代替プロテイン

ドイツのFormo、精密発酵αS1-カゼインで米国FDAにGRAS通知を提出

出典:Formo

ドイツのフードテック企業Formoは、精密発酵で開発したαS1-カゼインについて、アメリカ食品医薬品局(FDA)にGRAS通知を提出したと発表した

創業者兼CEOであるRaffael Wohlgensinger氏リンクトイン投稿によると、同社は昨年、GRAS自己認証を達成した。GRAS通知は、2024年3月に戦略的な研究提携を発表したThose Vegan Cowboysと共同で提出したものだという。

FDAの公式ページによると、Formoは大腸菌Escherichia coli DSM 35603を用いてαS1-カゼインを生産している。FDAにGRAS通知を提出後、FDAが審査で問題なしと見なすと、「質問なし」のレターが発行される。Formoは今年後半にレターが発行されると見込んでいる

出典:Formo

Foovoの調査では、精密発酵によるカゼイン開発ではFormoのほかに、米New Culture、オーストリアのFermify(閉鎖)、濠Eden Brew、ベルギーのThose Vegan Cowboys、カナダAuX LabsがGRAS自己認証に到達している。

Formoを除いてこれまでにGRAS通知を提出したのは、大腸菌(E. coli DSM 35048)でβ-カゼインを開発したFermifyだけだが、同社は2025年に清算手続きに入り、その後、評価は中止された

また、Those Vegan Cowboysは公式サイトのQ&AでGRAS自己認証を確認済みだとしているが、今回のFormoの発表から、FormoとThose Vegan Cowboysが共同で提出したGRASを指している可能性がある。

いずれにせよ、まだ多くない精密発酵カゼインの申請事例の中で、Formoは現状、唯一FDAで審査中の企業である可能性がある。同社は乳児用調製粉乳とアメリカ農務省の管轄製品を除き、代替チーズとして100gあたり最大25gの使用を想定している。

出典:Formo

Formoはアメリカに子会社Formo Foodsを設立し、Rx Food Ingredientsをアメリカでの販売・市場開拓パートナーに任命した。すでにアメリカの食品・栄養関連企業にサンプル提供を進めているという

2019年設立のFormoは、欧州では麹由来タンパク質を使った製品を展開しながら、精密発酵カゼインの開発を進めてきた。2025年1月には欧州投資銀行から約56億円の融資を受けた

同社は2024年、ドイツ、オーストリアの2,000を超える小売店で、麹由来タンパク質を使った代替クリームチーズ「Frischhain」や代替ソフトチーズ「Camembritz」を発売したGreen Queen報道によると、Formoは2025年に同ブランドの展開を終えており、今後は自社の消費者向けブランドではなく、B2Bの原料販売に注力していくとしている。

Foovoの調査では、精密発酵カゼインの商用化はまだ確認できていない。

この領域では、今年4月に約54億円を調達したフランスのStanding Ovationも年内のアメリカ上市を目指しており、長らく期待されてきたカゼイン商用化の行方が注目される。

 

※本記事は、リンクトインの投稿をもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。

フードテックの国内外ニュースを週1回まとめてお届けしております。
メールマガジン登録はこちらから

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Formo

 

関連記事

  1. 酵母由来ミルク「LIKE MILK」テスト販売開始──実際に飲ん…
  2. 英Adamo Foods、菌糸体で「妥協なき」ホールカット代替ス…
  3. 黄身・白身・殻を再現した植物性代替卵を開発するNeggstが約6…
  4. フードテック現地レポート会・セミナー動画|2024年10月開催
  5. スウェーデンのMelt&Marble、精密発酵脂肪で約…
  6. The Protein Breweryのマイコプロテイン、EU新…
  7. 英Hoxton Farms、2026年に培養脂肪製品を市場投入へ…
  8. 細胞培養によるカキを開発するアメリカ企業Pearlita Foo…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

精密発酵スタートアップ9社が精密発酵組合を設立

精密発酵企業9社が今月、精密発酵組合(Precision Fermentatio…

廃棄カリフラワー由来の植物アイスクリーム|EatKindaがニュージーランドを一時撤退してアメリカ市場参入を目指す理由

ニュージーランド発のスタートアップEatKindaは、見た目が悪かったり、サイズ…

規格外・余剰農産物のB2B販売プラットフォームを提供するFull Harvestが約26億円を調達

規格外・余剰の農産物をB2Bで販売するプラットフォームを構築するFull Har…

精密発酵で母乳タンパク質を開発するHelainaがシリーズAで約22億円を調達

精密発酵で母乳タンパク質を開発するHelainaがシリーズAラウンドで2000万…

世界の培養肉・培養魚企業の工場開設と販売状況の今をクローズアップ──Foovo独自調査【2025年8月】

出典:Wildtype培養肉の量産に向けた動きが活発化している。2025年7月にはBelieve…

油だけで終わらせない|オランダのCano-ela、菜種種子から食用成分を開発、約2.6億円のシード資金で上市に向け加速

出典:Oost NL LinkedInオランダ、エーデを拠点とするCano-elaは、油分を豊富…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

細胞性食品(細胞培養食品)レポート・予約注文開始

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

最新記事

精密発酵・定期動向レポート発売のお知らせ

代替カカオレポート・好評販売中

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

会員サービスFoovo Deepのご案内

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

PAGE TOP