スイスの培養肉企業Mirai Foodsが追加で180万ユーロ(約2億3千万円)の追加シード資金を調達した。
同社は1月にも約2億4千万円の資金調達を実施しており、今回の追加調達で総額370万ユーロ(約4億8千万円)を調達している。
このラウンドには、ドイツのFRIBA Investment、Skyviews Life Science、エンジェル投資家Ulf Claesson氏などが参加した。
欧州市場を目指すスイス唯一の培養肉企業
Mirai Foodsによると、同社はスイス唯一の培養肉企業。
生産プロセスで遺伝子組換え技術を使用しないことをアピールする同社は、欧州の消費者が受け入れやすい商品づくりを意識して開発している。
今回調達した資金で、チームの拡充、研究機能の改善、パイロット工場の建設を図る。
今年夏には新しい研究所とオフィスに移転する予定。
Mirai Foodsは最終的にはさまざまな商品を開発する予定だが、最初の商品として、気候変動への影響が特に大きい牛肉に代わる培養肉から着手している。
今回の追加調達について、共同創業者でありCEOのChristoph Mayr氏は次のように述べている。
「追加資金で、10人のチームを強化し、研究を加速できます。今回の投資は、おいしくて、高品質な培養肉を適正価格で提供するという当社の理念にとって重要なものです」
高まる培養肉への投資熱
培養肉企業への投資は増えており、2021年になってからMirai Foods の他にも下記の培養肉企業が資金調達を実施している(調達額の大きい順に記載)。
- アメリカ・BlueNalu:6000万ドル(約62億円)
- イスラエル・Future Meat:2675万ドル(約28億円)
- オランダ・モサミート:1000万ドル(約10億円)
- スペイン・BioTech Foods:520万ユーロ(約6.5億円)
- オーストラリア・Vow:600万ドル(約6.2億円)
- 韓国・CellMEAT:450万ドル(約4億7千万円)
- イギリス・Hoxton Farms:270万ポンド(約3.9億円)
- カナダ・Future Fields:220万ドル(約2億3千万円)
- アメリカ・New Age Meats:200万ドル(約2億1千万円)
- イギリス・CellulaREvolution:100万ポンド(約1億4千万円)
- スペイン・Novameat:25万ユーロ(約3100万円)
早くて5年以内には培養肉が動物肉と同等価格となる見解もあり、今後も培養肉に集まる投資熱は衰えそうにない。
従来の畜産肉と比較して、培養肉では使用する土地は99%少なく、使用する水は82~96%少なくすむ。
さらに、排出される温室効果ガスを78~96%減らせることが報告されている。畜産肉のように生産プロセスで抗生物質を使用することもない。
集約畜産や、感染症による大量の殺処分という現状を変える選択肢になる培養肉は、環境保護、動物愛護、感染症対策、人口増加に伴う食糧対策の面からも期待されている。
先日にはイスラエルのMeaTechが培養肉企業では世界で初めて米国上場を果たした。
2020年12月には米イート・ジャストの培養肉がシンガポールのレストランで販売されている。
こうした流れから、培養肉に集まる投資が今後はさらに増していくことが予想される。
参考記事
Mirai Foods Expands Seed Round to €3.7M for Its Cultivated Meat
Swiss cultivated meat startup MIRAI FOODS increases seed round to €3.7 million
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アイキャッチ画像の出典:Mirai Foods