3Dプリンター

イスラエルのPlantishが3Dプリントされた植物性サーモンを発表、2024年に本格販売へ

 

イスラエルのフードテック企業Plantishは、植物原料を使った代替サーモンの切り身を発表した

2021年3月に設立された同社は、昨年にプレシードで200万ドル(約2億2000万円)を調達し、2024年の市場投入を目指している。

3Dプリンターで代替サーモンを開発するPlantish

出典:Plantish

Plantishの代替サーモンは、マメ科植物と藻類抽出物を原料に、繊維構造を再現するために3Dプリンティング技術を用いて製造されている。タンパク質、オメガ3脂肪酸、オメガ6脂肪酸、ビタミンB群など、本物のサーモンと同じ栄養価を備えている。

抗生物質を使用する養殖サーモン、乱獲やマイクロプラスチックによる汚染が懸念される天然サーモンと異なり、Plantishのサーモンは100%植物由来のため、水銀、マイクロプラスチック、ホルモン剤、抗生物質といった問題が不随しない。

出典:Plantish

「適切な植物タンパク質を使用して、動物筋肉の複雑な質感を再現するために繊維を実現することは、サーモンを食べる経験において重要です。これを大規模に行うことで、外食産業、レストラン、小売にとって適切な代替品とすることができます」(Plantish)

Plantishによると、同社の代替サーモンは、従来のサーモンが使用されるあらゆる用途に使用できるという。

代替シーフードの領域では、GOOD CatchHookedように細長く刻まれた製品が多く、切り身を丸ごと再現したホールカットタイプは少ない。IMARC Groupの調査によると、魚の約80%は丸ごとまたは切り身として消費されている。

Plantishは消費者が特に望む形態の代替サーモンを開発することで、「シーフードのインポッシブル・フーズ」の地位を確立しようとしている。

アメリカ市場をターゲットに

出典:Plantish

同社は年末までに一部レストランでメニューに導入することを計画しており、本格的なローンチは2024年を予定している。同社はイスラエルを拠点とするが、サーモン需要の高いアメリカ市場をターゲットとしている。

Plantishはさまざまなバックグランドからなる4名の共同創業者が立ち上げた。

CEOのOfek Ron氏は、イスラエルの非営利団体Vegan Friendlyで主導的役割を果たした経験を持つ。CSOのRon Sicsic氏は、バイオ燃料スタートアップ企業Enviro Advanced Energyの共同創業者。研究開発部長のHila Elimelech氏は、材料化学が専門で、イスラエル国防省で3Dプリンティングのエキスパートとして勤務した経験を有する。

左からRon Sicsic氏、Ariel Szklanny氏、Hila Elimelech氏、Ofek Ron氏 出典:Plantish

最高技術責任者のAriel Szklanny氏は、優れた研究者を数多く輩出するテクニオン・イスラエル工科大学で6年間ティーチングアシスタントを務めた。さらに、創設メンバーであるEyal Briller氏はアメリカの代替肉企業インポッシブル・フーズでプロダクトマネジメント部長を務めていた人物となる。

Plantishは昨年4月、プレシードラウンドで200万ドルを調達している。世界的に著名な150社の創設メンバーが支援するファンドTechAviv Founder Partnersがラウンドを主導した。

3Dプリンター×サーモンに取り組む競合

出典:Plantish

3Dプリンターを使いサーモンを開発する企業はPlantishだけではない。

オーストリアのRevo Foodsも3Dプリンターによるサーモンの切り身を開発している。これまでに(3Dプリンター製ではない)スプレッドサーモンやスモークサーモンを市販化しており、オーストリアに続き、ドイツ、デンマーク、スペインへの参入を実現した

Revo Foodsは今年、新たな資金調達ラウンドを予定しており、年末までに刺身、寿司タイプのサーモンをリリースするとしている。

 

参考記事

Plantish Unveils Whole-cut Plant-based Salmon Fillets

Israeli startup unveils 3D-printed, plant-based salmon fillet

Plantish plans to launch whole-cut plant-based salmon in 2024

‘The Impossible Foods of seafood’: Plantish unveils whole cut, plant-based salmon prototype

Plantish Reveals World’s First Plant-Based Whole-Cut Salmon Fillet

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:Plantish

 

関連記事

  1. DAIZが植物性代替卵「ミラクルエッグ」の開発に成功、ハイブリッ…
  2. 培養牛肉を開発する米SCiFi Foodsが資金調達難で事業を停…
  3. 廃水を活用して菌糸体タンパク質を開発するHyfé Foods、ス…
  4. イネで乳タンパク質を開発する日本発のKinish、1.2億円のシ…
  5. Aqua Cultured Foodsが微生物発酵による代替イカ…
  6. 精密発酵プラットフォーマーのLiberation Labsが約2…
  7. GOOD Meat、シンガポールでアジア最大の培養肉工場を着工
  8. All G、精密発酵ウシラクトフェリンでGRAS自己認証を取得|…

おすすめ記事

香港培養肉スタートアップAvant Meatsが約3億2千万円を資金調達、2021年の市販化を目指す

このニュースのポイント 香港培養肉企業Avan…

Steakholder Foodsが世界初のバイオ3Dプリンターによる培養ハタの切り身を発表

イスラエルの培養肉企業Steakholder Foodsは、世界初のバイオ3Dプ…

豆タイプの代替コーヒーを開発するベルギー企業Koppieが資金調達

代替コーヒーを開発するベルギーのフードテック企業Koppieが、プレシードラウン…

アレフ・ファームズが培養ステーキ肉「Petit Steak」を発表、年内の販売を計画

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズは今月、同社初の製品ブランド「Aleph…

酵母由来ミルク「LIKE MILK」テスト販売開始──実際に飲んでみた【試飲レポート】

日本初の酵母由来の代替ミルク「LIKE MILK(ライクミルク)」のテスト販売が…

オーストラリアのVow、南半球最大の培養肉工場をオープン

オーストラリアの培養肉スタートアップVowは、年間30トンの培養肉を生産できる同…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

最新記事

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
1,707円(08/13 15:36時点)
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
572円(08/14 01:44時点)
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
1,782円(08/14 05:35時点)
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
1,980円(08/13 21:39時点)
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
1,782円(08/13 13:37時点)
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

培養肉の入門書: 趣味・興味・投資・事業の入り口に 培養肉シリーズ

石井金子
698円(08/14 00:49時点)
発売日: 2022/02/20
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP