出典:MOA Foodtech
食品副産物とAIを活用して、付加価値のある食品素材を開発するスペインのフードテック企業MOA Foodtechは今月2日、卵の挙動を再現した発酵由来の代替卵粉末「MOA Q5」を発表した。
工業用のベーカリー、ペストリー、パスタにおいて卵の使用量を減らし、場合によっては完全に代替することを目的に開発された。鳥インフルエンザによる供給不安や価格変動が続く中、アレルゲンを削減でき、安定供給できるクリーンラベル素材として提案する狙いがある。
独自のAIプラットフォーム「ALBATROSTM」を用い、食品副産物を基質とした発酵プロセスにより同製品を開発した。
MOA FoodtechはAIを活用し、食品メーカーの副産物をアップサイクルして付加価値のある原料に変換することを目指しており、食品加工会社や醸造所、製粉会社は、廃棄物処理コストの削減と同時に、新たな収益源の創出が期待できるとしている。
原料とライセンス供与の2軸のビジネスモデル

出典:MOA Foodtech
2020年に設立された同社は、製品ベースと技術ベースの2軸のビジネスモデルを掲げる。
製品ベースでは、今回発表された「MOA Q5」のような食品メーカーの既存のレシピに組み込み可能なアップサイクル原料を提供する。一方、技術ベースはAIプラットフォームをライセンスするモデルだ。
MOA Foodtechは、Big Idea Venturesによる過去のインタビューでライセンスモデルについて、ライセンスを受けた企業が製造・販売を担い、食品メーカーなどへ原料が供給される仕組みだと説明していた。「副産物提供企業」・「MOAからライセンスを受け、原料を製造販売する第三者」・「製品として採用する食品企業」という三者が関わる構造を描いている。
また同社は11月、デンプン系の副産物を工業規模の原料にするサービス「MOA Box」を発表した。メーカーの既存のインフラに統合できるもので、基質スクリーニングから規制検証、商用展開まで支援し、6ヶ月で副産物分析から原料化まで移行できるとしている。
Green queenによるインタビューでは、「MOA Box」の目的を「ライセンスによる最適化されたプロセスの移転」だと述べており、技術ベースのアプローチが前進していることがうかがえる。
同社は、今月2日から4日までパリで開催されているFood Ingredients Europe 2025で「MOA Q5」を正式発表した。展示会では同原料を使用したマフィン、ケーキのほか、代替肉やベーカリー用のクリーンラベル原料「MOA YEAST」を使用したハム、クッキーなどの試食を行うと発表している。
原料プロバイダーとしての存在感を示しつつ、AIプラットフォームの実力を示し、ライセンス契約につなげる狙いがあると思われる。
※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
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アイキャッチ画像の出典:MOA Foodtech



















































