代替プロテイン

スウェーデンのMelt&Marble、精密発酵脂肪でGRAS自己認証を取得|代替肉・乳製品・菓子用途へ

出典:MeltyMarble

スウェーデンのMelt&Marbleは11日、精密発酵で開発する脂肪「MeltyMarble」について、アメリカでGRAS自己認証を取得したと発表した。これにより、アメリカ市場での販売が可能となり、アメリカの食品メーカーとの協業を前進させる段階に入った。

昨年12月のシリーズAでの調達に続くニュースとなり、「プラットフォームの開発段階から食品業界における初の商用展開への移行」を示す動きだとプレスリリースで述べている。

GRAS自己認証は、外部専門家による評価をもとに企業が安全性を判断し販売できる制度で、FDAへの通知は任意となる。ただし、Foovoの調査では、精密発酵分野ではFDAに通知を行い「質問なし」レターを取得する企業も大部分を占め、同社もその取得を目指すとしている。

同社は昨年12月、当初の食品中心から、より上市しやすいパーソナルケア分野を先行させる計画発表した。

今回、GRAS自己認証とあわせて、パーソナルケア向けの「Marble7」がINCI名(r-Saccharomyces Butterを取得したと発表した。INCI名は化粧品原料を国際的に識別するための標準名称であり、安全性や承認を意味するものではないものの、グローバル市場で共通の名称として使われる

2024年9月には1万リットル超へのスケールアップを達成し、昨年1月にはフィンランドの乳業メーカーValioとの戦略的提携も発表している。

今回の自己GRAS取得は、食品分野でも商用化の準備が前進した動きであり、パーソナルケア先行と並行しつつ、食品も含めた複合的な市場投入へ移りつつあるといえる。

精密発酵、細胞培養、オレオゲル、アップサイクル発酵に広がる脂肪開発

出典:MeltyMarble

MeltyMarbleは、動物性脂肪に着想を得て開発された「デザイナー脂質」で、代替肉や代替乳製品に加え、チョコレート菓子、ベーカリー、スナック向けにも使用できる。

酵母を用いた精密発酵で脂肪の性質を設計し、風味の広がり方、溶解挙動、クリーミーさやジューシー感を狙う。代替肉にとどまらず、乳製品、菓子、ベーカリーへと用途を広げるため、従来の「MeatyMarble」から「MeltyMarble」へ名称を変えた。

脂肪・油脂の代替技術は、各社で動きはさまざまだ。

精密発酵では、オーストラリアのNourish Ingredientsが2025年8月、肉らしい風味をもたらす脂肪成分「Tastilux」の主成分となる糸状菌バイオマスで米国FEMA GRASを取得し、アメリカ市場での販売が可能になった

同社はフォンテラとの提携に加え、中国のCABIO Biotechとも提携しており、2025年4月にはCABIOとの協業でTastiluxの初の商用生産を完了し、生産能力を1700%拡大したと発表した。さらに同年9月にはオランダ・ライデンにグローバルな商用拠点を設置し、2026年の本格稼働を目指している

一方、フィンランドのPerfat Technologiesは、オレオゲル技術で固体/半固体の機能性脂肪を開発している。同社脂肪は、食物繊維も含むもので、2024年の売上は1070%成長した。昨年9月にシリーズAの調達に成功し、CEOのJyrki Lee-Korhonen氏は、年末までに欧州で商用生産を開始する予定だとFoovoのメール取材に回答していた。

また、細胞培養ルートではイスラエルのAccelltaが幹細胞技術を用いた細胞性乳脂肪を開発し、アメリカを最初の市場としてFDAへの申請準備を進めている。代替乳製品で使用される植物油脂への依存度を低減し、乳製品らしい濃厚さやクリーミーな食感をもたらすことを目指している

シンガポールのImpacFatは魚由来脂肪で昨年10月に日本拠点を設置し、2026年に魚の培養上清を用いた化粧品原料の上市を目指しているほか、エストニアのÄIOは林業廃棄物などを原料にした酵母由来油脂で、食品用風味油脂の工業生産に向けて昨年、政府から助成金を獲得した

脂肪代替の開発では技術が精密発酵、細胞培養、オレオゲル、アップサイクル発酵など多岐に広がり、それぞれ食品、化粧品、乳製品、代替肉へと異なる入口から商用化を急ぐ段階に入っている。

 

※本記事は、プレスリリースをもとに、Foovoの調査に基づいて独自に執筆したものです。出典が必要な情報については、記事内の該当部分にリンクを付与しています。
※通常と異なり、本ニュースのプレスリリースの全文閲覧にはログインまたはメール認証が求められます。

 

関連記事

アイキャッチ画像の出典:MeltyMarble

 

関連記事

  1. ホールカット肉のJuicy Marbles、英Tesco225店…
  2. ウキクサから2つのタンパク質|Aspyre Foodsが植物分子…
  3. ドイツのFormo、欧州投資銀行から約56億円を調達-麹菌由来チ…
  4. 中国の培養肉企業Joes Future Food、パイロット工場…
  5. 副産物を価値に──オランダのMaGie Creations、ビー…
  6. Future Fieldsが約15億円を調達、ショウジョウバエで…
  7. CulNet Systemからイネ、微細藻類を活用した低コストで…
  8. 代替肉はなぜ必要なのか?代替肉の必要性、分類、現状をわかりやすく…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

おすすめ記事

培養肉用の安価な食用足場を開発するエストニア企業Gelatex|事業開発部長Athanasios Garoufas氏にインタビュー

培養肉の生産では、生体内環境に似た状態を再現するために、細胞外マトリックス(EC…

フードロス削減に取り組むオランダ企業OneThirdが約1億9000万円を調達

フードロス削減に取り組むオランダ企業OneThirdが150万ユーロ(約1億90…

【現地レポ】シンガポール・スーパーマーケットでの精密発酵食品の販売状況を調査

微生物を工場として特定成分を生成する精密発酵に対する関心は国内でも高い。最近では…

タイソンの植物肉ブランドRaised & Rootedが100%植物ベースの新商品を発売

タイソンフーズが植物肉への取り組みを強化する。自社の植物性ブランドRai…

精密発酵チーズのNew CultureがCJ第一製糖と提携、2023年に上市を計画

精密発酵でチーズを開発する米New Cultureは今月、韓国のCJ第一製糖から…

カナダのBurcon NutraScienceはヒマワリの圧搾粕から高純度なタンパク質を生産

カナダのBurcon NutraScienceはヒマワリの種から高品質なタンパク…

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

▼聞き流しフードテックニュース▼

 

 

 

代替カカオレポート販売開始のお知らせ

最新記事

【FoovoBridge】日本のフードテックニュースを海外へ発信する英語サイト

▼メルマガ登録はこちらから▼

フードテックの海外ニュースを週1回まとめてお届けしております。

 

▶メールマガジン登録はこちらから

Foovo Deepのご案内

Foovoの記事作成方針に関しまして

Foovoセミナー(年3回開催)↓

精密発酵レポート・好評販売中

マイコプロテイン・菌糸体タンパク質レポート好評販売中

2025年・培養魚企業レポート販売開始

フードテックを理解するのに役立つ書籍

夢の細胞農業 培養肉を創る

夢の細胞農業 培養肉を創る

羽生雄毅
Amazonの情報を掲載しています
培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

培養肉とは何か? (岩波ブックレット)

竹内 昌治, 日比野 愛子
発売日: 2022/12/06
Amazonの情報を掲載しています
フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

フードテック革命 世界700兆円の新産業 「食」の進化と再定義

田中宏隆, 岡田亜希子, 瀬川明秀
発売日: 2020/07/23
Amazonの情報を掲載しています
マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

マッキンゼーが読み解く食と農の未来 (日本経済新聞出版)

アンドレ・アンドニアン, 川西剛史, 山田唯人
発売日: 2020/08/22
Amazonの情報を掲載しています
クリーンミート 培養肉が世界を変える

クリーンミート 培養肉が世界を変える

ポール・シャピロ
発売日: 2020/01/09
Amazonの情報を掲載しています
PAGE TOP