代替プロテイン

中国の植物肉企業Starfieldが約114億円を調達、湖北省に自社工場を設立

 

中国の代替肉スタートアップ企業Starfield(スターフィールド)は、シリーズBラウンドで1億ドル(約114億円)を調達した。

ラウンドは中国のベンチャーキャピタルPrimavera Capital Groupが主導し、アリババの戦略責任者Ming​​ Zeng氏、アーリーステージ企業に出資する中国のLightspeed China PartnersJoy Capitalが参加した。これにより同社の調達総額は1億2500万ドル(約143億円)となった

Starfieldはさらに、湖北省孝感市に最初の自社工場を設立することを発表した。

14000店舗以上に導入

出典:Starfield

今回の資金調達は2020年10月のシリーズAに続くもので、同社5回目の資金調達ラウンドとなる。

深圳を拠点とするStarfieldは2019年に設立された。大豆、ひよこ豆、キヌア、微細藻類を原料とした植物肉を開発する中国を代表する植物肉企業とされる。

StarfieldはB2B2Cモデルを採用し、コンビニ、ファーストフード、カフェなどを通じて消費者に植物肉を幅広く販売している。

これまでに100を超えるブランドとのコラボを実現、全国のファーストフード、コンビニ、カフェ、ニューリテール、スーパーなど14000店舗以上に導入されている。

2020年11月には中国のファーストフード大手Dicosと提携し、中国全土でStarfieldの植物肉を使ったバーガーが一斉販売された。ファミリーマートとも2020年に提携し、3000店舗以上に導入されている。

Z世代に人気の植物肉ブランド

出典:Starfield

Starfieldの顧客層は主に18歳から30歳のZ世代で、女性の割合が男性よりわずかに多いという。これは、健康で美味しいプラントベース食品を求める中国Z世代の増加を意味している。

2021年12月、Starfieldは公式サイトで独自の酵素架橋技術(中国語名:精进分子酶法交联术)によりタンパク質を架橋、重合させることで、質感を改善して、筋肉繊維を再現し、牛肉の食感を備えたブロック肉「Starfieldマスターブラックペーパー植物牛肉(中国語名:星期零大师黑椒植物牛肉)」を製造したことを発表した。

これは非遺伝子組換え大豆を原料としたもので、ハムやスライス肉にできるという。中国の人気ドリンクブランドHEYTEA(喜茶)と協業し、まもなくコンビニ、レストラン、バー、カフェ、スーパーなどで販売される

出典:36氪

同社は北京工商大学、江南大学、オランダのヴァーヘニンゲン大学などのトップチームと協力しており、出願中のものを含めると30件ほどの特許を保有している。今後は煮込み牛肉、フライドチキン、とんかつなどの製品開発も予定している。

中国ではStarfieldのほかにも植物原料で代替肉を開発するスタートアップ企業が登場している。

上海発のYouKuaiは昨年5月に約8億円を調達、ピーナッツを原料に使うHaoFoodは昨年に販売を開始、HEROTEINはアメリカの培養油脂を開発するMission Barnsと協業している。

アメリカの代替肉企業ビヨンド・ミートも昨年現地に工場を開設、中国ECサイト大手のJD.comで代替豚肉「ビヨンドポーク」の販売を開始しており、中国の代替肉市場の競争は激化している。

 

参考記事

36氪独家 中国植物蛋白食品科技企业「星期零」获1亿美元B轮融资,首家自建工厂落地湖北孝感

Chinese plant-based meat startup Starfield raises $100m

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Starfield

 

関連記事

  1. 精密発酵でカカオバターを開発する米Seminal Bioscie…
  2. 米IngredientWerksがトウモロコシでウシのミオグロビ…
  3. Nature’s Fyndが菌類由来の代替肉を米ホー…
  4. アレフ・ファームズが培養ステーキ肉「Petit Steak」を発…
  5. 牛を使わずに乳タンパク質を開発するイスラエルのRemilkが約1…
  6. Profuse TechnologyとGelatexが成果を発表…
  7. 培養牛肉を開発する米SCiFi Foodsが資金調達難で事業を停…
  8. モサミートが培養肉の工業生産に向けて生産施設を拡大

おすすめ記事

スウェーデン企業Mycorenaが世界初となる菌類由来の代替油脂を開発

スウェーデンのスタートアップ企業Mycorenaは菌類由来の代替油脂を発表した。…

米Atlantic Fish Co、世界初の培養ブラックシーバスを発表

アメリカの培養シーフード企業Atlantic Fish Coは今月、世界で初めて…

代替肉ブランドTiNDLEを開発するNext Gen Foodsが約114億円を調達、米国本格進出へ

植物由来の代替肉を開発するシンガポール企業Next Gen Foods(ネクスト…

鶏を使わずに卵白タンパク質を開発するフィンランド企業Onego Bioが約12億円のシード資金を調達

精密発酵により卵白タンパク質を開発するフィンランド企業Onego Bioはシード…

チェコのBene Meat Technologies、培養ペットフードで欧州当局に登録

2024年7月18日 修正当初、販売認可と記載していましたが、その後の報道で市販前承認を必要…

オランダ企業The Protein Brewery、マイコプロテインFermoteinの認可をシンガポールで取得

オランダのフードテック企業The Protein Breweryは先月、発酵由来…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoセミナー開催のお知らせ

Foovo Deepのご案内

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

Foovoの記事作成方針に関しまして

【2024年】培養魚企業レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

ご登録いただいた方には、国内外の培養肉開発に取り組む企業101社をまとめたレポート(全23ページ)を無料でお配りしております(2022年3月更新版)。

 

最新のフードテックニュースを逃したくない方におすすめです。

 

 

▶メールマガジン登録はこちらから

最新記事

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,760円(01/18 14:27時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(01/18 00:10時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(01/18 03:58時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
2,156円(01/17 20:26時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(01/18 12:39時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
498円(01/17 23:23時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP