オーストラリアのAll G(旧称All G Foods)は、精密発酵ウシラクトフェリンについてアメリカでGRAS自己認証を取得した。先月の中国における認可に続くニュースとなる。
精密発酵ラクトフェリンでGRAS自己認証に到達した企業は、TurtleTreeに続き、All Gが2社目となった。
All Gの最高科学責任者(CSO)であるJared Raynes氏は、「このGRAS自己認証により、当社のラクトフェリンを成人向けの栄養成分としてアメリカで市場投入する道が開かれました」と述べている。
All G、精密発酵ウシラクトフェリンでGRAS自己認証を取得
2020年設立のAll Gは昨年、自社の植物肉ブランド「LOVE BUDS」を切り離し、精密発酵事業に注力することを発表した。
以前の報道では、2025年にウシラクトフェリン、2026年にヒトラクトフェリンの上市を目指しているとされた。Green queenの最新報道によると、ヒトラクトフェリンを1Lあたりグラム単位で生産しており、2025年後半の発売を目指しているという。
精密発酵カゼインの開発にも進んでおり、2025年前半には1,000リットル規模への移行を目指していることをGreen queenに述べている。
ラクトフェリンはヒトの母乳に特に多く含まれ、免疫機能のサポート、腸機能の向上、鉄分の吸収促進、抗菌作用や抗炎症作用など、重要な役割を果たしている。
しかし、ラクトフェリン市場は乳児用調製粉乳(以下、粉ミルク)がほぼ独占しており、全製品の約62%を占めていること、他のデータではほぼ80%を占めているため成人が消費できるのはごく一部だとTurtleTreeは指摘している。
低コストのラクトフェリンを安定供給できるようになると、高齢者、アスリートを含め、あらゆる年齢層に向けた製品に取り入れることが可能になる。
粉ミルクへ使用するためのFDA規制
Green queenの報道によると、中国での認可は粉ミルクを対象としていないという。アメリカでも同様で、粉ミルクに使用するには追加の認可が必要となり、GRAS自己認証では不十分だという。
詳細を調べた結果、FDAの公式サイトに記載された規定から、その答えを確認できた。
これによると、粉ミルクメーカーが原料を粉ミルク製品に使用するためには、GRASまたは食品添加物としての認可を取得する必要がある。また、粉ミルクの販売前には、FDAにその特定の配合の栄養品質を保証する情報の提供が義務づけられており、FDAの規定には、(粉ミルクの栄養成分を保証するための)製品のラベル、栄養成分、製造業者の品質管理手順のほか、記録、報告などがある。
メーカーが新しい粉ミルクを導入する場合、21 CFR 106.120に基づき、少なくとも90日前に成分、栄養などに関する情報をFDAに通知することが義務付けられている。
つまり、All Gが粉ミルク製品にウシラクトフェリンを使用するには、Green queenの記事で言及されているように、FDAにGRAS通知を行い、FDAから「質問なし」のレターを受け取ることが不可欠となる。
All Gは今後の市場投入計画について詳細は明らかにしていないが、粉ミルクの上市には時間がかかると予測されることから、成人向け製品への使用で市場投入を進めていく可能性も考えられる。
精密発酵ラクトフェリンの上市はまだ確認されていない。Foovoの調査では、精密発酵ラクトフェリンに取り組む企業では10社が確認されている。
最新の事例では、今年2月にホエイでGRAS自己認証を取得したViviciがラクトフェリン開発にも取り組んでいることを明らかにした。
参考記事
All G Achieves Self-Affirmed GRAS Status for Animal-Free Lactoferrin in US
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アイキャッチ画像の出典:All G