精密発酵で乳タンパク質を開発するイスラエルのImagindairyは今月、イスラエル保健省から精密発酵ホエイについて販売認可を取得した。
認可が下りたのは、ホエイの1種であるβ-ラクトグロブリン。
Imagindairyは今年1月、アメリカ食品医薬品局(FDA)からβ-ラクトグロブリンについてGRAS認証を取得しており、イスラエルでの認可取得は同社にとって2カ国目の快挙となる。
イスラエルでは同国企業のRemilkが2023年4月に認可を取得しているが、イスラエルでの上市はまだ確認されていない。
イスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領が昨年6月、GFIイスラエルが開催したイベントでImagindairyのクリームチーズとミルクを使用した料理を試食するなど、イスラエル国内での注目度は高い。2社目の認可がおりた今、今後のイスラエルでの上市に注目が集まる。
Imagindairy、イスラエルで精密発酵ホエイの認可を取得
酵母など微生物を「ミニ工場」として、動物に頼らずタンパク質など特定成分を生産する手法を精密発酵という。この領域では、乳タンパク質を開発する米パーフェクトデイ(Perfect Day)、イスラエルのRemilk、ラクトフェリンを開発するAll G、TurtleTree、脂肪を開発するNourish Ingredients、コラーゲンのGeltorなど、80社以上の企業が登場している。
2020年に設立されたImagindairyは、15年以上かけて開発された独自のAIプラットフォームを活用して、ホエイ、カゼインの開発に取り組んでいる。β-ラクトグロブリンの開発ではAspergillus oryzaeを使用。今年1月には、イスラエル国内の施設を買収し、発酵容量が10万Lを超えた。
Imagindairyはダノンが最初に出資した精密発酵企業であり、以前の報道では、年内にアメリカで販売する予定だとされていた(まだ販売は実現していない)。
ダノンが上市でも協力した場合、ダノン傘下の植物性ミルクのAlpro、Silkなど、何らかのブランドにImagindairyの乳タンパク質が使用される可能性がある。大手の参入ではユニリーバが自社ブランドで今年、アイスクリームを発売した。ダノンがこれに続くと、精密発酵食品の市場拡大につながるものと期待される。
世界の精密発酵タンパク質認可状況
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アイキャッチ画像の出典:Imagindairy