した資金で、アメリカでの商用化を進める。

Phytolonが最初に市場投入を目指すのは、パン酵母を用いた「Beetroot Red」だ。同社は、ビートルートやサボテンの実、ピタヤなどに含まれるベタレイン色素に着目し、農業に依存しない効率的な生産方法として、精密発酵による天然色素の開発を進めてきた

アメリカ食品医薬品局(FDA)は2026年2月、Phytolonの申請に対し、同社Beetroot Redを食品用の認証免除着色料として使用できるよう最終命令を出した。一方で、その後に提出された異議申し立てを受け、3月20日に最終命令の発効日は無期限で延期された

同社がBeetroot Redを上市できるかは、FDAの最終命令の発効を待つ必要がある。

出典:Phytolon

それでも、アメリカ市場の動向はPhytolonにとって追い風になりうる。

米保健福祉省とFDAは2025年4月、MAHA(Make America Healthy Again)の一環として、石油由来の合成着色料を食品供給から段階的に排除する方針を示したFDAは2025年1月15日、赤色3号について食品での使用許可を取り消すことを発表しており、食品メーカーは2027年1月15日までに製品の配合を変更する必要がある

精密発酵で着色料を開発する企業には、Phytolonのほかに、米・アルゼンチンに拠点を置くMichromaやデンマークのChromologics、食品用途も視野にいれるOctarine Bioなどがある。

ChromologicsOctarine Bioも昨年から今年にかけて資金調達を実施しており、合成着色料の見直しを背景に、発酵由来の天然色素をめぐる動きは広がりつつある。

FDA、天然着色料の審査・承認の加速へ

出典:Phytolon

MAHAをめぐる動きで注目したいのは、合成着色料の段階的排除だけではない。

HHSとFDAは、食品業界に石油由来色素から天然由来色素への移行を求めると同時に、「着色料の審査と承認を加速させる」方針も示している。赤色3号に続き、オレンジBの認可取り消し手続きのほか、緑色3号、黄色6号などの排除も目指している

PhytolonのBeetroot Redについては発効日が延期されているが、FDAが天然着色料の承認を急ぐ姿勢を示していることは、同社の後続製品や、精密発酵由来の着色料市場にとって追い風になりうる。

さらにFDAは、食品メーカーや小売企業による合成着色料削減の取り組みを公式サイトで可視化している。Michromaも、政府の動きとそれに連動する企業の取り組みが、天然着色料への移行を後押しすると、Foovoインタビューで述べていた。

学校給食向け製品や大手食品メーカーの製品で配合変更を進める動きが広がれば、従来の植物由来色素の補完として、精密発酵由来の天然着色料への需要はさらに高まるだろう。

Beetroot Redの発効日が赤色3号の使用期限前に確定すれば、Phytolonにとってアメリカでの市場投入を後押しする材料となる可能性がある。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Phytolon

 

関連記事

  1. 精密発酵由来の赤色着色料を開発するMichroma|「Red+」…
  2. アボカドの芽の凍結保存に初めて成功|オーストラリアのクイーンズラ…
  3. 細胞性食品セミナー動画・資料【2025年11月開催】
  4. 【現地レポ】シンガポール展示会(Agri-Food Tech E…
  5. 代替ハチミツの米MeliBioが約6.7億円を調達、今春より生産…
  6. 京大発のホロバイオ、魚由来の菌で養殖魚の成長を促進|高水温・魚粉…
  7. 精密発酵:8ヵ月にわたる企業・政府動向の全記録【Foovo独自調…
  8. 培養カカオを開発するCelleste Bioが約6.8億円を調達…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

細胞性食品の安全性評価、理論と実務のはざまで──国際専門家が語った「既知」と「未知」の線引き【国際会議レポート】

Foovo(佐藤あゆみ)撮影先月13-14日に都内で開催された「培養細胞の食品利用に係る国際会議…

米培養肉Upside Foods、カリフォルニアに培養肉工場を開設

アメリカの培養肉企業Upside Foodsは、培養肉などさまざまな細胞農業製品…

独Cultimate Foods、培養脂肪を使用したハイブリッドバーガーを発表

ドイツの培養脂肪企業Cultimate Foodsは先月、アクセラレーターPro…

培養シーフードを開発するShiok Meatsが資金調達、シンガポールに生産工場建設へ

培養シーフードを開発するシンガポールのShiok Meatsが、Woowa Br…

コーヒーかすを油脂に変換|英Revive Eco、廃棄物から持続可能な代替油脂を開発

廃棄されるコーヒーかすをアップサイクルする取り組みが増えている。イギリス…

フランスのピザロボットレストランPazziが操業停止

フランス、パリに設置されていたピザロボットレストランPazziが操業を停止した。…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP